ハノーバーメッセ2026で
最先端の技術を展示
最新の技術
卓越した製品
産業と社会の電化を
後押ししていく

ドイツのハノーバーで開催された世界最大の産業技術見本市「ハノーバーメッセ2026」では、フィジカルAIや自動化、デジタル化といった製造業を取り巻く最新技術が多くの来場者に披露された。端子台をはじめとする制御盤内外の各種部品・電子機器で世界屈指のメーカーであるフエニックス・コンタクトの展示ブースが注目を集めていた。日本の製造業が知っておくべき最新トレンドは何なのか。同社の日本法人の代表取締役社長の吉野博通氏に話を聞いた。

ハノーバーメッセ2026でも
最先端の技術をアピール

――御社にとってハノーバーメッセはどんな位置付けのイベントなのでしょうか。

吉野 ドイツに本社を置き100年以上の歴史を持つグローバル企業である当社にとって、ハノーバーメッセは、当社の製品と協業企業とのパートナーシップの最新動向をお伝えする重要な機会であり、70年以上にわたり広い展示スペースを確保して出展してきました。以前には当時のドイツのメルケル元首相と米国のオバマ元大統領が揃って訪れるなど、各国の要人からも注目いただいております。

 当社の事業領域は主にエネルギー、プロセス、ファクトリー・オートメーション、インフラの4つの産業市場です。8万5000以上のアイテムを世界中に提供し、売り上げは33億ユーロ、従業員数2万人強を誇り、現在もさらなる成長を続けています。日本法人は1987年にアジアで最初の現地法人として開設されました。

 現在は「テクノロジーとイノベーションを通して、持続可能な世界を共に創造する」という理念のもと、再生可能エネルギーを世界中に広める「Empowering the All Electric Society(AES)」の実現に貢献するための多様な製品の開発・製造・供給に取り組んでいます。今年のハノーバーメッセ2026でもその最先端技術を紹介しました。

 展示スペース内では基板用の接続端子などの「Connectivity」、制御盤製造を効率化する端子台や自動工具と関連ソフトウエアなどの「Cabinet Efficiency」、電源の安定供給を支える電源やUPSなどの「Power Reliability」、そしてネットワークや接続のセキュリティーを確立するための「Automation」の4つのコアビジネスにおける最新のトレンドと製品を訴求しました。

吉野 博通 氏

Hiromichi Yoshino

フエニックス・コンタクト株式会社
代表取締役社長
吉野 博通

電力の課題を解決する
ソリューションを展示

――展示内容のポイントはどんなところにあるのでしょうか。

吉野 まずPower Reliabilityでは、工場内の電力を直流(DC)で送電する「DC Grid」を、エネルギー効率を高める技術として訴求しました。交流(AC)で受電送電し、各機器で直流(DC)に変換するという従来の手法では、変換に伴う電圧降下や変換ロスが発生します。工場の入り口から末端の機器まで直流にすればエネルギー効率が高く、直流の太陽光発電やバッテリーなども活用しやすくなります。

 この構想の下で提供されているのが、産業用電力系統向けのバッテリー・エネルギー・貯蔵システム、BESSです。ケーブルやコネクター、AC/DC、DC/AC変換器、PLCなどの制御機器など、当社の様々な製品を組み合わせたBESSの構築を展示しました。

 また、7月に発売する直流と交流の双方向で電力変換し高精度で効率的な充放電を実現して安定した電力を供給できるエネルギーインフラ向けの電源モジュール「TRIO HIGH POWER」や、スロット幅が8ミリと小さく、設置スペースを削減できる新型のモジュール型機器用サーキットブレーカ「PTCB TM」を展示しました。

 この熱磁気式サーキットブレーカと組み合わせて使用できる小型の電流監視モジュールも提供し、ユーザーの大切な設備を保護します。USB-PDに対応したビルディングオートメーション用電源の「STEP POWER USB PD」と合わせ、従来の約半分という省スペース化を実現すると共に、アプリケーションに最適な電源供給を行うシステムの基盤になります。

