日経ビジネス電子版Special

なぜファイナンスが
今や経営を担う
役割になったのか

アクセンチュアが支援する
ファイナンス革命

企業におけるファイナンスが担う役割は、急速に進行するデジタル化やグローバル化への対応が求められる中で、大きく変容を遂げている。グローバルコンサルティングファーム、アクセンチュア製造・流通本部(PRD)で幅広い業種業界のイノベーションを支援する3人のマネジメントコンサルタントに、“ファイナンス”を軸とするグローバル経営管理について聞いた。

アクセンチュア製造・流通本部

マネジング・
ディレクター
赤羽 陽一郎
シニア・
マネジャー
Tateki K.
シニア・
マネジャー
Shiho S.

日本市場が
低迷する中で
やるべきことは明白

赤羽氏,K氏,S氏

「PRDはカバーする業種業界が多いため、さまざまな企業のサポートを通じて、スキルや知識を吸収できる」と赤羽氏。

 アクセンチュア製造・流通本部(以下、PRD)は、経営コンサルタントとして自動車・産業機械、建設、不動産、運輸、食品、航空、消費財、流通といった幅広い業種業界で、オペレーティング・モデルの構築・変革を支援してきた。その中でも3名は、業界の垣根を越え、企業価値向上に寄与するファイナンス(財務会計)を軸としたサポートを実践する。

 「ファイナンス」や「経理・財務」の役割といえば、いわゆる制度会計や税務に則った業績の確認・報告といったルーティン業務をイメージする人も多いだろう。だが、PRDの経営コンサルティングを統括するマネジング・ディレクター赤羽陽一郎氏は、グローバル化やデジタル化の波が進む中で「今やファイナンスが担う領域は拡大しており、経営における中核の一つとして考えるべきです。この統括者であり、私たちの部隊がお手伝いすることの多いCFO(最高財務責任者)の役割も大きく変遷を遂げています」と言う。

 こうした変化を理解するために、まず前提として捉えるべきことは「低成長が続く日本経済の現状」だと赤羽氏は語る。IMFが調査した世界各国・地域のGDP成長率の推移を見ると、日本経済は1995年からピークアウトの一途を辿り、2030年には世界経済におけるシェアは4%程度に留まっている。これに対して、ASEAN諸国を始めとする新興国は大きく伸長することが予測される。「つまり、日本企業が今やるべきことは明白です。依然、低成長のままの国内にだけ目を配るのではなく、どうすれば成長する近隣諸国のマーケットに進出できるかを考えなければ経営は成り立ちません」(赤羽氏)。

世界のGDP(地域別)
出典 : IMF World Economic Outlook Database October 2018 Edition,
https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2018/02/weodata/index.aspxから取得
(取得日2018/2/27)
*名目GDPについては、1980年から2017年の間は実際の値、2018年から2023年の間はIMFによる予測値を適用した。 2023年以降の期間について、2018年〜2023年のIMF予測値のCAGRの値に基づいてアクセンチュアが算出。
図1

グローバリゼーションの波

これからの10年を見てみると、アジア太平洋をはじめとした海外の成長を取り込むために、グローバルカンパニーとの競争がより激化していくことが見込まれる。

 これに対応するように、近年では日本企業の中にも、M&Aを急進し、海外拠点数・海外売上高比率を伸長させるグローバル展開を軸とする戦略で、堅調な業績を維持する企業も少なくない。しかし赤羽氏は「M&Aの従来の目的である企業価値向上から見ると、時価総額ランキングのグローバルトップ50に位置するような日本企業は1社のみです。M&A後の統合プロセスなどがうまくいかず、グローバルに事業拡大を進めたものの、バックオフィスの立ち上げやオペレーティング・モデルの整備が追い付かず、業務効率の低迷、コンプライアンスリスクといった新たな課題を抱えてしまうケースも増えています」と言う。

 そこで焦点となるのが、ファイナンス=経営という観点から、事業変革とCFOの役割を新たに定義づけることだと言う。「自社の数字やファイナンスに精通するCFOがCEOの右腕となり、正しい投資判断や事業ポートフォリオの構築、人材育成も含めたグローバル経営を共に担っていく上でのビッグ・ピクチャーを描けなくてはなりません」(赤羽氏)。