5G時代のエンターテインメントを
含めたソニーグループでの取組み

目指すは、
エンターテインメント
体験の革新

ソニー株式会社
R&Dセンター・事業探索・
技術戦略部門
部門長

山口 周吾氏

 多彩なエンターテインメントコンテンツを提供するソニーは、グループシナジーを生かした新しい映像体験の創出を目指している。アーティストと目線が合うライブのVR映像、自由視点で楽しむスポーツ観戦、時空を超えた映像表現――。5Gの登場で、今までにないコンテンツを創造できるようになるという。

5G時代は全く新しい映像が体験できる

 「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」。これがソニーの存在意義だ。この実現に向け注力する事業領域の一つが、リアルタイム/リアリティサービスのプラットフォームと位置づける「5G/IoT」事業である。超高速・超低遅延・多数同時接続という5Gの特性に、あらゆるモノがネットワークでつながるIoT技術を組み合わせることで、エンターテインメントの世界は飛躍的に進化する。

 とくに5Gで進化が期待されるエンターテインメントの領域が「映像」である。ソニーグループには多種多様なクリエイティブを手掛ける企業が存在しているが、その高度なコンテンツ制作力とグループシナジーによってこれまでにない映像体験を提供しようとしている。

 「5G時代の映像体験は、クリエイターに近づいていくと考えています」と話すのは、ソニーの山口 周吾氏だ。作り手がイメージした世界観や質感を忠実に再現できるようになることで、見る側は、自らがクリエイターになったかのような映像表現を楽しめるようになるという。

 体験の主要なインターフェースとなるのがモバイルデバイスだ。グループの1社であるソニーモバイルコミュニケーションズは、スマートフォン「Xperia(エクスペリア)」で、5G時代を見据えた新機能の提供を開始していくという。「表示領域を広げた有機ELディスプレイを搭載しており、ゲームでもかつてない臨場感と没入感を味わうことができます」と山口氏。標準・望遠・超広角のレンズを備えた約1220万画素のカメラでクリエイティブな映像撮影も可能にしている。

高速無線通信がコンサートや
スポーツ観戦の常識を変える

 グループの多様な技術とアセットを活用し、映像体験の未来を先取りするクリエイティブ制作も進めている。例えば、宇多田ヒカルのコンサートのステージにおけるVR(仮想現実)コンテンツの活用がその一つだ。

 「複数のカメラやVRモニタリングシステムを駆使して撮影した映像をマルチビューイング化し、ステージ全体の『俯瞰』とアーティストの近さを感じる『近接』の映像を自由に切り替えられるようにしました。視聴者がアーティストと目線を合わせることもできます。5Gによって、ともすれば現実世界以上の、圧倒的な臨場感を体験することが可能になります」(山口氏)

 他にも、スポーツ観戦も大きく変わる。5Gでは、「モバイル・エッジ・コンピューティング(MEC)」という技術を活用することで、大容量のデータも遅延なくモバイルデバイスに配信することが可能になるからだ。例えば、サッカーの試合をスタジアムで観戦中、ピッチにスマートデバイスを向けると、AR(拡張現実)で様々な情報が表示されるといったことが実現可能になる。

 「カメラで撮影した高精細な4K/8K映像は、5Gにより編集・加工用のエッジサーバーに遅延なくアップできるようになります。その映像をエッジサーバー内でVR/AR技術を駆使したコンテンツに加工し、5Gネットワークで視聴者に配信する仕組みです」と山口氏は説明する。

 また、これまでカメラは有線で映像を伝送することが必須だったが、これが不要になって撮影クルーの機動力が上がる。さらに、カメラから直接エッジサーバーに映像をアップできるようになれば、例えば、放送機材を備えた制作中継車も不要になる可能性もある。「映像制作・配信のワークフローも劇的に変わるはずです」と山口氏は付け加える。