5Gを代表する
5個の
アプリケーション

アプリ3
「視る」:遠隔監視

 犯罪発生時の容疑者特定や事故時の原因特定のため、セキュリティーカメラの利用が増えている。5G時代になると、セキュリティーカメラが扱う映像は4K、8Kへとさらに高精細になり、AIを使った自動化も一段と進むことだろう。

 こうしたセキュリティーカメラは、移動するクルマや人などに搭載されることでさらに威力を発揮する。例えば、半導体メーカーである米NVIDIAは、警察車両向けの車載AIシステムを開発、2017年時点で同社の技術カンファレンスで実演し、実用段階にあることを示していた。この「AIパトカー」を使えば、市街地を巡回することで多くの車両の画像を読み込み、その車種や車体の色、ナンバーなどから不審車両を瞬時に特定できる。車載以外にも、警察官がウエアラブルカメラを装着することによって、同じように群衆の中から不審者を特定することも容易になるだろう。

 画像とAIの組み合わせは、セキュリティー用途以外にも応用できる。既に入出国システムやイベント会場の入場システムでは実用化されている例が多数ある。

アプリ4
「動く」:自動運転

 自動運転もまた、5Gとの相性が良いアプリケーションである。自動運転を実現するには、各種センサーによって周囲の状況を常に把握し、その状況に応じて判断、その判断に基づいた制御をほぼリアルタイムで実行する必要がある。短時間での状況把握・判断・制御には、5Gが欠かせないというわけだ。

 日本の地方では、移動手段の確保が課題になっている。自家用車の増加や人口減少を背景とした採算割れによって鉄道やバス路線の廃止が相次いでいる上、タクシーも運転手の高齢化や経営状態の悪化といった課題を抱える。生活するのに不可欠な医療機関や商店街への移動手段の確保すら、ままならない状況にあるのだ。その解決手段として、自動運転への期待が高まっている。

 自動運転の対象は、人の移動手段だけにとどまらない。農業や建設業では就業者の高齢化が進んでおり、先細りが見えている。そうした状況を背景として、自動運転が可能な農機や建機の開発が進んでおり、実用化が始まっている。測量や農薬散布といった作業も、ドローン(無人航空機)が担うようになっており、こうした自動運転化全般を5Gが下支えすることになる。

アプリ5
「働く」:テレワーク

 人手不足がより深刻になる2020年代には、働き方はこれまで以上に多様化する。1つの会社に定年まで勤め上げる、といった高度成長期に多かった就業スタイルは徐々に減り、メインの仕事の他に、個人のスキルや空き時間を利用して別の仕事も行う「副業」だけでなく、複数の仕事を並行して行う「複業」スタイルも今後広がるだろう。自宅などオフィス以外の場所で仕事をする「テレワーク」は、渋滞が予想される東京オリンピック・パラリンピックを機に、多くの企業が一斉に実践する。なかなか定着しなかったテレワークだが、これを機に利用が広がることが期待できる。

 副業・複業やテレワークといった多様な働き方を、5Gを使ったアプリやサービスなどが支える。例えば、別の場所にいる同僚、あるいはプロジェクト単位で入れ替わるメンバーとのコミュニケーションには、ビデオ会議が便利だ。移動する時間を惜しむ人を中心に既に利用されているビデオ会議は、2020年代にさらに多くの人が活用することになるだろう。これ以外にも、「遠隔地で働く」ことを前提とした、コミュニケーションツール、コラボレーションツールが多数登場することが期待される。

 4Gが普及した2010年代にはLINEなどの新しいメッセージシステムが登場、メールの代わりに若年層の定番ツールになった。5Gが広がる2020年代には、どのようなコミュニケーションツールが登場するのか、注目したい。