記者の目

AIと映像の進化を加速

 ビデオ会議のような人と人のコミュニケーションの効率化に加え、今後多くなると見込まれるのは、人と機械のコミュニケーションである。人手不足を背景に、多くの対話型サービスはロボットやAIで置き換えられることになるだろう。ここ数年、対話領域の技術進歩は目覚ましいからだ。

 実際、米Googleは、同社の対話システムである「Googleアシスタント」の追加機能として自動対話システム「Duplex」を開発、人の代わりにコンピュータの対話システムがレストランなどへの店舗予約を自動で行える例などを示している。同社が毎年5月に開催している開発者向け会議「Google I/O」では、2018年に同機能を初めて実演、2019年には米国の多くの州で提供できるようになったことを明らかにしている。

 ビデオ会議やAIによるチャットボットはほんの一例で、判断や結論を急ぐことを支援するツールはたくさん登場するだろう。こうしたツールを実現する上で、「5G」「映像」「AI」は主要な技術要素である。このうち「映像」「AI」を組み合わせたツールは数多く登場しており、例えば、医療現場におけるがん細胞と正常な細胞の区別、警察の捜査におけるドライブレコーダー映像からの不審車両の特定などは既に実用化されている。5Gの普及は、これらツールの利用を後押しするだろう。

 いずれの場面でも、判断のスピードを渇望する背景にあるのは、かつてない危機感である。これまでのような「生産性の向上」「業務の効率化」よりもさらに緊迫度の高い、組織の存亡を懸けた改革が今後求められる。5Gは、そうした改革の礎となるはずだ。

菊池 隆裕(きくち・たかひろ)

日経BP 日経BP総研
イノベーションICTラボ 上席研究員

1990年日経BP入社。日経コミュニケーション、日経エレクトロニクス、日経コンピュータ、ITproなどで、主に通信、ネット分野を担当。2002年~2004年までシリコンバレー支局勤務。2009年11月、スマートフォン勃興期にアプリ開発コンテスト「Android Application Award(A3=エーキューブ)」を立ち上げ、2015年、経済産業省主催イノベーター育成プログラム「始動 Next Innovator 2015」に選抜。新規事業メンター向けプログラム「Lean Launchpad Educators Program」修了。2016年、ホオバルと「カンブリアナイト(ヒューマンセンシングビジネス研究会)」共同創設。