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「人の運用力」で支援する
保険会社のデータセンター移転
保険金や年金など、生活に直結するお金を扱う保険会社には業務の停止が許されない。また契約者の機密性が高い情報を預かることから、セキュリティにも高い水準が求められる。
2025年11月、およそ250万の保有契約件数を持つ大樹生命保険(大樹生命)のバックアップデータセンターの移転が実施された。移転先は強固な地盤で地震の被害が少ない高松市にあるSTNetデータセンター「Powerico(パワリコ)」だ。
パワリコはどのような点を評価され、大規模移転プロジェクトはどのように成功したのか。大樹生命、同社のシステム基盤開発などを担う大樹生命アイテクノロジー(TLI)、IBMから分社化したIT(情報技術)インフラ企業のキンドリルジャパン(キンドリル)、そしてパワリコを運営するSTNetの担当者が語り合った。
止まらないシステムを支える「立地」と「設備」
データセンターに求める条件を教えてください。
濱口 業務の継続性です。保険会社の重要な役割は、契約者であるお客さまの暮らしと安心を支えるため、保険金や給付金を、確実にお支払いすることです。そのシステムを運用するデータセンターには高い安定性を持って運用できることが求められます。
その観点からパワリコをどう評価しますか。
濱口 香川県高松市の立地は大きな利点でした。当社のメインデータセンターは東日本の千葉県柏市にあり、西日本の高松とは距離があります。そのため、同時被災のリスクを軽減し、災害発生時の事業継続性を高めます。
電力供給エリアが異なるため、同一エリアで発生する大規模停電リスクを避けられることも利点と判断しました。
首都圏営業部 部長高橋宏幸氏
我妻 当社の役割は大樹生命の業務に必要なシステムを安定的に稼働させることです。その機器を預ける施設の堅牢(けんろう)性は重要です。パワリコを訪れた際に見た免震設備や電源・通信の冗長化を含む高い事業継続性を支える仕組みに安心したことを覚えています。
高橋 香川県は地盤が安定し、地震の被害が少ない地域です。さらに、パワリコでは震度7クラスでも被害を最小限に抑える基礎免震構造を建物に採用しています。電源も異なる変電所からの2系統受電に加え、無停電電源装置や非常用発電機を備えています。当社は四国電力のグループ会社です。安定した電力供給体制を構築できる点も強みです。
7段階の厳重な対策でセキュリティを担保
データセンターには、高いセキュリティ性も求められます。
濱口 当社はお客さまの体況状態や契約内容、保険金・給付金のお支払いに関する情報など重要な個人情報をお預かりします。そのため、セキュリティ体制は慎重に見極めました。パワリコは金融情報システムセンターが定める安全対策基準に適合しており、その点も安心材料となりました。
土方 現地に足を運ぶたびに、多層的なセキュリティ体制の確かさを実感します。サーバールーム入室前にはセキュリティゲートでの常駐警備員による確認に加え、生体認証による入退室管理を実施するなど、機器に触れるまでに7段階のチェックがあります。
短期移転を成功に導いた役割分担と柔軟な対応
システムアナリスト濱口裕也氏
立地やセキュリティといったハード面以外でパワリコを評価している点はありますか。
濱口 担当者と綿密なコミュニケーションを取れることです。計画中には、有事の連絡体制や役割分担を協議でき、安心感を持って移転を進められました。その強みが表れたのが移転作業時です。移転のために確保できた期間は連休の3日間のみでした。その限られた期間での移転を実現できたのは、当社とTLI、キンドリル、STNetの4社で対話を重ねてきたからです。
我妻 対話を通じて行ったことのひとつが、明確に役割を分けることです。大樹生命が計画の全体統括と妥当性評価を行い、キンドリルとSTNetがケーブルや電源の準備などのハードウエア面を担当しました。こうした分担により、私たちは本来の業務であるネットワークやシステムを新センターで動かすための調整に専念できました。
土方 ハードウエアとソフトウエアの作業をスムーズにつなげられた理由のひとつは、STNetの柔軟な対応があったからです。例えば、工事の短期化です。通常より早い段階で、データセンター内の環境を整えていただきました。そのおかげで、TLIによるネットワークの疎通(通信確認)などの事前準備ができ、万全の体制で移転作業に臨むことができました。
高橋 機器を預かるだけでなく、パートナーとして顧客企業の事業継続やIT戦略の実現を支援することを当社は目指しています。そのために必要なのが「人による運用力」です。企業の事情を理解しながら、柔軟に要望に応えることを大事にしています。
「人」が支える運用開始後の安心感
技術・運用本部 ワークプレース基盤グループ
グループマネージャー我妻祐樹氏
土方 運用開始後にも、「人」の頼もしさを感じました。高松という土地柄、技術員の多くがデータセンターの近隣に住んでいます。トラブルが起きてもすぐに駆けつけてもらえるのは大きな強みです。
我妻 何かがあったときに、キンドリルと連携しながらSTNetの技術員が機器の状態をすばやく確認してくれる保守体制を心強く思っています。そのため、千葉県と香川県の距離に不安を感じたことはありません。また、運用面の仕組みが整っている点も高く評価しています。機器を追加する、ケーブルを引くなどの新たな作業に対する標準メニューが用意されているため、スムーズに計画を立てられます。
IT基盤を支えるデータセンターのあり方
デリバリー・パートナー土方秀樹氏
AIの台頭などビジネス環境が激変する中、これからのデータセンターに求められることとは何でしょうか。
土方 企業経営において、AIをはじめとした高度なIT活用は欠かせません。そのためには、より大きな電力が必要となるでしょう。それを支えるのがデータセンターの電源設備です。パワリコの定格容量は1ラックあたり最大21kVA(キロボルトアンペア)で、一般的なデータセンターと比べて大容量です。さらに1つのラックに多くの機器を集約することで生まれる余力は将来の選択肢を広げてくれます。
我妻 高電力化は発熱とセットで、データセンターでは熱への対応も今後の課題です。その中で、パワリコではラック単位の空調設計を取り入れるなど、最新の設計が採用されています。当社はパワリコを次世代データセンターとして位置づけ、将来のシステム更改や機器の増設を見据えています。
高橋 次世代データセンターの観点で言えば、高電力と高排熱性を備えるパワリコでは、AIの活用に必要な基盤となる画像処理半導体(GPU)サーバーの受け入れが増えています。その引き合いが急増する中、発熱量の多いGPUサーバーに対応する液冷のハイブリッドデータセンターも計画中です。今後も、高松の立地と設備、そして「人」の運用力でデータに関する安全安心を担保し、「預けてよかった」と思えるデータセンターの構築を目指します。
濱口 ITの活用は、経営課題そのものです。システムの多様化や構成の変更に素早く柔軟に対応することが今後の企業の成長を支えます。
データセンター移転は、単なる機器(設備)移転ではなく、自社の事業継続性とIT戦略を見直す好機となります。今回のプロジェクトは、単なる機器やデータの移設ではなく、システム更改やクラウド活用、セキュリティ強化など、経営戦略としてのITの全体最適化を考える絶好の機会となりました。
※2026年9月16日~2026年10月15日に日経電子版広告特集にて掲載。
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