5年後の5Gを占う5つの数字

カギとなる数字を理解し
5年後の社会を展望する

 米国、韓国で5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが始まった2019年は、まさに5G元年。それに続く2020年代は、サービス提供地域や利用が広がる拡大期を迎える。商用サービス本格化から5年後の2024~2025年ごろにどのような規模感で提供され、そして利用されているのだろうか。5Gの動向を予測したレポートなどから5つの数字をピックアップし、5年後の5Gの姿をのぞき見てみよう。

19億契約

 2019年に始まった5Gが、5年後の2024年に利用されている契約数として予測したものが「19億」という数字だ。スウェーデンの通信機器メーカーであるエリクソンが発表している「モビリティレポート」の2019年6月版で予測したもの。同レポートでは、2018年の全世界のモバイル加入契約数を79億、今から5年後の2024年の契約数を88億と見込む。5Gは、商用サービス開始から5年で19億契約、全体の比率では22%を占めるという予測だ。

 19億契約という数字は、新サービスの見込みとして大きいのか小さいのか。エリクソンのモビリティレポートでは、サービス開始時点から世界全体の加入数の推移を、4G(第4世代移動通信システム=LTE)の実績と5Gの予測で比較している。2019年時点で広く普及している4Gだが、サービス開始後6年目の加入数は11億を超えた程度だった。5Gは2018年を基準とした6年後の2024年に19億契約が予測されている。加入数は4G(LTE)の普及期を上回るペースで増加していくとの見立てだ。

 モバイル領域の業界団体GSMA(GSM Association)が2019年6月に発表したレポート「The Mobile Economy Asia Pacific 2019」でも、世界の移動通信システムの世代別の比率は、4Gが2021年にピークの70%超と圧倒的な存在感を示す一方、5Gも2023年には3Gを抜き、2025年には18%に達すると予測する。エリクソンのモビリティレポートよりも少し控えめな数字だが、およそ5年後に世界のすべてのモバイル契約数の5分の1が5Gに置き換わっているという予測の大筋は共通している。

北米の63%、北東アジアの47%

 2024年には、北米のモバイル加入契約数の63%が5G契約になるとエリクソンのモビリティレポートでは予測する。5Gが最も普及する地域の1つと目される北米では、5年後に3分の2に近い契約が5Gへとシフトしていると見られる。北米に次いで5年後の5Gシェアが高くなるのが、日本や中国、韓国といった5G先進グループの国や地域が多い北東アジアだ。47%と半数近くの契約が5Gへと切り替わる。欧州も40%が5Gへ移行すると見られており、これら3つの地域が5Gの普及をリードする形だ。

 北東アジアでは、中国の5Gの利用の伸びが注目される。GSMAの「The Mobile Economy Asia Pacific 2019」では、2025年の中国のモバイル接続の28%が5Gによると予測する。この時点で全世界の5Gによるモバイル接続のうち、約3分の1を中国が占めると見る。地域内の5G契約の比率は北米ほど高くはないものの、膨大な人口を抱える中国は5Gの最も主要なマーケットの一つへと成長しそうだ。

モバイルデータトラフィックの35%

 全世界のモバイルデータ通信のトラフィックは、高いペースで成長を続けている。エリクソンのモビリティレポートでは、2019年第1四半期には前年同期比で82%という高い成長率を見せ、月間のトラフィックは約28エクサバイト(エクサは10の18乗、1エクサバイトは100万テラバイト)に達する勢いである。こうした高い成長は今後も続くと予測され、2024年には月間131エクサバイトに達すると見込む。その中で、5Gのトラフィックは約35%を占めるとの予測だ。超高速・大容量の通信性能を持つ5Gは、契約数の割合を上回るシェアをトラフィックにおいて確保することになりそうだ。

 2024年のモバイルデータ通信のトラフィックで、最も多く利用されると見込まれるのが「動画」である。2018年において、全トラフィックの約60%だった動画のシェアは、2024年には約75%に達する。動画コンテンツの物量的な増加はもちろん、高解像度化やVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、360度動画など没入感の高いコンテンツの普及が、動画のトラフィックを引き上げる。5Gが提供する超高速のデータ伝送や超低遅延のレスポンスといった性能が、これらのコンテンツの利用促進を支えることになる。