膨大なデータから必要な情報だけを抽出
自然言語でスキルに関係なく分析を可能に
本レポートでは85%以上が、脅威インテリジェンスにおけるAIと自動化による導入効果が「期待通りまたは期待以上」と回答するなど、セキュリティ対策の最先端を明らかにする内容となった
Recorded Futureでは、「脅威インテリジェンスにおけるAIと自動化の現状」というレポートを発行しており、日本語版もダウンロードできる。
本レポートでは85%以上が、脅威インテリジェンスにおけるAIと自動化による導入効果が「期待通りまたは期待以上」と回答するなど、セキュリティ対策の最先端を明らかにする内容となった
「このレポートは、世界中の約700社のセキュリティ担当者に第三者機関が調査を行い作成したものです。内容は主に、生成AIがワークフローにどのように入ってきているか、また生成AIが脅威インテリジェンスをどのように扱っていくかについてです」(松田氏)
脅威インテリジェンスのユースケースはさまざまだ。セキュリティの監視、分析、予防、脆弱性パッチの優先順位づけなど、顧客のセキュリティ課題が多岐に渡ることがレポートからもみて取れる。
同社は脅威インテリジェンスを提供するツールとして、「Recorded Future Intelligence Platform」を提供している。
「従来は専門家が書いたレポートをインテリジェンスサービスとして提供するタイプのビジネスがありましたが、我々はそれに加えてインターネットそのものをセンサーとしてセキュリティの観点で攻撃の主体やその手法、どんな地域や業種などをターゲットにしているか、どんな脆弱性を使っているかなど、関連情報もほぼリアルタイムに整理・分析した形でいつでも取り出せるようにAIが常に収集・分析・整理をしています。これにより、知りたいことがあればまずRecorded Futureを見よう、という形で使っていただけるツールとして、サービスを提供しています」(遠山氏)
断片的な情報だけでは、いかに対策すべきか判断が難しい。しかしここまで情報の鮮度とカバレッジがあれば次のアクションに向けた根拠になりうる。「根拠」をもとに、すぐに対処に繋げられるように整理された情報が「インテリジェンス」であり、「Recorded Future」が提供しているのはアクションにすぐに繋げられる質の高いインテリジェンスである。
「インターネット上の情報にはベンダーが出すパッチの情報、SNSなどを通して攻撃者間でやりとりされる技術情報など様々なものがあります。ロシアのハッカー、中国のハッカー、イランのハッカーはもちろん自国語で話します。そこで世界の様々な言語そのままで情報を収集・整理し、断片的なテキスト情報を分析して、関連するものだけを仕分けた巨大な知識のグラフ構造を作る必要があります。虚偽情報も混ざっているので、その吟味も必要です。この分析の根幹になっているのが当社独自の『Intelligence Graph』です」
Intelligence Graphを中心に、同社は創業以来16年間脅威インテリジェンスの知識グラフを蓄積してきた。「担当者が必要な情報を過去からリアルタイムまで即座に情報を取り出すこともできますし、ID/パスワードなどの流出が確認されたら即座にアラートを発する、自社のIT資産に関連する危険な脆弱性や攻撃が確認されたらアラートを発する、などの仕掛けも可能です」
脅威インテリジェンスはソースが多ければよいわけではなく、実際にアクションにつながりうるものでなければならない。「お客様が必要な情報をきちんと分析して、ノイズを排除して提供することが重要です」(遠山氏)
たとえば、ランサムウエア集団の“キリン(Qilin)”を「キリン」という単語だけで検索すると、動物のキリンや飲料メーカーのキリンもヒットする。「Recorded Future」の知識グラフでは、ランサムウエアギャングの“キリン”はこれらと区別されて保存されている。また彼らが使っている攻撃ツールや狙っている脆弱性は何かといった情報はこのランサムウエアギャングの「キリン」とAI技術により自動的に紐付けされている。Intelligence GraphはAIしか触れないわけではなく、ヒトが直接情報をキュレーションしたり、精査をプロセスに組み込んでいる。機械による処理とスピードを利用したうえで、ヒトを適切にプロセスに組み込み、超大規模なデータであってもリアルタイムに扱うことができて、いまも進化し続けている。『セキュリティにおけるインターネットのデジタルツイン』である 『Intelligence Graph』が我々のサービスの基礎となっています」(遠山氏)
「こうした脅威インテリジェンスを適切に使うと、『攻撃されたから対処する』という後手の対応だけでなく、『うちの業界でこの攻撃主体による、このタイプの攻撃が流行っているから、先にパッチをあてておこう』といった、プロアクティブな対応ができるようになります」(遠山氏)
アメリカなどを中心に脅威インテリジェンスの重要度は理解が進み、専任担当者を置く企業も大企業や政府組織などを中心に増えてきているという。「日本でもそうした動きが進むことを当社も期待していますし、働きかけも積極的に行っています」(遠山氏)
さらに最近新しく提供を始めた機能として、『Autonomous Threat Operations』がある。既に導入しているEDRやSIEM、SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)などのセキュリティツールと、シームレスに連携できる。
「EDRやSIEM、SOARなどと連携させて、脅威インテリジェンスを直接アクションへとつなげる試みが進められています。新たな脅威の情報をEDRやSIEMに連携して対処できるようにしたり、SOARに連携し次のアクションをキックするといったことはAPIファーストで作られた弊社のシステムでは容易に行うことが今までも可能でした。当社のAutonomous Threat Operationsではこの連携をさらに進めます。『Recorded Future』が新たに認識した脅威を連携済みのEDR、SIEMなどに自律的に働きかけ、Threat Huntや検知・防御をできるようにしようとするフレームワークです。不審なアプリなどを検知したら即座に動作を遮断させるなど、一連の作業を完結させ、よりプロアクティブな対策を、人を介さず実施できることを目指して開発を進めています。まずはレポートや脅威アクターを指定するだけで効率的に脅威ハンティングを数クリックで実施でき、日次・週次で自動実行させる機能からまず提供を始めました」(遠山氏)
加えて同社は「Recorded Future」のヒューマンインターフェイス部分に生成AIを組み合わせて、より簡単に利用するための仕組みとして「Recorded Future AI」を提供している。
脅威インテリジェンスプログラム「Recorded Future AI」は、生成AIと「Recorded Future」の能力を組み合わせ、高度なアナリストが自社のチームに加入したような効果を生み出す
なぜ、脅威インテリジェンスに生成AIを活用すべきなのか。遠山氏は説明する。
「当社が提供するのは整理された脅威インテリジェンスとはいえ、背景情報なども含めればおのずと、それ自体のボリュームが多くあります。生成AIはそれらの要点をまとめて、まずは概要を把握するために使えます。判断の方向性を大きな括りで先に掴むことで、その後の作業や脅威インテリジェンスの深掘りなどを大幅に効率化できます」