4キャリア対談で
見えた5Gの近未来

5G普及に向けて
トップが注目すること

日経BP総研
菊池 隆裕

 2019年10月中旬に千葉県の幕張メッセで行われた技術展示会「CEATEC 2019」では、同展示会20周年特別企画として「5G SUMMIT」が併催され、5Gサービスを提供する通信事業者4社のトップが顔をそろえた。4人のパネルディスカッションで見えてきたのは、5Gの普及に向けて経営トップが注目するポイント。ここでは、5点に整理して紹介する。

注目ポイント1
料金と端末価格

 最初のポイントは、商用サービスが2020年春に迫ったタイミングで多くの人が注目する通信料金と端末価格についてだ。


 正式発表前の現時点では、具体的な料金・価格水準は明らかにならなかった。そのような条件下で「私的な意見」という前置きで持論を語ったのが、ソフトバンク代表取締役副社長執行役員兼CTO(最高技術責任者)の宮川潤一氏だ。5G端末の販売価格を戦略的に安くしたことで早期に300万加入を達成した韓国の例を挙げて、「5G端末の価格が4Gよりも高ければ、普及しない」とし、5G普及に向けて議論する場の必要性を語った。


 KDDI代表取締役社長の髙橋誠氏は「多様性の時代なので、品質を求める声と安価を求める声の両方を大事にした料金設計」について言及、さらに「まず大切なのは使ってもらうことだ」として短期間で普及させたい考えも示した。


 この他、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は、ユーザーに見える商品やサービスの価格に通信料金を組み入れる「融合料金」について言及。楽天モバイル代表取締役社長の山田善久氏は、「参入するからには、低廉な料金でなければ意味がない」と発言した。

注目ポイント2
キラーアプリ

 5Gを牽引する利用用途、いわゆる「キラーアプリ」については、各社が模索している様子が語られた。「キラーアプリをなかなか確定できないので、いろいろなパートナーと共に探し続けている」(NTTドコモ・吉澤氏)といった具合だ。


 そんな中でも、糸口や方法論を見いだしつつあるコメントも聞かれた。KDDIの髙橋氏は今後の消費が「フロー型からストック型になる」と表現し、商品を単に販売して流す(フロー)だけでなく、通信を通じてつながり続けること(ストック)が重要になるという認識を示した。


 同氏はさらに、候補となる新しいサービスを作るプレーヤーをたくさん作るなど、キラーアプリが生まれやすくなる環境づくりが重要だとした。加えて「個人的には」としながらも、5Gの超低遅延性を生かしたサービスへの期待感を示した。楽天モバイルの山田氏も、超低遅延性を生かしたサービスに期待するという。具体的な用途としてゲームを挙げた。

注目ポイント3
本格普及期

 今回のディスカッションでは、5Gサービスの機能拡張が段階的に行われる見通しが示された。これは標準化の進展によるもので、5Gサービスは、いわば「ギアチェンジ」が見込まれるのである。


 ソフトバンクの宮川氏は「スタート時点と『リリース16』準拠のサービス展開時」の違いを解説した。リリース16とは、5Gの標準化作業を行っている国際団体「3GPP(Third Generation Partnership Project)」が、2020年6月に完了する予定の規格であり、2022年以降の実装が見込まれている


 同氏によれば、当初の5Gサービスは4Gに比べて「少し高速」。具体的なサービスとしては、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)に期待がかかる。それに対してリリース16準拠のサービスは「本格的」。この段階になると人とモノ、モノとモノの通信が本格化し、つながることが当たり前になり、その上で付加価値、ビジネスモデルを考えるようになる。これにより本格化時点では「違う世界観が生まれる」とした。