
オカムラが挑むサプライチェーン改革
製品在庫15%削減、製品倉庫費用4億円/年削減に貢献
多品種変量生産に対応するサプライチェーン改革において、いかにトップダウンとボトムアップの両輪を回していくか。鍵を握るのが、経営層と現場が同じデータで会話ができる仕組みだ。オカムラはデータアプリ基盤MotionBoardとデータマネジメント基盤Dr.Sumを導入し、日程管理指標などの部門横断ダッシュボードで、意思決定の迅速化や在庫最適化、KPI遵守率向上を実現。現場でデータを活用する風土が醸成されてきた。
多品種変量生産に挑むサプライチェーン改革
壁は部門横断のデータ活用
「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」をミッションに掲げるオカムラ。1945年創業の同社は、日常生活用品の製造からスタートし、オフィス環境、商環境、物流システムなど事業領域を広げてきた。80周年を超えた2026年5月には長期ビジョン「Beyond Breakthrough 2035―現状を変革し、新たな創造に挑戦する―」を策定。その中で示した2035年の目指す姿「HUMAN-ORIENTED COMPANY―人を想い、場を創る。―」の実現に向けて歩みを進める。
株式会社オカムラ
サプライチェーン本部
サプライチェーンマネジメント部
課長
芝山 博紀 氏
顧客ニーズが多様化し、トレンドが変化する中、オカムラは企業変革に取り組んできた。中期経営計画2025(2023~2025)では、多品種変量生産に向けたサプライチェーン改革を重点テーマとした。従来の課題について、オカムラ サプライチェーン本部 サプライチェーンマネジメント部 課長 芝山博紀氏は次のように話す。
「当社の課題は、需要の繁閑差の大きさ、特に3月は受注が通常の1.5〜2倍まで膨らみます。この波に対応しながら適正在庫を保ち、リードタイムを短縮し、コストをかけずに生産性を上げる。それが本来の課題でした。そのためには、経営層と現場が同じデータを見て、サプライチェーン全体をリアルタイムに把握する必要があります。しかし従来は、他部門の状況を知りたいときに担当者にメールや電話で問い合わせたり、直接聞きに行ったりするしかなく、非効率であるとともに機会損失のリスクがありました」
サプライチェーン改革は、トップダウンとボトムアップの両輪で進むことが求められる。そうした取り組みのベースとなるのが、経営層と現場の間で共通言語として同じ情報を見ることだ。その実現に向け、オカムラはデータアプリ基盤MotionBoardの活用に踏み出した。
部門横断ダッシュボードを新たに構築
日程管理指標で“情報の壁”をなくす
2023年に、オカムラでは設備稼働状況の把握、スタッフ構成管理などを目的に、まずは工場単体でMotionBoardを導入。「従来、データを活用しダッシュボードを作成するのは難易度が高く、現場での活用は困難でした。それを解消し現場で使えるBIツールとして採用したのがMotionBoardです。その使い勝手や、1つの画面で複数データを見せる視認性などを評価し、部門横断データの活用に取り組むことにしました」(芝山氏)
部門横断データの活用で課題となるのは、いかに効率的に社内に散在する大量データを収集・加工・分析するか。これを解決するために、オカムラはウイングアークのデータ分析基盤Dr.Sumを導入。基幹システムやExcel、IoTデータなど多様なデータの収集・高速集計により、ダッシュボードをスピーディーかつ幅広い領域で活用できる。
2024年からオカムラが「MotionBoard + Dr.Sum」を使って取り組んだ部門横断ダッシュボードの代表格が、生産部門の経営層から要望があった「日程管理指標」だ。
「当社では、数百アイテムの常備在庫品があります。どんなに受注量が増えても、絶対在庫を切らしてはいけないものです。従来、営業は機会損失を回避するために常備在庫の状況を生産部門に確認し、生産部門は常備在庫の確保に向けて営業に受注状況を聞いていました。経営層と現場、生産と販売間の“情報の壁”をなくすのが日程管理指標です。今は、納期回答、常備在庫や未応答製品の状況、受注生産品の進捗などを、経営層含め登録ユーザーにダッシュボードで最新状況を配信し、必要なときにその場で見て確認しています。問題点の把握や次の一手の迅速な実行、KPI遵守率の向上が図れました」(芝山氏)
