TeamViewerジャパン
人手不足時代に世界で注目される“DEX”
生産性の最大化を支える新潮流
日本の生産性は
まだまだ向上の余地がある
シニアエンタープライズソリューションエンジニア
日吉 潤一郎 氏
現在の労働力人口が不足した状況について、TeamViewerジャパンでシニアエンタープライズソリューションエンジニアを務める日吉潤一郎氏は次のように語る。
「日本の就業者1人当たりの労働生産性は、OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中28位となっています。このデータが示すのは、少子高齢化による労働力人口の減少が進む中でも、『日本の生産性には、まだまだ改善の余地がある』ことです。つまり、人手不足対策の本質は生産性を高めることだと考えられます」(日吉氏)
続いて日吉氏は、日本の生産性を高める壁となっている労働環境の課題へと話を進める。業務のデジタル化、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)への高い依存度、ワークスタイルの多様化といった環境変化に伴い、複雑化するデジタル環境をいかにケアするかが重要になっていると日吉氏は語る。
「DXが浸透するほど、デジタル環境の良し悪しが生産性に直結します。『デジタルフリクション』、すなわちデバイスやソフトウエアの不具合で作業が阻害される状況は、従業員1人当たり毎月3時間程度とも言われ、従業員の生産性低下に大きく影響しています。また不具合対応としても高度化しており、解決までの時間も長くなるため、IT部門でも非効率性を実感している状況です」(日吉氏)
こうした課題を解消し、生産性を高めるために生まれた概念が「DEX」だ。世界最大規模のITシンクタンクである米ガートナー社の定義によると、「従業員が業務で使用するデバイスやアプリケーションなどがストレスなく使えているか」を指す用語であり、「デジタルフリクションを抑え、継続的な改善をしながら生産性を高められる業務環境を提供することが、DEXの目指すところです」と日吉氏は説明する。
4つの柱やAIを備えた
統合プラットフォーム
同社では、「TeamViewer DEX」というDEXプラットフォームを提供している。さらに、2025年5月には、これを包括する統合デジタルワークプレイスプラットフォームとして、「TeamViewer ONE」をローンチした。
TeamViewer DEXは、従業員に貸与したPCやスマートフォンなどのデバイスのデータを可視化し、個々のデバイス内で起こっている問題を“インサイト”としてAIが報告する。デジタルフリクションの解消において重要な、4つの柱となるのが「可観測性」「自動化」「修復」「検証」だ。
TeamViewer DEX とは:デジタルフリクションのない環境へ
可観測性とは、従業員が使う1台1台のデバイスがどのような状態なのかを可視化する仕組みだ。「デバイスにインストールしたエージェントが、ハードウエアやソフトウエアの資産情報、ログインやダウンロードの履歴、パッチの適用状況などを収集する他、従業員から報告のない不具合や潜在的なトラブルについてもAIが特定するため、生産性の低い状態が続くことを防ぎます」(日吉氏)。
可視化した問題を解決するのが、自動化と修復である。
「自動化では、デバイスがセキュリティをはじめとする各種ポリシーに準拠しているかをチェックし、問題があれば設定修復、不要ソフト削除、アプリケーションのバージョン統一といった対応を自動で実行します。修復は、専門エンジニアがいなくてもベストプラクティスのIT管理が実現できる機能です。高度な修復作業や確認内容がパッケージ化された3000以上のテンプレートから該当作業を選び、パラメーターを設定して実行するだけで完了し、重要作業は承認フローを設定することで安全に管理されます」と日吉氏。今後は自然言語で操作できるよう、AI機能も強化していく予定だと話す。
そして、デジタルフリクションの状況について、安定性、機動性、パフォーマンス、ユーザー感情の4つの指標で数値評価するのが検証だ。「DEXならではと言えるのが、ユーザー感情で、ポップアップ式のアンケートを行います。問題があれば数クリックで原因を特定でき、生産性に適したデジタルワークプレイスであるかどうかの診断ができます」と日吉氏は話す。
4つの指標でデジタルフリクションの状況を数値評価
生産性でもコスト面でも
大きな効果を生むDEX
TeamViewer DEX導入による投資効果について、定量・定性の両面から日吉氏は紹介した。
「目に見えるコスト削減効果として期待できるのが、PCなどのデバイスの利用実態やソフトウエアの稼働状況が可視化できる点です。これによって、ハードウエアのリプレース時期の延長、使われていないデバイスとの交換、不要なアプリケーションのライセンス削除なども容易です。また、自動修復によって、ITヘルプデスクへの問い合わせ工数の削減や、修復時間の短縮、さらには従業員が許可のないアプリケーションをダウンロードした際に削除するなど、コンプライアンスの徹底も実現します」(日吉氏)
日吉氏によると、DEXの投資効果について、「ガートナー社のレポートでは デバイスの総所有コストが10~15%減、デバイス関連で生じる問題が40~60%削減、米フォレスター・リサーチ社も半年間の生産性が287%増加、サービスデスクの対応時間が50%削減といった効果を報告しています」と話す。
既にグローバルでは、TeamViewer DEX導入による効果を実感する声もあがっている。ITヘルプデスクの課題解決を目的に導入したのが、カナダのメガバンクであるRoyal Bank of Canadaである。
「ITヘルプデスクに、現場対応が必要な問い合わせが頻発していた一方で、原因の特定に時間がかかっているという課題を抱えられていました。導入の決め手となったのは、自動修復機能に加え、ServiceNowとの連携が可能だったことだと伺っています。導入後は、主要な5つのトラブルを自動化しただけで、問い合わせが約7万5000件、対応時間が約6万7000時間の削減となり、従業員満足度の改善にも貢献しました」(日吉氏)
他にも、2025年版のフォーチュン100「働きがいのある企業ランキング」に選ばれた企業の約3分の1が採用し、成果をあげているという。日本市場においても、デジタルワークプレイスの改善、企業の生産性の最大化へ向けて貢献していきたいと話し、日吉氏は講演を終えた。