提供:Salesforce

アフラック生命保険株式会社(以下、アフラック)がAI(人工知能)の活用を加速させている。AIエージェントが人と協働しながら業務を担う企業像を見据えた「AX(AIトランスフォーメーション)」を2026年より推進している。これはSalesforceが提唱する「エージェンティック エンタープライズ」の概念とも合致するものだ。その狙いと未来像を、アフラック 取締役専務執行役員 CDIO(チーフ・デジタル・インフォメーション・オフィサー)を務める二見 通氏と、セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 カスタマーサクセス統括本部 統括本部長の宮田 要氏が語り合った。
——長年DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しているアフラックですが、2026年からはAXへと転換されるとのことです。DXとAXでは何が違うのでしょうか。
二見氏 まず、これまでのDX戦略では、主に3つの領域で取り組んできました。
AX戦略とは、これらDX戦略をAIの活用を中心に据えて、更にスピード感をもって進化、発展させることです。このAX戦略では、AIを単なる効率化ツールとして使うのではなく、AIを企業の中核能力(コア・ケイパビリティ)に位置付け、人とAIが密接に協働することで、顧客体験や保険代理店支援、社員の働き方そのものの“再創造”を目指しています。AIはアフラックの未来のコア能力であり、人とAIが新しいアフラックを創造します。組織としても、「DX推進部」だった部門を「AX戦略統括部」および「AX開発部」へと強化、改称し、今後はIT部門のみならず全社を挙げてAIを活用した企業変革を推進することを強く発信しています。
——アフラックでは以前から、Salesforceを活用されています。
アフラック生命保険株式会社
取締役専務執行役員
チーフ・デジタル・インフォメーション・オフィサー
二見 通氏
二見氏 私たちは2017年からSalesforceをプラットフォームとして導入し、保険契約者向けのポータルや保険代理店向けポータルはもちろんのこと、コンタクトセンターやデジタルマーケティングなどの幅広い業務でSalesforceを活用してきました。Salesforceは高い安定性と堅牢なセキュリティを備えています。可用性やセキュリティの面で高い信頼があり、基幹業務を安心して任せられるプラットフォームであることが、Salesforceを使い続けている最大の理由です。
宮田氏 ありがとうございます。アフラック様には早い段階から「Data 360」を導入して、データ基盤の整備を進めていただきました。また、Salesforceの提供するAIエージェントである「Agentforce」を日本で初めて本番稼働いただいています。今回のAgentforce導入でも、このデータ基盤整備が『鍵』になっているのではないでしょうか。
二見氏 その通りです。AIエージェントを業務で活用するには、まず“使えるデータ”を整える必要があります。そこで、アフラックでは、Salesforce内外に分散する顧客データや業務データを統合するために、Data 360をデータ基盤として活用してきました。今後はさらに、Data 360上で統合された様々なデータを、業務処理やAI開発において、より効率的、より効果的に活用することを目指します。Data 360は、AI活用(開発)にとっては、なくてはならないデータハブのような存在です。
また、このData 360データ統合基盤はAgentforceと非常に相性が良く、Data 360をベースとして開発されたAgentforceシステムは、開発生産性が高いだけではなく、高い品質と精度で稼働しています。その他、Data 360を中核としたSalesforceアプリケーションも、高度なセキュリティ管理とデータ管理を実現しながら、Agentforceと共に我々のコア業務として安定稼働しています。
——具体的に、Agentforceをどのような業務に適用されているのでしょうか。
二見氏 まずは保険募集人向けの支援として、2つの用途で活用しています。一つは、「お客様からの問い合わせ支援」です。募集人はお客様から日々多くの質問を受けますが、それらの質問に回答する際、複数のマニュアルや約款を確認する作業に多くの時間を費やしていました。Agentforceを導入したことで、募集人はAgentforceに質問をそのまま入力するだけで、Agentforceが自律的に複数のマニュアルや約款を横断的に参照し、最適な回答を返してくれるようになりました。負荷となっていた「資料を探す作業」から解放された点は大きな変化です。
もう一つは「営業支援」です。従来、募集人が複数のお客様を訪問する際に、その訪問順を決めるのは経験や勘に頼る部分が多かったのですが、これをAgentforceに任せました。募集人が複数の訪問先を伝えると、最も効率的な訪問ルートを提案してくれます。
こうした取り組みをより拡大/発展させることにより、募集人が「お客様と向き合う」という募集人本来の活動により多くの時間を割けるように支援を継続してまいります。
株式会社セールスフォース・ジャパン
専務執行役員
カスタマーサクセス統括本部
統括本部長(日本・韓国・台湾担当)
宮田 要氏
宮田氏 Agentforceが現場の業務効率に直結する成果を生んでいると伺い、我々も嬉しいです。Agentforceが従来のAIと決定的に違うところは何だとお考えですか。
二見氏 従来のAIでも、例えば、「ダイレクトメール送付後に成約率を分析する」といった取り組みはしてきましたが、それはあくまでも一つの問い(指示)に対して、一つの解を出すという形でした。一方、Agentforceは必要に応じて自ら複数の情報を検索し、それら複数の情報を組み合わせて最適な解を導き出す——。この「オーケストレーション」の能力が、人間を非生産的な作業から解放し、より価値の高い仕事に集中させてくれると信じています。
——わずか3カ月でAgentforceの実装・本番稼働を実現されたと伺っています。スピーディに本番稼働できた背景には何があったのでしょうか?
