「5G時代のDisruptor」は、
すでに存在している

「5G時代のDisruptor」は
いつ顕在化するか?

日経BP総研
菊池 隆裕

 筆者がここ数年取材を重ねているスタートアップ界隈では、「Disrupt(破壊)」という言葉が一般的に使われる。新しい技術やビジネスモデルによって既存市場の仕組みを破壊し、新しい枠組みを作り上げることを指す言葉だ。その推進者をDisruptor(破壊者)と呼ぶ。


 Disruptorは、同業の既存企業であるとは限らない。多くの場合、最新の技術を駆使して既存市場に存在しないサービスを創出するスタートアップ企業である。突如として台頭するDisruptorの存在は既存事業者にとって脅威であり、いち早く存在を知り何らかの対策を講じようと、その台頭に目を光らせる企業は少なくない。投資対象として彼らに注目する企業も数多くある。


 Disruptorは、4G時代に台頭し、その圧倒的な存在感を示した。では、5G時代にDisruptorは登場するのだろうか?

4G時代のDisruptorは
AirbnbやUber

 Disruptorの代表例としては、民泊サービス「Airbnb」や、運転手と乗客のマッチングサービス「Uber」を挙げる人が多いだろう。Airbnbはホテル業界、Uberはタクシー業界に対して、いずれも既存事業を揺るがすほどのインパクトを与えている。


 彼らの成り立ちをひもとくと、Airbnbが設立され、現在の前身となるサービスを開始したのが2008年。Uberがサンフランシスコで商用サービスを開始したのは2010年。同社が設立されたのは2009年3月に遡る。


 何が言いたいかといえば、4G(第4世代移動通信システム)が普及した2010年代に急成長し、Disruptorとして認知される企業は、2010年以前に設立されていたということである。4Gの拡大とともに広まったスマートフォンを追い風に、急成長したわけだ。そう考えると、2020年以降本格的に始まる5G(第5世代移動通信システム)時代を代表するDisruptorは、既に誕生しているのかもしれない。


 逆に、「4G+スマートフォン」の波に乗れなかった企業は衰退、場合によっては市場退出を余儀なくされた。このとき、「4G+スマートフォンの波」とは、スマートフォンによるユーザー動向の変化、すなわち「スマホファースト」と言っていいだろう。インターネットを利用する端末として、以前はパソコンが主流だったが、今ではパソコンを持たずに、スマートフォンだけでほとんどのことを済ますユーザーが増えている。スマートフォンユーザー向けのサービスを優先する「スマホファースト」の考え方は、今や多くの企業が実感しているはずだ。