Special Interview これまでも、これからも 私らしく時を刻む
菊間千乃 Yukino Kikuma 人に拍手を送るだけの人生ではなく、 自分に頑張ったと言える人生を歩みたい

フジテレビのアナウンサーとして活躍中に法科大学院大学に入学し、現在は弁護士として活動している菊間千乃さん。その活躍は目覚ましく、2022年3月には所属弁護士事務所入所から10年という異例のスピードで代表パートナーに就任しています。弁護士であり、さまざまな企業の社外取締役やテレビのコメンテーターと多彩な顔を持つ菊間さんに、仕事への取り組み方、自分らしく一歩を踏み出すための秘訣を伺いました。

今あるリスクをゼロにできるだけの
気合いはあるのかと自分に問うた

 菊間さんは39歳の時に、アナウンサーから弁護士という全く異なる職種へと転身しています。そのきっかけはなんだったのでしょうか。

 「フジテレビに入社する時は、『アナウンサーを10年やったら、司法試験を受けて弁護士の資格を取ろう』と考えていました」と菊間さん。入社した当時のアナウンサーは若い人が重宝され、30歳を過ぎたらテレビ画面に出るのは難しい。結婚したら担当番組を降りる、出産したら大きなレギュラー番組は持たせてもらえないというような時代です。

 そこで菊間さんは、「まずはそこを打破しよう」と、こんな計画を立てたそうです。「世の中も視聴者もそういう見方をしているなら、私は将来結婚して産休中に司法試験を受け、35歳で合格した状態でアナウンサーに復帰しよう。若い人にはない武器があるわけだから、そのポジションで攻めていける。アナウンサーとして違うキャリアの積み上げ方ができるはず」

 とはいえ、アナウンサーは激務。そのための勉強をやろうとは思うものの、仕事の忙しさもあってつい先延ばしにしていました。けれども、32歳の時にチャンスが訪れます。

 「レギュラー番組が1つ終わって、朝の番組だけになりました。働きながら通える夜間のロースクールもできると聞いて、行けるかもと思ったんです」

 また、取材を通して、オリンピック選手たちと関わったことも影響が大きかったといいます。

 「数年にわたるオリンピック取材で、柔道の谷(旧姓:田村)亮子選手の金メダルを間近で見ることができました。ものすごく感動したのと同時に、谷選手の努力が走馬灯のように見えてきて、自分は何をやっているんだろうって思ったんです。取材は楽しいけれど、人に拍手を送るだけの人生ではなくて、自分で自分の人生を切り開いて、頑張ったっていえる人生を歩みたいなって。それで、『私には入社の時から司法試験という思いがあったじゃないか』と改めて思ったんです」

 しかし入学して3年ほど経ったころ、菊間さんはフジテレビを辞めて司法試験の勉強に専念することになります。当時、「三冠王で給料もいいフジテレビを辞める必要はないだろう」と、誰一人として賛同しないなかでの決断でした。

 「働きながらの勉強では頑張っても平日は1日3時間が限度です。週末はずっと勉強するけれど全然間に合わないし、会社に行きながらでは司法試験に落ちるという確信がありました。会社を辞めてここから一生懸命勉強すれば、本番の試験までに今あるリスクをゼロにできるのか。それだけの、やる気と気合いはあるのかと自分に問うたときに、『ある』と即答できたから、自分を信じてやってみることにしました」

 人一倍努力家の菊間さん。運に頼ることなく努力を続け、周りの人に対する感謝も心掛けてきました。それがキャリアを積み上げ、今につながっていることは、その活躍ぶりを見れば分かります。

 「運がいいという言葉は好きではないんです。身も蓋もないじゃないですか。運がいいのではなくて自分で努力しているからだっていえるようにしているし、同時に自分を支えてくれる周りの人がたくさんいるからこそ今があるのだということを忘れないようにしています。そんな方たちがたくさんいるから、その期待に応えようと努力できるんです。その結果として、人生が前に進んでいるという気がしますね。そうすると、1+1が2じゃなくて3にも4にもなって、どんどん広がっていくのを感じます」

能動的になることで成果が生まれ、
つまらなかった仕事まで楽しくなる

 そんな菊間さんですが、フジテレビに入社してしばらくは出番も少なく、思うような仕事ができない日々が続いていたといいます。では、何をきっかけに人気番組で活躍できるようになったのでしょうか。

