現代のクルマは、これまで以上に開発・生産の難易度が高まっている。高い安全性と信頼性が求められると同時に、進化し続ける電気/電子(E/E)技術をタイムリーかつ確実に導入する必要があるからだ。
半導体やプリント配線基板(PCB)といった、現代のクルマに組み込むE/Eシステムを構成する部品は、各サプライヤーによって性能と品質、信頼性が厳密に管理される。ただし、それだけではクルマの性能は担保できない。部品同士をつなぐ接合部において、信頼性を損なう要因が生じる可能性があるからだ。自社製品の価値を大きく左右し、“要所”である接合部の技術には一切の妥協が許されない。
システムの構成要素である電子部品同士の接合に欠かせない技術の一つが、はんだ付けである。この領域において、パートナーとして課題解決に取り組み、クルマの価値を共に作り込む役割を担うのが千住金属工業(以下、SMIC)だ。世界トップクラスの技術力を誇る接合材料(合金)を基盤に、装置・プロセスを同時開発できる固有の事業体制を生かし、それぞれの技術を結集した、時代が求める接合ソリューションに仕上げる力を持つ。
xEV/SDV向け接合技術の
技術難度は高まる一方
「xEV(電動車)」と「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」の実現・進化に向けて、はんだ付け技術には、これまで以上に高度で厳しい要求が課されている。
そもそも、従来車に搭載するE/Eシステムに用いるはんだ付け技術への要求自体、一般的な機器と比べて遥かに厳しい。部品同士を確実につなぎ、電気信号や電力、熱を確実に伝達できることは大前提。過酷な温度環境や衝撃・振動に耐える高レベルの信頼性を、20〜30年の長期にわたり保証する必要がある。
また、半導体などをPCB上に実装する際の生産性向上も欠かせない。はんだ付けの容易さと接続後の高信頼性の両立は極めて難しい。さらに近年では、環境に配慮した接合技術であることも必須となっている。
これに加えて、xEV/SDVでは固有の要求が追加される。「高温領域において接合部の高い信頼性を維持できる技術。そして、はんだ付け工程で高性能な半導体にダメージを与えない中低温域(190〜210℃)で接合が可能な技術です」とSMICの藤本賢次氏は話す。
xEVでは、モーターを駆動する制御回路であるインバータに、高温環境下での低電力損失動作が可能な新たな半導体材料であるSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体が利用されるようになった。これに伴い、部品とモジュールを構成する材料との熱膨張差による応力増大に耐える、より高温での接合維持と機械的強度の底上げが必須。さらに、部品を実装した後のパワーモジュールに冷却プレートを接合する際に、低温で接合可能な材料と工法が必要になった。
SDVにおいても同様だ。高性能な車載コンピュータの導入により、ハイパワーなSoCや、大容量メモリー、高出力電源が組み込まれるようになった。接合技術も、こうした高度でデリケート、かつ発熱量の大きい部品を実装可能にしなければならない。つまり、データセンター向け接合技術と同様の技術を、より高い信頼性で実現する必要があるのだ。
「一般に、接合技術に対するOEM各社の要求は個別に異なり、接合技術のカスタマイズが求められるケースが多いです。しかも、新車の開発サイクルは年々短くなっており、昔は車載材料の開発に10年かける時代もありましたが、今はモジュール開発に3年、材料開発に1年、といったことも少なくありません」(藤本氏)
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