営業活動の「見えない」はなぜ起きるのか SKYPCEがSFA機能で提示する、組織営業の見える化

企業が組織として営業活動を成功させるには、顧客情報を組織内で共有し、戦略的に実行することが必要だ。しかし現実には営業が属人化し、営業成績や顧客関係を個人に依存している企業が少なくない。そのままでは顧客対応が滞ったり、それによって企業の信用やブランドイメージが低下したり(レピュテーションリスク)、退職や異動の際に売り上げが落ちたりするなど複数のリスクがある。こうした課題を解消すべく、営業名刺管理サービス「SKYPCE」ではAIも活用した営業支援機能を拡充している。これにより、BtoBにおける名刺登録を起点にした見込み客のリード管理や案件管理が実現し、売り上げアップに向けた組織的な取り組みを行えるという。

営業活動は見えているようで「見えていない」

Sky株式会社
執行役員
ICTソリューション事業本部
金井 孝三氏

 営業現場では、売り上げや達成率といった「結果の数字」は見えている一方、その裏側にある営業活動の中身までは把握できていないケースが多い。政府方針である働き方改革の推進などから、限られた時間の中で営業活動を行うのが普通になった。上司への報告も、直近で受注した営業案件の話題が中心になっていることや、営業拠点が分散して情報がサイロ化していることなどがその背景にある。

 「誰がどのお客様にどうアプローチしているのか、案件がどのような経緯で進んでいるのかが非常に見えにくい――近年、多くの営業管理職層のお客様からそのような悩みが寄せられています。営業活動が見える化できないと、ベストプラクティスな営業活動が再現できず、組織的な改善にもつながりません」とSkyで執行役員を務める金井 孝三氏は指摘する。

 特にSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)といったツールを導入していない中堅・中小企業では、営業情報がメールやExcel、日報などに分散しているため、「必要な情報を探せない」「営業活動の全体像がつかめない」といった課題に直面しがちだ。

 一方でSFAやCRMを導入していても、運用が定着せず十分に活用できていない企業も少なくない。多くのSFAは導入時に自社に合わせたカスタマイズやルール整備が必要である。しかし、それを急ごしらえで準備したとしても、運用の段階で伴走支援までの手厚い環境を準備できる企業はほとんどない。結果として活用が進まず、宝の持ち腐れになってしまっているケースがそれだ。

必要なのは「自然な営業活動を通してデータがたまる」仕組み

 「SFAはデータ入力が前提ですが、入力が定着しないケースが多々あります。それは営業担当者にとって直接的なメリットを感じにくいこと、自分が使わないデータの入力は優先順位が下がることに原因があります」と金井氏は語る。

 SFAの導入は、慣れた手段と作業から変わり、今までになかった作業を行う必要があり、忙しい営業担当者にとっては負担に感じることが多い。SFAの導入によってどのような成果が得られるのか、何を成し遂げたいのか、意義や目的が共有されていないと、“やらされている感”が強くなり、入力のモチベーションを保てない。その結果、入力内容が不十分になり、蓄積されたデータ自体を活用できない状態に陥ってしまう。つまり、問題の本質は「運用の巧拙」ではなく、「入力を前提とした設計」にある。

 「営業現場で最も必要なのは、日々の営業活動を通してデータがたまる仕組みです。無理に入力させるのではなく、自然にデータが蓄積されることが重要なのです」(金井氏)

 そこで注目されるのが「名刺」である。名刺は単なる連絡先ではなく、顧客データベースの起点となり、初対面から受注までをつなぐ立派な営業ツールだからだ。

 「BtoB営業では顧客接点の起点はほとんどの場合、名刺交換です。そして、お客様に訪問や連絡をする際には、その都度名刺を参照することになります。名刺に対して営業活動をひも付けることで、無理なく情報を蓄積できる。その流れで顧客情報や営業情報を集約し、組織的に営業活動を見える化していく。このやり方のほうが理にかなっています」と金井氏は説く。

組織の営業活動を支える「活動記録」

 こうしたコンセプトで開発されたのが、法人向け営業名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」である。SKYPCEは営業活動で得た名刺をスマートフォンのカメラを使って撮影・送信するだけで、99.9%の高精度でデータ化できる。登録されたデータを名刺として管理できるのは当然として、日々の営業活動を記録した「活動記録」とひも付けられる。さらに、デジタル化された名刺情報は、オフィスはもちろん外出先からも会社名や名前、名刺交換日など、条件を指定してスピーディーに検索・活用できるようになる。

 名刺情報がデータベース化されると、自分自身は面識がない顧客についても組織内でコネクションがある他の社員が見つかり、場所や部門をまたいで互いに営業戦略を検討するきっかけにもなる。通常の営業日報には記載しないような顧客の情報や人脈などに関する情報をメモに入力していけば、組織内で共有した際に有効な情報となる。