 「信頼しているディレクターさんから、『菊間は制作側のマインドもあるから、企画書でも書いてみたら』って言われたんです。そこで思いついたのが、阿佐美冷蔵さんの天然氷をつくる1年を追うという企画です。

 アナウンサー2年目の女性が出した企画ということで、『面白い、やろう!』となり、すぐ採用になりました。製作費400万円が出て、カメラマンさん、音声さん、ディレクターは個別でつけてもらい、そこから1年間の取材の始まりです。土曜朝の番組が終わったら、自分の車で秩父の長瀞に行って取材し、そのまま泊まって日曜日も取材、という生活を1年間続けました。

自分がやりたい仕事ができていると、つまらないと思っていた仕事まで楽しくなってくる。能動的に何かをやることで成果が出てくると、やらされているんじゃなくて、自分で積極的に何かできることはないかなと考えたり、提案したりすることが増えるんです。番組に対する自分の考え方や対応の仕方が変わっていったのがすごくよく分かりました」

 この番組がきっかけとなり、次々に人気番組に出演することになった菊間さん。「与えられていると思って仕事をしているうちはブレイクスルーしないんですよね。与えられている仕事をどうやったら自分の仕事として捉えられるか、自分は120%の力でこの仕事ができているかと、いつも自分に問うようにしています。それによってキャリアが変わっていったり、思いがけないところから声をかけていただいたりして、仕事が広がっていっていると実感します」

腕時計は
頑張った自分への特別なご褒美

 腕時計が大好きと語る菊間さん。持っている腕時計は全部自分への特別なご褒美として買ったもので、働いて最初のボーナスで買ったのも腕時計なのだとか。そう語る菊間さんの手首には、ダイヤルの深紫色(こきむらさきいろ)が美しいグランドセイコーが輝いています。

 「深い海の底みたいな色が素敵。マニッシュな印象なのに、サイドのダイヤがエレガントなので、会食、ビジネス、プライベートと、どんなシーン、シチュエーションにも活躍してくれると感じます。すごくかっこいい」

 完ぺきに見える菊間さんですが、実は「日経xwomanを読んでいると落ち込むことが多い」という意外な告白も。けれど、「完璧な仕事人で、完璧な女性であり続けるとか、無理だから!と思うんですよ」と豪快に笑い飛ばします。

 「一人ひとり違ってよくて、一生懸命頑張って生きていることが素晴らしいんです。女性は自己肯定感が低かったり、私なんてダメなんです、という人が多いけど、まずは自分を褒めてあげてほしい。頑張る自分がとても輝いているんだ、今の自分でいいんだって、肯定するところから始めてみてほしいと思います。

私のボスは91歳という年齢の今も働いています。そんなボスを見ているからか、私ももともと一生仕事をしたいという思いがあったし、それが弁護士になった理由の一つでもあるので、できる限り仕事は続けていきたい。弁護士はクライアントがいて信頼してくださるからこそ続けられる仕事なので、そんな弁護士であり続けたいなと思っています」

Profile

弁護士、コメンテーター。弁護士法人松尾綜合法律事務所所属(第二東京弁護士会)。早稲田大学法学部卒業後、フジテレビにアナウンサーとして入社。『めざましテレビ』をはじめ、情報番組やスポーツ番組など数多く担当する。2005年に大宮法科大学院大学に入学、司法試験の勉強に専念するため、2007年にフジテレビを退社。2009年大宮法科大学院大学を修了し、2010年に司法試験合格。第64期司法修習を経て弁護士となり、2011年に弁護士法人松尾綜合法律事務所に入所。2022年には同事務所の代表パートナーに就任。

Grand Seiko Elegance Collection
STGF345

「Women of Excellence Awards 2022」ビジネス部門の副賞として菊間千乃さんに贈られたのは、シャープな煌めきと、ハリのあるピュアな曲線が生み出すグランドセイコー エレガンスコレクション。高貴な雅色として使用されてきた歴史のある「深紫色(こきむらさきいろ)」をダイヤルカラーに採用し、繊細で艶やかな放射仕上げを施しました。深紫の色合いが、12 時の位置に配置された大粒のダイヤモンドの輝きを一層引き立てています。