5Gで変わる
都市と地方

拡大する都市と地方の
格差、テクノロジーは
ギャップを埋められるのか?

million dots 代表
伊藤大貴

2020年代、都市と地方の格差は更に拡大し、今後10年で生活者に可視化されていくという。これから訪れる危機とは? そして、それを乗り越えるためのテクノロジーとは? 横浜市会議員を経て、現在は企業と行政などをつなぐ合同会社million dotsの代表を務める伊藤大貴氏に話を聞いた。

都市と地方の厳然たる格差に気づきはじめる2020年代

 伊藤さんが監修された『日本の未来 2019-2028』は、都市再生や地方創生の観点から今後10年間の日本の状況や関連ビジネスを紹介しています。今回のインタビューでは、都市と地方の近未来とそこに5G(第5世代移動通信システム)などの技術がどのように貢献できるかうかがいたいと思っています。

 行政とテクノロジーの間に距離があるという問題はあるものの、5Gには大きな期待があって、新しいサービスや新しい産業が生まれる可能性があると考えています。詳しくは追ってご説明しますが、まずは現在の都市と地方の問題を整理していきましょう。

 最大の問題は、よく言われる「都市と地方の格差」です。ただ、皆さんがイメージしている都市と地方の格差とは異なるかもしれません。一見すると、地方にも都市と同じユニバーサルサービスが提供されているように見えます。

 例えばバスは日本国中で広くサービスされています。しかしバスを1km走らせるコストは、人が集まる都市部と5万人しかいない地方では異なり、後者の方が高くなります。水道、下水、小学校、あらゆるものがそうです。

 つまりそこには大きな格差があります。その格差を見えないようにするため国から地方交付税交付金などのお金が注ぎ込まれているため、住民からすれば同じサービスが提供されていると感じています。そのため、多くの人が格差を意識することはないでしょう。

 各自治体は、人口などから計算して行政サービスにかかる支出(基準財政需要額)を算定し、その金額に自治体の財政が達していない場合には、国から交付金が支給されます。

 しかし、2020年代に突入すると、この補填の仕組みに限界が訪れます。交付対象の自治体の中には立て替えで費用を払っている自治体もありますが、実際のところ、国が借金だらけの中で立て替えた交付金は戻ってくるのでしょうか。

 交付金の仕組み自体がどこかで破綻するということですね。地方格差は、都市部への人口流出が関係していますね。

 そうですね、今後さらに都市化が強まると思います。数字を見ても、例えば東北でいうと、仙台のベッドタウンにある自治体は、仙台の中心部に人口が吸い寄せられています。

 不動産業界に目を向けると、以前はマンションも戸建ても新築が前提でしたが、今はリノベーション需要も増え、新築にこだわらない人、賃貸でもいい人が増えています。居住地を変えることへの意識が変わってきているのです。

伊藤大貴(いとう・ひろたか)

1977年生まれ。2002年早稲田大学大学院理工学研究科修了後、日経BP社入社。日経エレクトロニクス編集部記者を経て、2007年横浜市会議員に初当選。3期10年。2017年横浜市長選挙落選。公民連携におけるリスクコミュニケーション戦略支援や、地方自治体における公共施設の総合プロデュースなどを手がける。テクノロジーと都市をテーマに世界銀行(2018年、2019年)や企業などで多数講演。フェリス女学院大学非常勤講師