法人市場で存在感を増すVAIO さらなる成長に向けチャレンジを進める
「クライアントパソコン」部門はVAIOが昨年に続き1位を獲得した。これは法人市場での存在感が大きく増している証拠である。ソニーから独立後の道のりは必ずしも平坦とはいえなかったが、法人ビジネスに軸足を移したことが再建につながり、今では大きく花開いた。2025年12月に社長に就任した糸岡 健氏は、現在の勢いに満足することなく、さらなる成長を目指すと意気込む。
2年連続で1位を獲得してこそ 本当の実力と言える
VAIO株式会社
代表取締役社長
糸岡 健氏
2連覇という今回の結果について、糸岡氏は「本当に嬉しい」と率直に喜ぶ。「2年連続で1位を獲得しないと本当の実力とは言えません。初受賞だけではビギナーズラックと思われてしまいます。全社を挙げて取り組んできたことが結果として現れ、社員と声を出して喜びました」(糸岡氏)
VAIOがソニーから独立して今年で12年。軸足を法人市場に移してから着実に売り上げを伸ばしてきた。Windows 10サポート終了対応が一巡しPC市場全体の需要減に見舞われた2025年度も、売り上げ、利益とも大幅に増加。第4四半期(2026年1月〜3月)には過去最高の出荷台数も記録するなど、業界でも屈指の成長を遂げている。
この成長の裏には、昨年の1位獲得が大いに影響したと糸岡氏は振り返りながら新たな決意を表明した。「VAIOは他社と比べ売り上げの規模や認知度は低いですが、1位受賞をきっかけに多くのお客様に気に留めていただくようになりました。2連覇という結果は、今後のさらなる成長につながっていくでしょうし、つなげていかなくてはいけません」
運用やサポートの領域でも ”3つの理念”を生かす
VAIO株式会社
法人営業本部
サービスソリューション部 部長
西澤 良太郎氏
「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」を追求した製品を届けるという製品開発の3つの理念は、糸岡体制となってからもブレずに受け継がれている。
「カッコイイ」は、「VAIOの至上命題」(糸岡氏)であり、製品の機能美を追求し研ぎ澄ませることを常に意識して開発に取り組んでいる。「カシコイ」では、近年PCに求められるAIエージェント機能を追求。なかでもビデオ会議で利用されるAIノイズキャンセリング機能は実装後も性能を強化することで顧客の声に応えている。
そして「ホンモノ」は、糸岡氏が最も重視している部分だという。「国内(安曇野)に自社工場を持ち、設計から製造まで一気通貫で担える強みを、さらに運用やサポートの領域でも生かせるよう知恵を絞ってきました」(糸岡氏)。その取り組みをリードするのが、西澤良太郎氏が率いるサービスソリューション部である。
サービスソリューション部について、西澤氏は「直接お聞きしたお客様の声をサービスソリューションに反映し、お届けする役割を担う東京の部隊と、その声を製品に反映するとともに運用やキッティングをする安曇野の部隊の両面で活動しています」と説明する。要望やアイデアを迅速に具現化すると同時に、キッティングやサポートも全て国内の安曇野工場で実施することで、顧客の意向を最大限取り入れたサービスの提供を実現している。
2025年8月には、過去に販売したVAIOを買い戻し、厳格な基準で修理・整備した再生PC「Reborn VAIO®」を法人向けに開始した。VAIOはPCの購入価格だけでなく、品質と信頼性によるダウンタイム低減や安定運用を通じて、ライフサイクル全体でのTCO(総保有コスト)最適化を提案している。「『Reborn VAIO®』の登場により、リプレース時まで見据えた提案が可能となり、PCをライフサイクル全体で選定するという考え方を、より具体的に訴求できるようになりました」(西澤氏)
日本初の取り組み 無償バッテリー保証サービス
VAIOでは2026年2月から、日本初*となるバッテリー保証サービスを全PC製品で展開。法人向けPCでは、4年以内に容量が60%以下となった場合にバッテリーを無償で交換できる。
「VAIOでは、バッテリーメーカーと共同で極めて高品質なバッテリーを開発し採用することで安心安全を追求してきました。我々としては当然のことだったのですが、ノジマ チーム入りした際に、こんな良い物をなぜもっとアピールしないのかと指摘されたのです。そこで、ノジマ店舗限定で個人のお客様向けにバッテリー保証サービスを開始したところ、想像以上にお客様から反響があり、法人向けの提供につながりました」(糸岡氏)
バッテリー残量はユーザーの使い方に大きく左右される。そのため、有償の保証サービスを用意することはあるものの、無償サービスとして提供するのは非常に珍しい。糸岡氏は「品質と性能に絶対の自信があるので、無料でいいと判断しています」と胸を張る。
評価項目の中で「コスト」だけはわずかに平均を上回った程度にとどまった。そこで、製品の性能や品質による長期安定運用に加え、無償バッテリー保証サービスなどを通じて、ライフサイクル全体でのTCO最適化につながることを、より積極的に訴求していきたいという。
購入から廃棄までにかかる費用の総額
=TCO(Total Cost of Ownership)削減をサポート
一方、「サポート」の評価については、平均を約4ポイント上回った。だが、西澤氏は「お客様の声を聞く体制が足りなかったです」と反省する。
VAIOでは、パートナー企業と連携したサポート体制をとる。一方で、パートナー企業に任せる比重が高く、顧客の声を直接把握し、製品やサービスの改善につなげる取り組みには強化の余地があったと糸岡氏は分析する。「今後は、お客様の声をこれまで以上に直接把握できるサポート体制の構築に投資していきます。同時に、全部門が安曇野に集結している強みを生かし、お客様の声を迅速に反映する『高速フィードバックループ』をさらに強化していきます」(糸岡氏)
最後に「我々は独立以来『失敗したら明日はない』という気持ちでしたが、もうそのフェーズは終わりました。これからは法人向けだけでなく個人向けにもチャレンジしながら、来年もまた1位を獲得できるよう努力していきます」と糸岡氏は締めくくった。糸岡氏はソニー時代にVAIO事業の立ち上げに関わってきた。現在のVAIOは「失敗してもいいからチャレンジしよう」という前向きに挑戦できる雰囲気が戻り、非常に楽しいと語る。この言葉を聞く限り、今後もVAIOの快進撃は続いていくだろう。
* 日本で販売されている法人及び個人向けノートPCのメーカー標準保証(本体に無償で付帯する保証)により、1年を超える使用に対するバッテリー経年劣化を保証していることにおいて。
2025年11月時点、ステラアソシエ調べ。