顧客満足度調査2026-2027 日経コンピュータ 顧客満足度調査No.1企業に訊く ウイングアーク1st

「AI-Ready」なデータ基盤を通じて 日本企業特有のデータ活用ニーズに応えていく

「データ分析・活用基盤ソフト/サービス」部門で、ウイングアーク1st(以下、ウイングアーク)が5年連続の1位を獲得した。外資系ベンダーを中心に数多くの製品がひしめくこの部門において、同社の製品はなぜ長年にわたりユーザーから高い評価を得ているのか。同社が掲げる「ユーザー主権」の理念や、昨今注目を集める「AI-Ready」なデータ基盤への取り組みから、その圧倒的な強みが見えてくる。

「ユーザー主権」を徹底した 日本の商習慣に寄り添うデータ活用基盤

久我 温紀 氏

ウイングアーク1st株式会社

執行役員CMO

事業戦略本部 本部長

久我 温紀氏

5連覇という結果について、ウイングアークの執行役員CMO・久我 温紀氏は、自社製品が長年ユーザーに信頼されてきた証であると喜ぶと同時に、「結果に至るプロセスこそが重要」だと語る。

「どれだけ素晴らしい技術であっても、現場で実際に使っていただき、お客様の事業成長につながって初めて価値が生まれます。常にお客様の課題を解決し、価値を見出していただくためのプロセスを改善し続けることこそが私たちの使命です」(久我氏)

ウイングアークの事業の原点には、ビジネス現場の担当者が抱える課題をITの力で解決したいという強い思いがある。データ集計処理の遅さやコストの高さを解消するために生まれたデータマネジメント基盤「Dr.Sum」や、現場のデータ可視化ニーズに応えるデータアプリ基盤「MotionBoard」は、まさにそうした理念を体現したもの。現在はAIテクノロジー「dejirenAI」を加え、データの収集から可視化、AI活用までをシームレスにつなぐ環境を提供している。

データ活用の市場は技術トレンドの移り変わりが激しいが、ウイングアークが一貫して競合他社との差別化を図ってきたのは、日本の組織文化や商習慣に適合したソリューションを提供するという姿勢である。

「我々は日本の企業が本当に必要とする機能やサポートを重要視しており、例えば各部門に散在するExcelデータを直接吸い上げて活用できるような、日本特有の組織事情に合わせた設計を行っています」(久我氏)

今回の調査では、「運用性」「コスト」「サポート」の項目で特に高く評価された。その要因として、久我氏は「TCO(総保有コスト)を抑える価格設計」や「周辺環境まで含めた伴走型のサポート体制」を挙げる。

ソフトウェアライセンス体系の変更によるコスト高騰などが懸念される中、ユーザー企業が自らITとデータの手綱を握る「ユーザー主権」の確立を支援する姿勢を貫いてきたことが、高い信頼につながった。

AIの実用化を左右する 「AI-Readyなデータ基盤」へ

近年の生成AIの急速な進化を背景に、企業のデータ活用は新たなフェーズを迎えつつある。ウイングアークでも自社製品にAI技術をいち早く取り込んできたが、その一方で「昨今のAIブームに踊らされないことも重要です」と、久我氏は指摘する。

「AIはあくまでも確率論に過ぎません。従来のプログラムで明確に答を導き出せる問題領域については、むしろ従来通りの手法を用いた方が解を安定的かつ低コストで得られるケースもあります」

AIを用いるにしても、社内データをそのままAIに読み込ませるだけでは、精度の高い回答は得られず、AIプロジェクトが本番化に至らないケースも多い。イントラネット内のデータはAIにとって文脈が不足しているため、十分な精度が得られないだけでなく、ときにはハルシネーションを引き起こす要因にもなり得る。そこでウイングアークが提唱しているのが、「AI-Readyなデータ基盤の構築」である。

「単純なデータベースのデータだけでは、AIは賢く機能しません。セマンティクス(意味付け)やオントロジー(意味と関係性整理)といった概念を取り入れ、AIが正しく解釈できる状態にデータを整備できるよう、データ基盤自体の定義を大きくアップデートする必要があります」(久我氏)

ウイングアークは、各データが何を意味するのかを定義する「メタデータ」を管理する機能の実装を、最新バージョンのリリースに向けて進めている。このメタデータを通じてAIにデータの意味を与えることで、AIが文脈を正しく把握して高精度な回答を返せるようになる。

また、各種AIツールやAIエージェントから自社製品を利用するためのMCP(Model Context Protocol)対応も進めており、AI時代のガバナンスに必要なデータマネジメント機能を網羅的に提供している。

Dr.SumとMotionBoardでデータの「収集」「蓄積・加工」「管理・ガバナンス」「活用・入力」「連携」までを網羅

Dr.SumとMotionBoardでデータの「収集」「蓄積・加工」「管理・ガバナンス」「活用・入力」「連携」までを網羅

大規模データ対応の強化と 現場の要望に応える機能拡張を継続

ウイングアークの製品は既に多くの企業で、AIを活用した「攻めのデータ経営」を支えるデータ基盤として導入が進んでいる。例えばヤンマー建機では、MotionBoardの最新のAI機能を活用することで、生産計画策定のための作業時間を50%削減することに成功した。また、東急不動産ホールディングスでは、Dr.SumとMotionBoardを導入して全社的なデータ統合を実施した結果、年間1000時間の業務削減と全事業横断のDX推進基盤を実現している。

こうした需要の拡大を受け、ウイングアークは今後も最新技術への先行投資を継続していく方針だという。特に現在注力している施策の1つが、「大規模データ対応の強化」である。

「Dr.Sumに大量のデータを投入して全社基盤として活用したいというニーズが増えてきており、これにお応えするための投資を進めています。また、FDE(Forward Deployed Engineer)的な役割を担う伴走型の支援体制や、業種別の専門部隊も強化しています」(久我氏)

さらには、需要が高まる地図データの可視化機能を無償で提供するなど、現場の「見たい・使いたい」を叶える機能拡張も継続している。2026年はこうした製品の進化の集大成として、Dr.Sumの最新バージョンをリリースする予定である。

このようにテクノロジーの進化に追随しつつも、「ITの手綱を握るのはあくまでユーザーであるべき、という信念を大切にしています」と、久我氏は力説する。

「データテクノロジーは社員や組織を豊かにするためのものであり、データはどこまで行ってもユーザーのものであるべきです。私たちは日本のユーザーの経営に対して、最適なデータ基盤であり続けられるよう惜しみなく投資を続けていきたいと考えています」