宮田氏 私たちはお客様を支援する際に、単に製品や技術を提供するのではなく、お客様のチームの一員として伴走することを大切にしています。そのために今回、アフラック様には「Salesforce Professional Service(注1)」と「Signature Success Plan(注2)」の両方をご活用いただきました。
この2つを組み合わせることで、スピード感を持って実装を進めながら、同時にお客様の中にスキルや知見が残る仕組みをつくることができたと考えています。
二見氏 新技術を導入する際に重要なのは、その技術と同等に「誰と一緒に進めるか」だと考えています。Salesforceのカスタマーサクセスチームは、日本国内だけでの知見や経験に留まらず、グローバルベースでの知見や経験を有しており、そうした知識、最新技術を我々の開発に持ち込んでくれたことは非常に大きかったですね。
同チームは単なる外部ベンダーの開発/運用支援ではなく、アフラックチームの一員として一つのゴールに向かうワンチームで動いてくれました。その結果、社内にノウハウも蓄積され、当社の技術者が育っていく実感がありました。短期間で本番稼働まで持っていけたのは、この支援があったからだと感じています。
私は数年前から、社内のIT部門には「PoCはするな」と伝えています。今の時代、PoCに数カ月かけている間に技術自体が進化し、前提が変わってしまうからです。重要なのは、スモールスタートで本番環境に投入し、本番実務の中でPDCAサイクルを回すことです。本番環境で開発することで現場に活きた技術やノウハウが蓄積されます。この「PoCより実践」という攻めの姿勢を、Salesforceカスタマーサクセスチームの伴走支援が後押ししてくれました。ただし、決してPoCを否定しているわけではありません。息の長い技術を検証する場合はPoCも有効であり、ケースバイケースです。そうした見極めも重要だと考えています。
宮田氏 ありがとうございます。我々も二見さんのスピード感と行動力、そして「PoCより実践」という考え方に刺激をいただきました。
——今後、Agentforceの活用をどのように広げていくお考えでしょうか。
二見氏 2026年は「Agentforceの本格的なスタートの年」だと捉えています。保険募集人向けの支援を目的にスタートしたAgentforceの活用を、今後はさらにその支援範囲を拡充してまいります。つまり、お客様と募集人の接点である、生涯設計、保険提案、お申し込み、保険のメンテナンス、保険金の支払いなどあらゆる募集人業務にAgentforceを組み込んでいく予定です。
また、直近で特に期待しているのが、マルチモーダル対応(Agentforce Voiceなど)です。募集人が移動中に音声で問いかけると、必要な情報を即座に返してくれる、そうした体験は、すぐに現実のものとなるでしょう。
その先に考えているのが、保険商品そのものの変革です。AIエージェント同士が連携し、お客様の属性や状況に応じて最適な商品を瞬時に組み立てる。究極的には、1万人のお客様がいたら1万通りの保険商品をご提案したいです。人とAIエージェントが協働し、企業活動を変革する「エージェンティック エンタープライズ」戦略の核は、こうした「唯一無二のサービスの創造」にあると考えています。
——最後に、Salesforceからのメッセージをお願いします。
宮田氏 アフラック様をご支援していて素晴らしいと感じるのはAgentforceを「試す」のではなく、必ず形にする前提で「実装」されることです。AIの進化は目覚ましいスピードで進んでいます。私たちの役割は、お客様が立ち止まらず前に進み続けられるよう支えること。アフラック様のエージェンティック エンタープライズに対する挑戦が、日本企業のみならず、世界中の多くの企業にとっての指針になると確信しています。
Salesforceはこれからも信頼できる最高のパートナーとしてアフラック様のAX推進を全力で支援してまいります。
——ありがとうございました。
注1) Salesforce Professional Service:Salesforceのアーキテクトが実作業を共に支援するサービス。Agentforceのような新技術においても、標準機能を最大限活用できるように、実装と改善を高速で回していく役割を担っています。
注2) Signature Success Plan:Salesforceを安心して使い続けていただくための安定運用を支えるサービス。24時間365日の技術支援や高いレスポンス品質に加え、障害を未然に防ぐ予兆対応も行っています。さらに、グローバルで蓄積したユースケースやベストプラクティスを共有し、問題が起きる前にプロアクティブに対応することも重要な役割です。