 また、自分が名刺交換をしたのが数年前だったとしても、組織内で他の社員が最新の名刺を取得していればデータは自動的に更新され、名刺情報は常に最新の状態で管理できる。

 名刺交換をして商談を行い、案件化し、最終的には受注して取引を行う可能性のある見込み顧客を「リード」として登録すれば、それぞれのアプローチ状況も可視化される。案件化したリード情報はそのまま「案件」に格上げして管理でき、受注した記録はもちろん、残念ながら失注した記録も振り返りが可能となる。今後の営業方針の検討まで、様々な場面で活用できるようになる。

 「SKYPCEは単なる名刺管理ツールではなく、SFA機能を搭載した顧客データベースです。訪問内容や提案、顧客の反応といった日々の営業活動を時系列で蓄積し、点ではなく“流れ”として営業活動全体を把握できます」(金井氏)

図1 営業活動を見える化するSKYPCEのSFA機能

図1 営業活動を見える化するSKYPCEのSFA機能

名刺と共に見込み顧客のリード情報をSKYPCEに登録して進捗を管理。組織で共有しながら戦略的な営業活動を行い、案件化した場合は格上げして一元管理する。振り返りから営業方針の検討まで、様々な場面で活用できる

 例えば、営業部門のマネージャーが部内で登録された名刺情報を確認すれば、部下がテレワーク中であっても「新規顧客のキーパーソンにアプローチできているか」といった状況を簡単に把握できる。また、取引先企業ごとの名刺情報を俯瞰することで、取引額の大きい企業とのつながりや新規取引に向けた他部署への営業状況などを、営業拠点をまたいだ形で確認し、全社的な営業方針の検討に生かすことも可能だ。

要望を取り込みながら機能強化を重ねる

 外出が多い営業担当者に有効となるのが「AI音声検索」機能である。スマートフォンでSKYPCEアプリに話しかけるだけで、AIが音声を認識して名刺情報を検索。「先週、名刺交換したAB商事のCさんの名刺情報を出して」と話しかければ、即座に画面に表示する。手入力が難しい状況でも必要な顧客情報がすぐに確認できる。

 「マネジメント層に好評なのが、コメント・リアクション機能です。これは活動記録に対してコメントや返信ができる機能で、社員同士の情報共有や上司への確認などのチャットツールとしても利用できます」(金井氏)

 一般的な日報は、誰が読んでくれているのか分からずに入力するためモチベーションが落ちがちだ。しかし、この機能を活用することで日々の営業活動は着実に活性化していく。

 顧客との調整がうまくいかず案件が停滞気味という報告があれば、上長は進捗状況を踏まえつつ適切なアドバイスを書き込んで支援できる。ユーザーからは「個別に電話をかけたり、時間を空けて会議を行ったりする必要がなくなった」と喜ばれている。営業ノウハウが個人に閉じず、様々な知見が蓄積されるメリットも大きい。

 これらのSFA機能は、2022年にリリースされたSKYPCEが、顧客からの要望を着実に取り込みながら機能強化を重ねてきたことで進化した結果だという。

 「SKYPCEは初期バージョンから営業支援機能を提供し、お客様にヒアリングしながら様々なご要望を新機能として追加してきました。例えば、営業活動記録に対して、『商談が今どのような状態にあるのか表示できないか』『同じお客様に他拠点でも営業をかけていないか見てみたい』といったご要望が出てくれば、それを次のバージョンで実現する。『最終的に受注したか失注したかも表示させたい』といったご要望があれば、ステータス表示機能を追加する。そういった改善を重ねることで、着実にSFAとしての機能が拡充していったのです」(金井氏)

設計思想はカスタマイズなしに「すぐ使える」こと

 SKYPCEは一般的なSFAとは異なり、導入が非常に容易なことも大きな特長となっている。それは「カスタマイズを必要としない」という設計思想によるものだ。

 「ほとんどのSFAはカスタマイズを前提としているため、コンサルティングも必要なうえ、導入・運用コストもかさみます。また機能が多様なだけに現場の方々は操作方法を覚えるのも大変でしょう。忙しい営業の方々が苦労して時間を確保し、研修会や説明会に出席してもなかなか使いこなせないということもよくお聞きします。その点、SKYPCEはすぐに現場で使えることを優先したベストプラクティスを想定して開発されていますから、即座に利用を始められるようになっています」(金井氏)

 SKYPCEのSFA機能が主にターゲットとするのは、まだSFAやCRMを導入していない中堅・中小企業である。総社員数に対して営業担当者が少ない企業やIT部門の規模が小さい企業では、営業活動における細かい業務フローがドキュメント化されていることは少ない。そもそも、それらの情報を持っているのは第一線で活躍している営業パーソンであり、多忙な彼らを拘束してコンサルティングを受け、仕様を決めていくのは現実的ではない。SKYPCEのSFA機能は、営業をする中で、見積や予実管理、受発注などが、既に何らかの方法で行われていることを想定して設計されている。名刺交換によるリード獲得から受注までの管理に特化することで、費用対効果が高いうえに、名刺スキャン枚数と利用ユーザー数に合わせて2種類のライセンスから選べるシンプルな料金体系となっている。もちろん、既にSFAやCRMを導入している企業であっても、SKYPCEでデジタル化された高精度な名刺データを、現在使われているSFAやCRMなどのシステムに送り込んで連携しながら活用できる。

