5Gで変わる
ドローンの世界

「Drone as a Service」で
スマート社会に貢献する

株式会社プロドローン
常務取締役 研究開発本部
ソフトウェア開発担当

市原 和雄氏

 あらゆる産業が5Gの登場を心待ちにしている。中でも大きな期待を寄せているのが、ドローン業界である。産業用ドローン専門メーカーのプロドローンは、技術のさらなる高度化や外部企業とのオープンイノベーションによって、新たなビジネスの創出に取り組んでいる。

5Gの登場によってドローンビジネスは
大きく進化する

 産業用途におけるドローンの活用が広がりを見せている。人が入り込むことが困難なエリアにある橋脚や送電線の検査・監視、土地の測量などの他、山岳での遭難や海難救助の捜索支援ツールとしても利用されている。

 5Gはこの産業用ドローンのビジネスを拡大させる起爆剤となる。その可能性にチャレンジするのが、日本発の産業用ドローン専門メーカーであるプロドローンだ。同社はドローンメーカーやSIベンダーなど数社が合併し、2015年1月に設立された企業。KDDIなどの出資を受けている。「まだ若い会社ですが、前身となる会社が25年以上にわたるドローンやラジコンの製造経験を持っているため、技術力とノウハウには自信があります」と同社の市原 和雄氏は話す。

 中でも同社が得意とするのが、高水準な機能と安定性、安全性を兼ね備えたハイエンド向け産業用ドローンである。2本のロボットアームを持つことで直接作業を行える大型ドローンや、壁面や天井面に張り付きながら検査が行えるドローン、水面に着水して水中映像をリアルタイムで伝送するドローンなど、多彩な機種をラインアップしている(図)。

図 プロドローンの産業用ドローンの一例

倉庫内での荷物輸送、高所作業、橋梁などのインフラの点検といった、様々な作業を行える機種を多数ラインアップしている

 また、機体開発の技術力もさることながら、同社の強みは「DaaS(Drone as a Service)」を提供できることにある。「ドローンを制御するソフトウエアやオペレーションシステムを仮想化技術でプラットフォーム化し、機体とセットで提供します」と市原氏。これにより、ユーザーは産業用ドローンを必要なときに利用できるようになる。

 5Gは、このDaaSに欠かせない技術となると言われている。「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」という特長が、提供可能なサービスの範囲を大きく広げると見られているからだ。より広範なエリアでリモート操縦が可能になり、撮影した高画質映像なども瞬時に伝送できるようになる。

ネットワークスライシング技術を活用し、
DaaSの機能強化を図る

 さらに、来るべき5G時代に向け、同社は5Gの強みを増幅させる仕組みづくりも始めている。一例が、NFV(Network Functions Virtualization)などの技術でネットワークを仮想的に分割する「ネットワークスライシング」と、ドローンの機能の親和性を高める試みである。

 「帯域中のある部分は高速・大容量に適した形で用い、別の部分は高信頼・低遅延に向いた形で使うといった、ドローンの機能ごとにフレキシブルな運用が可能になります」(市原氏)。限られた電波資源を有効活用しながら、5Gのメリットを最大化することができる。

 例えば、それほど大きな通信帯域を必要としないドローンの操縦には高信頼・低遅延な通信を使い、ドローンで撮影した高画質映像のリアルタイム伝送には高速・大容量の通信を割り当てられるようになる。「これにより、DaaSのお客様ごとのサービスレベル最適化を図ることができ、5G対応の先進的なドローンシステムの実現が可能になります」と市原氏は語る。

 5Gを用いることによる操作性能の向上は、米国における先行試験の結果でも期待できる結果が示されている。LTEによるドローン遠隔制御の遅延は40~55ミリ秒だったが、完全に最適化されていない状態でもネットワークスライシング技術を活用した5Gでの遅延はわずか16~30ミリ秒に短縮されたという。