マニュライフ生命が提唱する「資産寿命(ウェルススパン)」とは、人生の長さとお金がシンクロした状態のこと。今回、マニュライフ生命チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)のカーラ・ハートライトさん、経済アナリストの馬渕磨理子さん、日経マネーと日経ウーマンで編集長を務めた佐藤珠希が「人生100年時代の資産寿命」について語りました。
マニュライフ生命が提唱する「資産寿命(ウェルススパン)」とは、人生の長さとお金がシンクロした状態のこと。今回、マニュライフ生命チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)のカーラ・ハートライトさん、経済アナリストの馬渕磨理子さん、日経マネーと日経ウーマンで編集長を務めた佐藤珠希が「人生100年時代の資産寿命」について語りました。
マニュライフ・グループの「アジア・ケア・サーベイ」とは、どのような調査なのでしょうか。
アジア・ケア・サーベイは、人生100年時代に向けて、人々がどのように備えているのか、またどのような課題を抱えているのかを探る年次調査です。今回の調査で特に明らかになったのは、多くの人が身体的・経済的な自立を人生後半の重要な目標としている一方で、その自立を支えるための十分な経済的備えに自信を持てていないという現実です。ここには、『自立し続けたい』という願いと、『それを支える備えが十分ではない』という不安との間にある「自立へのギャップ」が見えてきます。さらに日本では女性の方が男性よりも経済的自立を重視しており、次の世代へと引き継ぐ前向きな〝レガシー〟として捉えています。
また、多くの女性が介護や育児と自分の将来という「二つの未来」を同時に背負っています。そのため、女性にとって、この「自立へのギャップ」はさらに大きくなりがちです。私自身、アジアで20年にわたり働き、子育てのためにキャリアを中断した経験があります。介護や育児のために仕事を離れる期間が、将来の経済的安定に大きな影響を与えることを実感しています。
OECD(経済協力開発機構)の調査でも、日本は諸外国と比較して無償労働が女性に偏る傾向が特に強いという結果が出ています。また、世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数(2025年)でも日本は118位。G7の中では最下位、アジア諸国の中でも下位という結果が続いています。男女間の賃金格差は非常に大きく、退職後の年金格差も大きい。けれども統計的に寿命は女性の方が長いという現実。日経ウーマン読者を対象にした調査でも、老後資金に不安を抱いている女性は7割に達しています。
一方で、良かったと思うのは、多くの女性が老後に向けた準備の必要性を理解していることです。ただ現状は、どうしていいか分からないという人が多い。今後は、家族や友人と話したり、適切なアドバイスができ信頼できるパートナーや専門家の存在が重要になってくると思います。
私は、アジア・ケア・サーベイの調査結果に、日本女性の新しい価値観の芽生えを感じました。人生100年時代となり、経済的自立の価値や必要性を知り、少しずつ手に入れ始めているものの、まだ不十分。だからこそ、次世代に受け継ぎたい。まさに日本社会の今を映し出していると思いました。
長寿社会では、望むライフスタイルを保ち続けるために、資産もまた長く保つ必要があります。「健康寿命」という言葉がありますが、「資産寿命」も、それとよく似た考え方です。自分の人生の長さに、お金が続く長さをきちんとシンクロさせて(合わせて)いくこと——それが資産寿命です。
馬渕さんはよく、同様の考えを、「ときめき」という言葉で表現されていますね。
学びや旅、仕事、新たな挑戦など、人は何歳になっても、自分の意志でやりたいことを自由に選択できると、心がときめきます。その時間が長く続けば続くほど、人生に幸せを感じられるのではないでしょうか。一方で、その実現のためには、金銭的な充実も必要です。人生のオーナーシップを握り、ときめき期間を延ばすために、資産をコントロールする。それが、私が考える資産寿命です。
「資産寿命」を「ときめきが続く期間」と捉えることは素敵だと思います。資産寿命とは、人生を通じて、経済的な自信とそれが揺らぐことのない備えを保ち続けることです。学び続ける、旅をする、社会に貢献するなど——そのすべてを可能にするものです。
長寿社会を自分らしく生きていくための資産寿命という考え方は、まだ多くの日本の人にとってなじみが薄いものだと思いますが、ときめきとセットで、ポジティブなものとして浸透させていきたいですね。
インフレ時代に突入している今、資産寿命という考え方において、私たちは将来に向けた資産形成をどのように捉えていくべきでしょうか。
インフレに対し、賃金上昇がなかなか追いついていない状況です。そんな中で資産形成は、未来の自分や将来の安心に向けた必要な備え。お金の知識が十分ではないからと、何もしないことの方がリスクです。肩の力を抜いてアクションを起こしてみることで、視野も知識も広がっていくと思います。大事なのは、「長期・分散・継続」という王道を踏み、コツコツと資産寿命を延ばしていくことです。
「自立へのギャップ」を埋めるために必要なのは、3つの要素 ——「ふやす、まもる、相談する」です。またリスクにも備えていく。その両方をかなえる解決策が求められています。それはつまり、資産寿命を築き、守っていくことです。アジア・ケア・サーベイでは、ファイナンシャル・プランナー(FP)のアドバイスを受けた人は、受けていない人に比べて生活の質(QOL)が高いと感じる割合が2倍でした。しかし日本でFPに相談した経験がある人は、わずか6%。これはアジア市場で最も低い水準です。それでもたった一度の対話が、今の自分の立ち位置を知り、具体的な一歩に気づくきっかけになることもあります。
長い人生を自分らしく楽しみ、充実させていくための心構えについて、メッセージをお願いします。
私が大事にしているのは初心を忘れないことです。人は誰しも、周りからいろいろな影響を受けて生きていくわけですが、時折、世の中の価値観に縛られ過ぎて自分を見失いそうになることもあります。そんなときには、初心を思い返し、『これは本当に自分の思いなのか』『これは自分が本当に選びたいものなのか』と自問自答するようにすると、自分らしい自立した生き方を手に入れられるのではないかと思います。
人生100年時代は、恐れるべきものではなく備えるべきものです。『20年後、自分はどんな人生を送っていたいだろう』—— その問いに答えられたとき、次の一歩は、ずっと踏み出しやすくなります。身近な人や専門家との会話などの行動が、大きな実りをもたらすのです。
長い人生を自分らしく生きるため、変化していく自分を受け入れながら人生を歩んでいくためには、経済的かつ精神的な自立が必要です。資産寿命をしっかり設計して生きていきたいと思いました。ありがとうございました。
[ マニュライフ生命 | 公式ウェブサイト ]
https://www.manulife.co.jp/