営業の抜け・漏れを防ぐ新機能が追加

 こうした設計思想のもと、SKYPCEは営業名刺管理ツールとして機能拡張を行ってきた。また、実際の営業現場からは「案件の進捗をより分かりやすく把握したい」「対応の抜け漏れを防ぎたい」といった、より具体的な要望も寄せられるようになってきたという。

 そこでSKYPCEでは、営業活動をさらに支援するための機能が継続的に拡充され、マーケットインでSFA機能が作られてきている。ここからは、そうした新たに追加・強化された機能について見ていきたい。

 先に紹介した「リード管理」では、確度の高いリードを効率的に育成するためのステータスを表示できるようになった。それぞれの内容を「新規」「評価中」「受注」「失注」といった形で設定することで、進捗が分かりやすく可視化され、的確な状況判断を支援する。顧客ごとの適切な接点タイミングを逃さないリマインダーも用意されており、次なる営業アクションを登録しておくことでタスク漏れや機会損失を防止できる。

図2 一目でステータスが分かるリード一覧の画面

図2 一目でステータスが分かるリード一覧の画面

将来的に商談や取引を行う可能性がある見込み顧客の名刺情報を「リード」として登録。組織全体で共有しながら、それぞれのアプローチ状況も可視化する。リードの育成状態を分かりやすく可視化するステータス機能も備えている

 「営業は1回では終わらない継続的な業務です。これまでは各担当者の頭の中だけで次なる営業戦略やスケジュールが管理される傾向が強かったのですが、他の人からは見えないだけに、抜け落ちてしまうリスクがある。しかしSKYPCEならチーム全体で状況を把握して案件や取引先単位で次なるアクションを管理できるので、業績拡大に加えて顧客との長期的な関係構築にもつながります」(金井氏)

 案件管理・顧客管理にひも付く新着コメントやリマインダーは、それぞれの担当者宛に通知が入ると、SKYPCEのWebページを開いたタイミングで「お知らせ」画面に表示されるため見落とす心配がない。スマートフォンでのプッシュ通知も可能なため、外出先からでも活動記録やリマインダーの登録・閲覧を行える。

AIは“分析”ではなく“理解”のために使う

 新たに「AI要約」機能も追加された。これは活動記録に蓄積された営業履歴を、担当者やマネジメント層のオーダーに合わせてAIが要約し、ポイントを絞った情報を提供するものだ。

図3 営業履歴をAIで要約・分析が可能

図3 営業履歴をAIで要約・分析が可能

「活動記録」に蓄積された営業履歴を、営業担当者やマネジメント層のオーダーに合わせてAIが要約・分析。ポイントを絞った状況把握に役立てたり、今後の営業戦略の参考として活用したりできる

 「活動記録は蓄積されればされるほど情報量が増えていきます。当然ですが、これらすべてをマネージャーが読むのは現実的ではありません。そこで商談の全体像、キーパーソン、顧客の関心、次の推奨アクションなどをAIがポイントを絞って抽出し、必要な情報を素早く把握できるようにしました。重要なのは高度な分析ではなく、必要な情報を素早く把握することにあります。要約したい内容はポジションごとに異なりますから、それらもキーワードで自由に選択することが可能です。これによりマネージャーの業務効率をアップしながら意思決定の質とスピードを向上させることができます」(金井氏)

 SKYPCEは単体のツールとして導入できるが、既にSalesforceやkintoneなどを使っている企業でも、名刺データや接点情報の「入口」として連携させ、顧客管理やマーケティング活動などに柔軟に活用することが可能だ。SKYPCEに登録される名刺情報は、AI-OCRに加えてオペレーターの確認・修正を通してデータの正確性を担保しているため、他社サービスでも安心して利用できる。それとともに、企業における顧客データベースや営業パーソンが普段使用する顧客名刺管理ツールとして、出先のスマートフォンからでも個人情報を適切に保護し、安全に利用することも可能だ。

 「SKYPCEは既存ツールの置き換えではなく、企業規模やITの成熟度に応じて使い分けられる名刺・営業データの入口として、相互の強みを補完できるポジションになると思います。将来的には様々なシステムと双方向に連携し、取引情報や重要顧客情報などをSKYPCEに取り込み、営業担当者の業務をさらに効率化できるように進化させていきます」と語る金井氏。

 「入力させる」のではなく「自然にたまる」設計思想で開発されたSKYPCEは、SFAとして「高機能を追求」するのではなく、「誰でも使える」ことを何よりも重視している。中堅・中小企業がすばやく営業DXを促進させるためには最適なツールの1つといえるだろう。