Tomorrow, Together
~5G時代の共創と変革のVision~

5G時代の、新しいパートナーシップは
「競争と協調」

 ビジネスモデルが変化すれば、パートナーシップのあり方も変わっていく。ここでのキーワードは「競争と協調」だと髙橋氏は説明する。「1G/2Gの時代はインフラから端末まで、すべてを自分たちで作ることができました。しかし顧客ニーズが多様化する中、1社ですべての技術やソリューション、サービスをカバーすることは現実的ではありません。今後はサービスや料金面で競争する一方、インフラやデータの整備は5Gを提供するキャリア同士が必要に応じてシェアするなどの協調も必要となってくるでしょう」(図2)。

図2 オペレーター同士の競争と協調

5G時代では通信事業者同士の競争と協調が進むと予想される。サービスや料金面では「競争」が続く一方で、5Gのインフラでは必要に応じてシェアをする「協調」が起きる

 既にKDDIはこの状況を見据え、新しい次世代サービス基盤の整備をパートナー企業と共に進めている。例えば「IoT世界基盤」は、KDDI・日立製作所・東芝などのアセットを組み合わせたグローバル通信プラットフォーム。クルマの他に産業機械や建設機械など様々なモノの通信接続や課金の統合管理を可能とし、顧客事業のグローバル展開を支援する。

 また「スマートドローンプラットフォーム」も多数のパートナー企業と実証実験を重ねて開発されたもの。モバイル通信に対応した機体をベースに、気象・地図に沿った飛行計画の作成、運航状況の監視、機体制御を遠隔で行うことが可能だ。企業や自治体と連携し、警備や災害対策、物流、地方創生といった幅広い社会課題を解決する。さらに、交通事業者や自治体と連携し、交通のデジタルトランスフォーメーションを推進する「MaaS(Mobility as a Service)」にも注力。これ以外にも様々な企業との協調を通して、5Gをベースとした新規ビジネスの創出に貢献していく考えだ。

 5G時代に新たな価値を生み出す中核技術となるAIについても、KDDIではパートナー企業との協調を積極的に推進している。その強化策の一環として、本講演内で発表されたのがAIコンピューティングカンパニーであるNVIDIAとの協業だ。

 「NVIDIAのGPU(画像処理プロセッサー)がKDDIのビジネス開発拠点である『KDDI DIGITAL GATE』に導入されることになりました。この取り組みにより、5GとAIを利用したスタートアップのアプリケーション開発が一段と加速されていくことになるでしょう」とNVIDIAの日本代表 兼 米国本社副社長 大崎 真孝氏は期待を込めた。

イノベーションを科学的に再現するための
基盤づくりを推進

 リカーリングモデルへの移行をはじめとした、新たな変革を継続的に起こしていくには、イノベーションを科学的に再現する必要も出てくる。だが日本の大企業は、既存事業といった非イノベーション構造を抱えているため、なかなか新規事業の創出が困難であることも確かだ。

 そこでKDDIは、大企業とスタートアップが協働で新規事業の創造を目指す「出島」戦略を推進しながら、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)による積極的なスタートアップ投資、豊富なアセット・ノウハウを持つパートナー連合と連携したスタートアップ支援の枠組みなどを作り、5G時代の日本企業を支える基盤づくりに取り組んでいる。

 KDDIとスタートアップ、大企業や自治体が集う「共創」の場となっているのがKDDI DIGITAL GATEだ。2018年9月の開設以来、利用企業は延べ200社以上に上る。2019年秋に大阪と沖縄にも同施設をオープンする予定だ。

 こうした多岐にわたった取り組みが評価され、KDDIは2年連続でイノベーティブ大企業ランキング第1位に輝いた。「しかし、われわれはまだまだ道半ばで満足はしていません。この5G時代にもう一歩、前に進んでいきたいと考えています」(髙橋氏)。

顧客とのコラボレーションで
5G時代のビジネス創出にチャレンジ

 5G時代に新しい価値を創出する上で、何より重要なのが顧客企業との共創だ。「先行きが見えない時代だからこそ、お客様を理解し、お客様の挑戦と変革に一緒に取り組むことが重要なのです」と髙橋氏は強調する。

 KDDIでは既に様々な業種業態の企業と共創を行い、成果を出している。その代表例ともいえるのが、日本航空(JAL)との取り組みだ。JALでは、「かっこよさ、ではなく本当につかえるものを」というコンセプトの下、人財とテクノロジーの融合で「地に足のついたイノベーション」を目指しているという。

 「イノベーションの創出に向けて、JALイノベーションプラットフォームを創設し、イノベーション拠点であるJAL Innovation Labを設立しました。社内人財を積極的に活用するだけでなく、社外パートナー企業との連携、KDDI DIGITAL GATEに代表される他社ラボとのアライアンスも強化し、5GやIoTを活用した次世代サービスの研究開発と実用化を進めています」と日本航空 常務執行役員 イノベーション推進本部長の西畑 智博氏は述べる。

 KDDIとの実証実験では、5Gを活用したタッチレスゲートや情報配信、空港での顧客位置の測定といったカスタマージャーニーの創出に加え、4K映像を用いた整備作業の遠隔支援、8K映像を用いた業務支援検証といった、生産性向上施策も展開されているという。

 5G時代における共創は、企業とのコラボレーションばかりにとどまらない。地方創生でも大きなインパクトをもたらす。既に、KDDIは5G/IoTを活用したSDGsや地域課題解決への取り組みを全国で累計60件以上も展開し、Society 5.0の実現を支援している。

 「新しい何かを生み出していくには、お客様やパートナー企業の力が必要です。これからもKDDIは皆さんと一緒に新しい価値やビジネス、社会、未来の創造に挑戦していきます」と最後に髙橋氏は力強く語った。