
[写真左から]日本ファシリティ・ソリューション株式会社 技術企画室 リーダー 南部 秀樹 氏、同社 企画室 マネージャー 小熊 克典 氏、同社 エネマネ推進室 副室長 大須賀 崇 氏、同社 ICT統括室長 城所 敏夫 氏、同社 ICT統括室 リーダー 佐藤 梓 氏、同社 ICT統括室 シニアリーダー 山下 浩明 氏
全社データ活用を加速する
現場部門とICT統括室の共創モデル
専門分野に強みを持つ中小企業こそ、データ活用によって競争力を高めるべきだ。総合エネルギーサービス事業で成長を続ける日本ファシリティ・ソリューションは、クラウドサービスを利用し全社データ活用基盤を構築した。一般に、ダッシュボードによる可視化では、分散したデータの収集が課題となりがちだが、同社はウイングアークのデータ分析基盤「Dr.Sum」とBIダッシュボード「MotionBoard」をワンセットで導入し、この課題を解決。JFSは、エネルギーのベストパートナーとしてデータを最大限活用し、設備や運転の効率化と提案力の向上を目指す。
“BIだけでは足りない”
浮き彫りになった根本課題
2030年度までに温室効果ガスの46%削減(2013年度比)を目指す日本。エネルギーマネジメントの必要性が高まる中、専門人材不足という課題を解決するのが、東京電力グループの日本ファシリティ・ソリューション(以下、JFS)だ。
JFSは、省エネに関して技術・資金調達・効果保証などをワンストップで提供するESCO(効果保証付き省エネルギーサービス)と、設備の設計・設置から保守・点検まで担うエネルギーサービスの2事業を展開。これらを支えるのがデータ活用だ。同社は2023年、全社データ活用構想を策定した。概要について、JFSの城所敏夫氏はこう話す。「データが正確に長期保管され、サービス・経営・業務処理といった各種領域のデータ活用が進むことで、予知保全・サービス最適化、データドリブン経営、業務全体最適化などを実現していきます」
日本ファシリティ・ソリューション株式会社
ICT統括室長
城所 敏夫 氏
JFSは最初の一歩として他社BIツールを導入したが、すぐに根本的な課題に直面した。データの分散や設備の多様性により、BIツールで使うデータ収集が困難だったのだ。さらにデータ項目やフォーマットが異なり、過去・現在・将来のデータがつながらない。案件情報の長期保存、Excel中心業務による属人化も懸案事項となった。これらを解決するにはDWH(データウェアハウス)の必要性を痛感したと城所氏は振り返る。「しかしオンプレミスでDWHを構築するには多くのコストと手間がかかります」
全社データ活用に向け、JFSが選んだのがウイングアークのデータ分析基盤「Dr.Sum」とBIダッシュボード「MotionBoard」の組み合わせだった。「クラウドでデータ分析基盤とダッシュボードをワンセット提供するソリューションは、他にありませんでした。様々なデータを収集・蓄積し、すぐ活用できる点は、当社がまさに求めていたものです」(城所氏)
APIで自動的にデータ連携
Excelデータも収集・一元管理
日本ファシリティ・ソリューション株式会社
ICT統括室 シニアリーダー
山下 浩明 氏
2024年6月、全社データ活用基盤にDr.SumとMotionBoardの採用を決定した。構築に当たり、データ連携の自動化により大幅な工数削減を実現できたという。「案件情報は業務アプリ開発ツールkintoneに入っています。Dr.SumはAPI経由で簡単に自動連携できます」と同社の山下浩明氏。「従来、週1回kintoneから取り込んで加工していた手間から解放されました」と同社の佐藤梓氏は話す。
JFSでは設備の運転データなどの膨大なデータの長期保存が求められる。クラウドサービスのDr.Sumにより既存データベースサーバーの容量不足の不安も解消された。また、Excel対応も重要だ。「Excel業務をなくすことは現状困難です。Excelデータを簡単に収集できるウイングアークの『SmallData Manager』も導入しました。形式の違いを吸収できるため、Dr.Sumと連携し、システム外のExcelも一元管理を実現できます」(山下氏)
日本ファシリティ・ソリューション株式会社
ICT統括室 リーダー
佐藤 梓 氏
さらに、内製機能の集約も図れたと佐藤氏は話す。「例えば、内製の案件地図は既存BIツールに統合できませんでしたが、MotionBoardには地図機能があるため1つのダッシュボードに集約でき、ユーザーも使いやすくなったと思います」
ウイングアークの伴走型サポートも高評価だ。「ダッシュボード開発しながら特性を学べました。理解すれば、開発者にとって非常に使いやすいツールです」
実績と計画のズレを確認
機能拡張でAI活用に期待
2024年11月に全社データ活用が本格化した。現在、既存BIツールからMotionBoardへの移行が進む。JFSの南部秀樹氏は、「従来、当社データベースから設備の運転データをCSV形式で出力し活用していました。今は、Dr.SumとMotionBoardの連携によりCSVを介する必要がなくなりました。データ連携しやすくなったことで、移行に伴い分析項目の拡充も行っています」と話す。
太陽光発電エネルギーサービスにおけるダッシュボード活用について、同社の大須賀崇氏は話す。「ダッシュボードを使って月間の実績と計画を比較し、予測や運転のチューニングに役立てています。また、太陽光発電による電気を送配電ネットワーク経由で送る自己託送の運用サービスでは、30分単位で予測値を立て実績値とのズレを最小化する必要があるため、MotionBoardで分析したデータを基にして補正をかけています。365日運用されるデータの自動取込反映は、既存BIツールだけでは実現が難しく、これまではスクラッチ開発のシステムで対応していました」
経営管理でもダッシュボードが活用されている。同社の小熊克典氏は、「中期計画の予算策定では、従来Excelデータを集めながら作業していました。今は、複数部署から必要なデータが自動収集され、MotionBoardの画面上で確認できます」と話し、こう続ける。「工数削減とともに、既存BIツールではできなかった過去実績の取り込み、前年比較も行えます。さらにMotionBoardは入力も行えるため、実績想定など担当者自身で必要な情報の追記・修正が可能です」
ウイングアーク製品により、ICT統括室と現場が連携し全社データ活用を目指す基盤を、短期間で構築できたと城所氏は話し、こう続ける。「今後、強化されるAI機能にも期待しています。ユーザー部門と一緒にダッシュボードの利用をさらに拡大し、経営基盤の強化、顧客サービス力の向上を図っていきます」
JFSは、データ活用を推進しエネルギーのベストパートナーとして脱炭素社会の実現に寄与していく。
コアな素データが正確に長期保管され、サービス/経営/業務処理の各領域で分析が浸透することで、予知保全・サービス最適化、データドリブン経営、業務全体最適化等で活用

