日本企業においても、AIのビジネス活用は日常化しつつある。TeamViewerが2026年5月に日本を含む世界10カ国4200名を対象に実施した調査※1によれば、回答者の75%が毎日1回以上はAIを利用しており、業務の効率化やクオリティの向上といったメリットを明確に実感しているという。
一方で、今回の調査では「AIコンフィデンス・ギャップ」と呼ばれる新たな課題も浮き彫りになったとTeamViewerの鈴木仁氏は指摘する。
「業務の支援ツールとしてAIを利用することには前向きな一方で、AIに大きな権限を与えて自律的に行動させることには慎重な姿勢が見られました。『AIコンフィデンス・ギャップ』と呼ばれる、人間が主導する『AIアシスタント』としての利用に抵抗はないものの、AIが人の承認を経ずにアクションを起こすことに対する懸念が拭えない状態です。実際調査でも、回答者の61%が『AIの独自判断によるアクションを望まない』と答えています」(鈴木氏)
しかし、「この結果は一概に、システムの自律化そのものを否定しているわけではありません」と鈴木氏は話す。
「回答者の40%が、業務に影響が出る前にAIが問題を検知・修復し、その内容を利用者に知らせることを望んでいます。また、必要なときに人が介入できるのであれば、70%がAIによるシステムの自律的なアクションを受け入れられると回答しています。つまり現場が求めているのは、透明性や安全性があり、明確なルールの下で運用されるAI、言わば人間の統制、すなわちガードレールが利いた『信頼できる自律性』なのです」(鈴木氏)
AIエージェントなどの自律運用を見据えて、人々が安心して任せられる「信頼できる自律性」とは、どのような条件で成り立つのか。TeamViewerでは「5つの柱」を提唱する。
アクセス権限や取り扱うデータの範囲を明確化して情報やシステムを守る「セキュリティ」、推論プロセスの可視化による「意思決定の品質」の向上、実行できること・できないことをいつでも設定変更できる「制御」、万が一の誤作動に対して即時に一時停止や処理の取り消しができる「可逆性」、そして「責任の明確化」だ。
「特に『責任の明確化』については、調査回答者の21%が、AIシステムのミスについて自分が責任を問われることを懸念していると回答しました」(鈴木氏)
こうした現場の懸念を解消し、「信頼できる自律性」の構築に貢献するのが、自律型ワークプレイス「TeamViewer ONE」である。従業員が日常的に利用するPCやスマートフォンなどの端末(エンドポイント)やアプリケーションのパフォーマンスといったIT環境をリアルタイムで可視化・分析し、問題を自動解決するプラットフォームだ。
従来のITサポートは、問題が発生してから対応する「事後対応型(リアクティブ)」が中心であった。TeamViewer ONEはトリガー式の自動修復機能により、問題が発生しても影響が出る前に修復できる「先回り型(プロアクティブ)」、さらには学習の蓄積やAIによる分析によって、現場が不具合に気づく前に問題を事前に察知して修復する「予測型(プレディクティブ)」の対応まで実現する。
「バックグラウンドで問題を対処した際に『なぜその判断にいたったのか』という活動ログを残すため、自律型のシステム運用で重要な推論プロセスの可視化の点でも明快です。ブラックボックス化を防ぐことで、企業はガバナンスを維持したまま安全なIT環境の運用が可能になります」と鈴木氏は話す。
加えて、今回の調査では、従業員の多くがAIの出力確認やITトラブル対応などに時間を費やしている実態も判明している。その点、TeamViewer ONEは、過去の問題解決から得られた知見やデータを蓄積・分析し、繰り返し発生する問題を自動化の対象へと転換する。既知の問題を影響が出る前に自動修復するとともに、蓄積されたデータやパターンから問題の予兆を捉えることで、IT運用を事後対応型から予測・予防型へと進化させ、従業員とIT部門双方の負担を軽減する。まさに、適切なガードレールの下でAIの価値を引き出す「信頼できる自律性」の考え方を体現するプラットフォームである。
TeamViewer ONEは、「信頼できる自律性」の実現に向けて既にグローバルで大きな成果を上げている。
グローバルなエンジニアリング企業であるArupは、TeamViewer ONEの活用により、95台の物理サーバーを業務に影響を与えることなく廃止した。さらに、2万台を超えるデバイスを稼働データに基づいて管理し、IT運用の効率化とデバイスライフサイクルの延長を実現している。
また、英国の大手小売企業では、1000店舗以上、2万6000台を超えるデバイスの管理にTeamViewer ONEを活用している。POSを含む店舗端末の状態を可視化し、問題への迅速な対応と安定稼働を実現することで、従業員の負担を軽減し、より円滑な店舗体験の提供につなげている。
さらにアメリカのエンジニアリング・コンサルティングファームのCarollo Engineersでは、TeamViewer ONEを活用して全端末の状況をリアルタイムに可視化。トラブル発生時の対応時間を短縮すると同時に、不要なPC交換を防ぐなどITコストの最適化にも生かしている。
こうした事例を踏まえ、日本市場におけるTeamViewer ONEの価値と今後の展望について鈴木氏は次のように語る。
「日本企業は、世界の中でもAI活用において独自の強みがあります。AIを前向きに活用する一方で、信頼性や説明責任、品質に対する基準が非常に高いのが特徴です。このAIによる革新とガバナンスの両立という日本ならではの姿勢こそが、自律型システムが普及する時代において強力な武器になります。そして、その透明性やガバナンスを支える基盤として、TeamViewer ONEは大きな価値をもたらすと確信しています」(鈴木氏)
現在AIに求められているのは、単に作業を自動化することではない。人とAIが互いに信頼し合い、効果的に協働できるデジタル環境を構築することである。こうした環境を実現する上でも、TeamViewer ONEを代表とするプラットフォームを最大限に活用できる企業こそが、来たるAIエージェントの時代において、次世代の働き方をリードしていくことになるだろう。
※1「Report: Path to the Autonomous Digital Workplace」世界10カ国、4200人を対象に実施(2026年5月)