5Gをよく理解する
5個のキーワード

キーワード3
エッジ・コンピューティング

 5Gが要件としている、超低遅延性を実現するために必要なコンピューティング環境が、エッジ・コンピューティングである。ユーザー端末がクラウド上のサーバーと通信するクラウド・コンピューティングに対して使われる言葉であり、クラウドの縁(エッジ)にあるサーバーと通信することでネットワーク中の遅延時間を短くできる。

 映像を扱う場合など、クラウド側サーバーの負荷を抑えられる。データ伝送区間が短くなることから、ネットワークシステム全体のトラフィックを抑制できる効果もある。また、クラウド上にプライバシーに関わるデータを送信したくない、あるいはセキュリティを心配する場面でも有効である。

キーワード4
ローカル5G

 企業などの組織が、自己所有の建物や敷地内で5G(第5世代移動通信システム)を「自営」で利用できる仕組み。地域や産業ごとのニーズに応じて柔軟に構築できることが特徴であり、ユーザーは、無線局免許を自ら取得することも、免許取得した他者のシステムを利用することのいずれも可能である。

 2019年6月18日には情報通信審議会が、技術的条件を答申した。今後のスケジュールについて、総務省は2019年内の制度化・申請受付開始を予定している。

 ローカル5Gに割り当てられる周波数は、4.6G~4.8GHzと28.2G~29.1GHzの2つの周波数帯。このうち当面利用するのは、28.2G~28.3GHzの100MHz幅。これにより、ユーザーは最大3Gビット/秒の自営通信網を構築できる。

 用途としては、工場や農地内の制御・監視、エンターテインメント施設などの映像伝送やセキュリティ、電車などの公共インフラなどでの利用が想定されている。CATV事業者が高層マンション向けに映像を配信するといった用途も見込まれている。

キーワード5
ノンスタンドアロン(NSA)

 通信事業者が5Gサービスを展開する場合、既存の4Gのエリア内に5Gのエリアを構築し、5Gの通信制御を4G側のコントロールチャネルで行うことで、4Gと5Gを一体運用する方法を「ノンスタンドアロン(NSA)型」と呼ぶ。これに対して、5Gシステムだけで構成するネットワークを「スタンドアロン(SA)型」と呼んでいる。

 NSAとSAにはそれぞれ一長一短がある。NSAの場合には既存のシステムを活用することから初期投資を抑えられ、当初から安定した通信が期待できる。このため多くの通信事業者は、NSAを志向しているようだ。

 これに対してSAでは、データ伝送だけでなく通信制御まで5G仕様を採用するため、高速大容量通信や遅延時間を短くするなど5Gの能力を最大限に引き出すことが期待できる。中国の通信機器メーカーZTEなどは、SAを推している。

 以上、5個のキーワードを通じて、5Gの特徴を紹介してきた。ミリ波の活用や自営網としての利用など、過去の移動通信システムにはない初めての実装がある一方で、ノンスタンドアロン(NSA)など既存システムを活用することで安定化を図っているものがある。5Gの利用にあたっては、5Gを構成する各技術の成熟度に配慮する必要があるだろう。