5Gがいよいよ市場へ
世界5地域の導入状況

2019年から始まる5G
世界の5地域の現状を見る

 2019年、5Gの商用サービスが本格的に始まった。「5G一番乗り」を目指し、米韓が鍔迫り合いを演じたのが2019年4月のこと。それ以降、スイスや英国などで商用サービス開始の発表が続いた。日本でも2020年の商用サービス開始を前に、2019年秋以降プレサービスが始まる。ここでは、世界各地の5G導入状況を見てみよう。

地域1
米国

 米国ではベライゾン・コミュニケーションズが2019年4月3日、イリノイ州シカゴとミネソタ州ミネアポリスで5Gサービスを開始した。当初は同月11日に始める予定だったが、韓国に先駆けるために約1週間前倒しした形だ。

 続いて、スプリントも同年5月30日、米国4地域(アトランタ、ダラスおよびフォートワース地域、ヒューストン、カンサスシティ)で5G商用サービスを開始すると発表した。対応端末は、韓国LGエレクトロニクス製スマートフォン「V50 ThinQ」と台湾HTC製のハブ「HTC 5G Hub」。

LGエレクトロニクス製スマートフォン「V50 ThinQ」

出所:スプリント

 2019年6月25日には米Tモバイルが、スマートフォン向け5Gサービスを、同月28日から6都市(アトランタ、クリーブランド、ダラス、ラスベガス、ロサンゼルス、ニューヨーク)で開始すると発表した。端末は韓国サムスン・エレクトロニクス製「Galaxy S10 5G」である。

 米AT&Tは2017年から「5G Evolution」というサービスを提供しているが、「5G」を冠しているものの、実体は4Gの改良版である。5G準拠のサービスとしては、ミリ波帯を使った「5G+」がある。2019年6月17日に企業向け5Gスマートフォンサービスを開始している。

 米国は、今後の5Gの展開を見たときに注目すべき市場である。ドナルド・トランプ大統領が、5Gに対して積極的な姿勢を見せているからだ。2019年4月にホワイトハウスで開催された5Gイベントにおいて「5Gは、米国の農業をより生産的にし、製造業をより競争的にし、ヘルスケアをより良くそしてより利用しやすくする」と述べているほか、「2019年末における5Gの展開地域が、米国では92地域だが、次の韓国は48地域だ」「我々はこの競争に勝つ」とし、他国への対抗心を隠そうとしない。

 こうした政府の意向もあってか、IDC Japanが発表した5G携帯電話市場予測の世界各地比較によると、5G端末の出荷シェアは米国が最も高い。2023年時点の出荷シェアにおいて、世界の多くの地域でほぼ30%にとどまっているのに対して、米国では70%と突出している。同社によると、「3Gから4Gへの移行期に比べ、4Gから5Gへの移行がインフラ・端末共に若干スムーズに移行するとの見方があるため」としている。

地域2
韓国

 韓国では、2018年6月にオークションで周波数割り当てが行われ、同年10月に商用ネットワークの構築が始まった。2019年4月には「世界初」をうたう商用のモバイル5Gサービスが、SK Telecom、KT、LG Uplusの3社から始まっている。

 2019年6月末に開催された「KDDI 5G SUMMIT 2019」で講演したLG Uplus Executive Vice President / Business Solution Divisionの崔周植(チェ・ジュシク)氏によると、3事業者合計の加入者数は「サービス開始後2カ月で100万人を超えた」という。100万人加入までに3カ月かかったLTEよりも早いペースで加入者数が増えているとした。

 同氏は、5Gネットワーク上で提供される付加価値サービスを紹介した。プロ野球ゲームやアイドル・ライブなど4Gと5Gの両方で利用可能なサービスのほか、5Gだけで利用可能なサービスとしてVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、クラウドゲームがあるという。

 韓国でも、ビジネス領域に5Gの商機があると言われている。具体的な用途として同氏は、自動車、工場、ドローン、スマートスクールなどを挙げていた。

地域3
中国

 中国では、2020年に5G商用サービスが始まる予定とされていたが、米クアルコムの発表によると、中国チャイナ・ユニコム(中国聯合通信)が2019年4月に開催したパートナー向けイベント「China Unicom Partner Conference」において5Gのライブデモの共同実施に言及、同年中のサービス開始への期待感を示している。同年6月には5G商用サービスが認可され、2019年末までに通信事業者3社が約10万局の5G基地局を展開する見込みという。

 モバイル利用者の母数が大きいだけに、中国では多くの5G利用が期待されている。モバイル領域の業界団体GSMA(GSM Association)が2019年3月20日に発表した報告書「The Mobile Economy China 2019」によると、中国の5G接続数は2025年に4億6000万件、同国の総接続数の28%を占めるとした。別のレポート「The Mobile Economy Asia Pacific 2019」では、それは同年の全世界の5G通信の3分の1を占めるのだという。