フエニックス・コンタクトのブース

バッテリー貯蔵システム(BESS)向け電源・バッテリー他制御機器の展示

USB PD出力対応電源 「STEP POWER USB PD」

幅8mm 薄型熱磁気式サーキットブレーカ 「PTCB TM」

蓄えてきたノウハウで
端子台製造の完全自動を

――御社の最も得意とする端子台の分野でも進化があるのでしょうか。

吉野 ConnectivityとCabinet Efficiencyの最も顕著な進化は自動化です。今回はロボットメーカーと共同で制御盤の端子台列の全自動配線を可能にする自動化ソリューションを展示しました。制御盤の設計データを利用して電線を自動でカットする当社システムはありましたが、今回展示したものはその電線をロボットが自動でPush-X端子台に配線接続する画期的なソリューションです。

 また、端子台を図面通りに配置し、独自のレール上で組み上げる最新の自動製造装置「clipx MASTER line」もデモ展示しました。DINレールへの取り付けや端子台のマーキングなどを一貫自動処理し、機械学習とクラウドによる解析も可能です。

 こうした自動化技術で、標準品目の端子組み作業はロボットが夜間に製造し、少量カスタム品目は昼間に人が組み上げるという体制を確立することで、増え続ける需要に少ない人員で対応できることを可能にします。そこには工具の自動化など端子台以外も含めた当社のノウハウ全てが集大成されています。

 その代表例がいわゆる“ねじレス”のPush-inやその進化版のPush-Xテクノロジーの端子台です。工具も圧着端子も不要で、あらゆるタイプの電線を最小限の労力でダイレクトに接続できます。電源を誰もが素早く確実に接続できることで、施工時間を大幅に短縮し、高い品質を確立できます。加えて、そこに当社独自の盤製造プロセスソフトウエアを活用することで自動化と効率化が実現できます。

 Automationの分野も大きく進化しています。一つが、産業向けWi-Fi6対応機器の提供です。工場内の通信設備をWi-Fi6にすることで、扱えるチャンネル数を飛躍的に増やすことができます。日本でも今年、アクセスポイント専用機、6GHz対応機の販売を開始しています。

 2027年以降に発売見込みの屋外のポールや盤に設置できるモバイル通信機能搭載のIPアンテナ「Cellulink」、制御システムを仮想化してPLCのファームウエアのアップデートを管理する「Virtual PLCnext Control」など、効率的にセキュリティーを高める具体的なソリューションも展示しました。

全自動端子台列組立装置「clipx MASTER line」

電線処理からPush-X端子台列への配線までを一括で行う自動ロボットデモ

圧着端子や工具が不要の「Push-X端子台」は新サイズを拡充(日本は2026年秋に発売)

通信機器ではWi-Fi6対応機器などを拡充予定

産業が抱える課題を
技術の力で解決したい

――今後の方向性と日本市場での展開について教えてください。

吉野 グローバルで2025年も大きく成長できましたが、今年はそれを上回るペースで売り上げが増加しています。中国が好調で、北米と南米も安定して成長しています。エネルギーとインフラの分野で産業と社会を電化するAESが進み、EU内で制御盤だけでも新たに10万式以上が必要といわれており、よりデジタル化、セキュア化のための製品が求められています。

 当社ではそこに製品や技術を提供するために、メキシコに2万平米の工場を新設し、ベトナムでも新工場の建設を計画しています。それに加えて、ドイツ本社の物流工場も拡張し、需要の拡大に備えています。

 日本でもニーズは拡大しています。ファクトリー・オートメーション以外のデジタル化、セキュア化は遅れていますが、サイバー攻撃の激化や深刻な人材不足という外部環境の変化に対応するには、今後あらゆる側面で変革が必要になることは目に見えています。

 インフラやエネルギー分野のBESSや脱炭素化、電力不足解消やグリーンエネルギーの効率利用のための工場全体の直流化、セキュリティーを高める通信の高度化など、産業を取り巻く喫緊の課題が山積しています。国内の制御盤は毎年140万式の需要があるとみており、AESの実現に向けてさらに増加していきます。こうした産業と社会のニーズに応えるために、卓越した技術力でお役に立ちたいと考えています。

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