日程管理指標は、朝と午後の1日2回自動更新される。受注状況によって常備在庫に影響が出るからだ。生産本部では、オカムラのMAXHUBミーティングボードに日程管理指標を表示し、それを見ながら経営層と担当者が会話することで、コミュニケーションの質とスピードの向上を図っている。画面をタッチすれば商品ごとの詳細データまでドリルダウンできる点も、MAXHUBとMotionBoardを組み合わせる大きなポイントだ。また、モニターに常時表示することで、わざわざデータを探しに行かなくても自然と目にする習慣ができるというメリットもある。
納期回答状況や常備在庫の充足状況などを一覧で確認できる
2026年2月には、営業向け「製品在庫検索」ダッシュボードの提供を開始。すぐ出荷可能な製品を一覧で見ることができる。営業現場からのニーズに応えたものだ。「営業が即納できる製品を知りたいときにとても重宝しています。繁忙期などに工場での生産は難しいけれど、即納できる製品を提案することで機会損失防止とともに在庫削減にもつながります」(芝山氏)
現場の声を映すダッシュボードへ
データ連携から作成まで一貫対応
「日程管理指標」ダッシュボードの作り込みではウイングアークの支援を受けた。「日程管理指標は生産や営業の複雑な構成要素や要望に応えることが求められました。当社で『こういう要素を組み込みたい』というイメージをExcelで作成し、それを基にウイングアークが画面を作成し、アジャイル開発で改善を繰り返し約4カ月でサービスを開始しました」(芝山氏)
ダッシュボードの作成では、部門横断のデータ連携が難しかったと芝山氏は振り返る。「ウイングアークはデータ加工・分析を熟知しています。データ連携とダッシュボード作成を統括してフォローしてもらったことで、部門横断データ活用を実現できたと思っています」
ウイングアーク支援を受け、各部門や工場でMotionBoardのダッシュボード操作方法についてハンズオンを実施した。そこで学んだ従業員が部内に広める役割を担った。またダッシュボードを使ってPSI(生販在計画)会議を進める中で、参加者は問題点の見つけ方や、ドリルダウン(深掘り)などの使い方を身に付けた。
製品在庫15%削減※1、製品倉庫費用4億円/年削減※2
現場までデータ活用の風土が浸透
「MotionBoard + Dr.Sum」導入による部門横断ダッシュボードは、「中期経営計画2025」における製品在庫15%削減※1、製品倉庫費用4億円/年削減※2、納期遵守率95%から99%への向上などに貢献した。「中期経営計画2028」では、データドリブン経営による経営管理の高度化・意思決定の迅速化、サプライチェーン最適化が継続重点テーマだ。定量目標として在庫保有月数1.2カ月から0.6カ月への短縮を掲げる。部門横断ダッシュボードに対する期待も大きい。
※1:年間平均製品在庫高
※2:倉庫賃貸料+自社倉庫減価償却費
日々の業務、会議、振り返りなどでダッシュボードが利用されている。「当初は、ダッシュボードの作り込みはウイングアークに協力してもらっていました。そこで得た知見やノウハウを活かし、最近では社内で『MotionBoard + Dr.Sum』を使える従業員が出てきました。利用者からの要望に対し、パッと作成して提供するといったスピード感はこれまでにはないことです。データドリブン経営の実現に向け、経営層はもとより現場でデータを活用する風土が醸成されてきたと感じています」(芝山氏)
今後について芝山氏は展望する。「標準化を推進するために共通MES(製造実行システム)で同じ器にデータを入れて進捗や品質データを一元管理する取り組みを進めています。そこに『MotionBoard + Dr.Sum』を使って管理指標を出すというのが次のステップです。また、ダッシュボードによる可視化の先にある、『誰がどのデータを見てどのようなアクションにつなげるか』という取り決めも重要なテーマです。ウイングアークの知見や提案を期待しています」
HUMAN-ORIENTED COMPANYへ企業変革を推進するオカムラ。ウイングアークの支援を受けながら、サプライチェーン改革の成功に向けて歩みを進めていく。
※掲載情報は2026年10月時点のものです。


