生活習慣に気をつけることで、がんのリスクを減らすことはできますが、すべてのがんを防ぎきることはできません。そのため、適切な年齢および適切な間隔で、がん検診を受けることが重要になります。
乳がん検診受診率をOECD加盟国間で比較した、2023年時点でのデータによると、最も受診率が高いのがオランダとフィンランドで77.1%。次いで米国が76.5%、英国が74.2%と続きます。一方、日本は44.6%と非常に低い傾向にあります。その背景には、知識不足や検査に対する不安、健康状態への過信があるのかもしれません。あるいは仕事が忙しく、つい後回しにしてしまうといったことも考えられます。
乳がんは検診で早期に見つけることができれば、治療の選択肢も広がり、90%以上が寛解できる可能性の高いがんです。乳がんの検診には、目で見て確認する視診、触って確認する触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)検査があります。国が推奨しているのは、2年に1回、40歳以上を対象に、問診および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)を行うことです。
がん検診は、市区町村が実施する「住民検診」、職場や加入する健康保険組合などで実施する「職域検診」、自分自身で人間ドックを受けるなどの受診方法があります。多くの市区町村では、がん検診の費用を公費負担しており、一部の自己負担でがん検診を受けることができます。職場で実施する職域検診では、オプションで乳がん検診を追加できことが多く、その場合、自己負担で受けることができます。職域の健康診断の案内が届いたら、がん検診が含まれているか、および検診内容(検査項目、対象年齢、受診間隔)を確認してみましょう。
検査の流れは、まず、がん検診でがんの疑いがあるかないかの選別をし、精密検査が必要な人をふるい分けます。精密検査を含めて「一連のがん検診」として、がんの有無が確認できます。精密検査が必要と判定されても、実際にがんと診断されるのはごくわずかです。しかしながら、「症状がない」「健康だから」というような理由で精密検査を受けないと、万が一がんがあった場合、診断が遅れ、進行してしまう恐れがあります。精密検査が必要であると通知された場合は、必ず医療機関でより詳しい検査を受けましょう。また、精密検査の結果「がんの疑いなし」という判定だった場合でも、推奨される受診間隔ごとに、その後も定期的にがん検診を受けることが大切です。
乳がんは体の表面に近いところに発生するため、自分で観察することによって発見できる可能性もあります。普段から乳房の状態をチェックしていれば、小さな変化が生じたときに気づきやすくなります。少しでも変化や異変に気づいたら、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。
乳がんに罹患しないために生活習慣の見直しも大切です。乳がんのリスクを高める生活習慣として、喫煙、飲酒、食事(食生活の欧米化、野菜・果物不足、塩蔵食品の過剰摂取、栄養バランスの偏りなど)、運動不足、肥満などがあげられます。特に、1日1合以上の飲酒習慣があると、乳がんのリスクが1.8倍になることも明らかになっています。乳がんを予防するためには、喫煙や過度の飲酒を控え、バランスのよい食事をとること。肥満を避けるために適正体重を維持し、適度な運動を行うことが重要だといえます。
早期発見のための定期的な乳がん検診と生活習慣の見直し。自分の体を守るために、いまできることに取り組んでいきましょう。その上で、最新の治療法と向き合うための情報の収集、経済的な備えなども行っておくことで安心につながります。
