少量多品種生産を支える
調達の仕組みが求められている
日本の製造業界が置かれている状況や課題をどうご覧になっていますか。
マコーマック日本の製造業は、過去数十年にわたり、品質や革新性において世界のものづくり業界で高い評価を得てきました。一方、現在はデジタル技術の進歩を背景にグローバル競争が加速しています。深刻な人手不足やエネルギー・原材料価格の高騰といった課題を解決し、競争力を高めるためには、IoTやAI、ロボットなどのテクノロジーを活用して業務効率化とコスト削減を進めることが欠かせません。日本政府も、「Society5.0」の旗印のもと、製造業各社の取り組みを支援するための多彩なプログラムを提供しています。
そのような中、重要性を増しているのが調達のプロセスです。現在のものづくりの現場では、製造物の「品質」と「提供スピード」の両方を高いレベルで実現することが求められます。また、多様化する市場ニーズに応えるためには、少量多品種生産にも柔軟に対応する必要があるでしょう。
この状況では、デジタル技術を活用して調達プロセスを効率化することが不可欠です。データ駆動型の購買の仕組みを確立し、よりスムーズな生産体制の実現、サプライヤーとの関係性強化を図っていくことが重要になっています。
90万点以上の製品・部材を
最短翌日に届ける
アールエスコンポーネンツは、この状況に解決策を提示しています。まずは企業の成り立ちや概要を教えてください。
マコーマック元々はラジオ修理店に部品を供給する「ラジオスペアーズ」として、1937年にロンドンで創業した会社です。その後、アールエスコンポーネンツに社名を変更し、電気・電子部品をはじめとする産業部品を広く供給する商社になりました。
90年代以降は事業エリアをグローバルに拡大し、98年には英国RS Group 100%出資の日本法人を設立。現在は世界36カ国に販売拠点を展開しています。非常に多くのお客様と取り引きがあり、英国ではロンドン証券取引所上場の時価総額上位100銘柄である「FTSE100指数」に選出※1されています。
当社の最大の強みがそれぞれの国や地域にローカライズしたECサイトです(図1)。世界2500社以上のサプライヤーの製品・部材、計90万点以上を扱っており、お客様が直接、必要なものをオンラインで調達することができます。
図1 最短翌日納品が可能なECサイトを展開

国内では横浜に倉庫を持ち、最短翌日納品が可能。最少1点から注文が可能なので、少量多品種生産やR&Dの現場でも使いやすい
世界中に倉庫を持っており、小ロットかつ短納期での納品が可能な点が大きな強みです。国内では横浜市の倉庫に常時4万点以上をストックしており、最短で翌日納品が可能。在庫がない場合も最寄りの倉庫から取り寄せ、原則4~5営業日でお届けします。
欲しいときにすぐ調達できれば、製造業各社は生産性向上に向けた取り組みやDXを加速できますね。
マコーマックその通りです。特に少量多品種生産や大量生産に入る前の試作段階において、適した量の製品・部材をWeb経由ですぐに調達できる仕組みは世界でも多くありません。そのようなフェーズのお客様が求めているのは、様々な部材を迅速かつ気軽に使ってみることができる環境であり、そのために当社はオートメーション&コントロール、コネクタ、ケーブル、受動部品、半導体、空圧機器、試験・計測機器などの多種多様な製品を最小1個から販売しています。
「小ロット」「短納期」というニーズに応えることで、お客様が最初の一歩を踏み出すことを容易にし、挑戦に対するハードルを下げる。これにより、日本の製造業の大半を占める中小企業の競争力強化を支援します。
また、R&Dのフェーズでは、部材を自社で保有しなくて済むこともメリットとなりそうです。
マコーマックそうですね。必要な時、必要な分だけ発注していただければ、不要在庫を抱えるリスクも低減できます。また、産業部品に限らず、安全・衛生用品に至るまで、製造現場やオフィスで必要なものはワンストップでご提供できます。異なる調達先から個別に手配する手間を省けることもポイントです。
※ 親会社であるRS Groupが選出
リリースされた産業部品は
2~4週間でサイトに掲載
品揃えや提供スピードに関して、日本市場に固有のニーズはありますか。
マコーマック例えば、エレクトロニクス製品の生産に用いる電子部品については、「高性能な製品を今すぐ欲しい」というお客様が多くいます。そのニーズに応えるため、エヌビディアやアルディーノ、TE コネクティビティなどの半導体や電子機器メーカーと協力して、プロダクトを迅速に供給できるようにしています。また産業用製品・部品の領域でも同様に、シュナイダーエレクトリック、シーメンスなど世界を代表するメーカーと連携して、豊富な品揃えを実現しています。
具体的には、世界で月4万点ほどの新製品がリリースされる産業部品について、日本の安全規格に適合するかどうかの審査を速やかに実施したのち2~4週間程度でサイト上に掲載します。日本法人には専門のコンプライアンス担当者を置いており、製品の仕様書や廃棄物処理に関するデータシートも用意しています。このように、グローバルな調達力とローカルのノウハウを組み合わせることで、常に最新・最適な品揃えを実現しています。
顧客サポートの体制についても教えてください。
マコーマック全てのお客様にご利用いただける日本語カスタマーサポートの電話窓口を設けています。また、特に取引の多いお客様に向けては、専用の営業チームを設けてオンサイト対応も行っています。
ものづくりの持続可能性を
高めることに貢献したい
エンジニア向けコミュニティサイトの運営にも力を入れているそうですね。
マコーマック電気・電子、機械、FA、ITなど、多様なものづくり領域に役立つ情報を発信し、エンジニアやサプライヤーのコミュニケーションを促進する場として「DesignSpark(デザインスパーク)」を運営しています。
DesignSparkでは商用利用可能な3Dモデル作成用CADソフトや、回路設計用基板CAD、解析ツールの回路シミュレーターなども基本無料で提供しています。これにより、高額なデザインツールを購入できない研究開発や試作段階での取り組みを後押ししています。
なお、世界で約150万人のエンジニアがこのコミュニティに登録していますが、そのうち日本人は約20万人と世界最多です。日本のユーザーは最新技術への感度が非常に高く、製品のデータシートにも細かく目を通す傾向があります。これは、日本の「ものづくり大国」としての伝統の表れだと私は考えています。
DesignSparkのような場から、次世代のものづくり人材も育ってくるのではないでしょうか。
マコーマックそう考えています。当社は製品や部材を販売するだけでなく、教育機関や研究者向けのアカデミックプログラムの提供や、DesignSparkでのデザインコンテスト開催などを通じた教育支援活動にも力を入れています。科学・技術・工学・数学を統合的に学ぶ「STEM教育」の重要性に鑑み、ECサイトではシングルボードコンピュータの部品なども豊富に揃えています。また、近年はサプライヤーと協力して、大学や高等専門学校が技術競技大会などに出場する際の部品提供、スポンサードも行うようになりました。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
マコーマック私たちの使命は「Making amazing happen for a better world(素晴らしい体験で世界をより良くする)」です。あらゆるお客様が、最新の製品や部材に快適にアクセスできる環境を提供すると共に、技術情報やコンプライアンス情報、デザインツールの提供などを通じて日本のSociety 5.0の実現に貢献します(図2)。これにより、ものづくりの持続可能性向上に貢献することが、当社の役目です。
図2 アールエスコンポーネンツの重点ビジネス領域

ECサイトやサプライヤー連携に基づく支援体制の構築などを通じて、この6つの領域の取り組みに重点的に力を入れている



