一人のスターではなくチームの成果を評価する 一人のスターではなくチームの成果を評価する

  • バークレイズ証券株式会社
  • 代表取締役社長
  • 木曽 健太郎

1967年生まれ、栃木県出身。89年に東京大学経済学部を卒業後、JPモルガン銀行東京支店入行。2004年バークレイズ銀行ロンドン本店に入行し、14年からは債券およびローンシンジケーション部門アジア太平洋統括責任者などを務める。16年から現職。

創業329年の歴史を誇る英国最大の金融グループ創業329年の歴史を誇る英国最大の金融グループ

 バークレイズ・グループの創業は1690年。329年という長い歴史を持ちながら、一貫して社名を変えていない国際金融機関はほかにないと自負しています。とりわけ欧州では特別な名前であり、我々自身歴史の重みを強く感じています。これほど長く歩んできた我々は、目先のトレンドに捉われることはありません。長期のビジョンに基づいてビジネスを推進できることが強みです。  

 2008年金融危機の震源となったリーマン・ブラザーズの北米投資銀行を買収したことで、米国の大手金融機関とも肩を並べる存在になりました。近年は他行に先駆けて英国リテール部門のリングフェンシング(分離) に取り組み、規制対応に万全の策を講じています。

 欧州系金融機関との取引拡大のために我々を選ぶ顧客も増えています。ブレグジットを間近に控え、英国最大の金融グループであるバークレイズに対する期待はますます高まっています。我々ならではの強みに磨きをかけ、今後も質の高いサービス・情報を提供していきたいと考えています。

デジタル化に抵抗せずむしろ加速させるデジタル化に抵抗せずむしろ加速させる

金融業界は今、ディスラプション(創造的破壊)の只中にあります。フィンテックの名の下で大手IT企業やベンチャー企業が相次いで参入しているのは、金融ビジネスに魅力があるからにほかなりません。我々はその流れに抵抗するのではなく、むしろ加速させたいと思っています。

その証拠に、ロンドンをはじめ世界5カ所にフィンテック企業の育成施設「Rise(ライズ)」を開設しています。Riseでは、米国の著名アクセラレーターであるテックスターズとともに13週間にわたるアクセラレーター・プログラムを提供し、スタートアップの成功をサポートします。また、英国ではメイカーズ(個人で営む製造業者)の企業家コミュニティを支援する「イーグル・ラボ」の運営も手掛けており、次世代技術のイノベーション支援を行っています。

このようにデジタル投資を重視するバークレイズ・グループのCEOは、「我々はテクノロジー企業であり、たまたま銀行をしているだけ」とよく言います。Riseやイーグル・ラボを誕生させた背景には、スタートアップの支援にとどまらず、我々のビジネスにもAI(人工知能)などの最先端テクノロジーを取り入れようという強い姿勢があるのです。

投資銀行のホールセールは人対人のビジネスであり、デジタル化にはなじまないと思うかもしれません。確かに、顧客との信用を重んじるリレーションシップバンキングにおいて、人の手が全く不要になることはないでしょう。しかし、自動化できる部分はどんどんすべきというのが我々の考えです。市場でのプレゼンスを高めるためにはビジネスの規模の拡大が不可欠であり、より効率的な仕組みを確立することがその近道になるからです。

バークレイズ・グループは英国・ロンドンを本拠とする世界有数の金融機関。329年にわたる長い歴史を持ちながら、社名は一貫して変えていない

優秀な人を惹きつける魅力的な会社でありたい優秀な人を惹きつける魅力的な会社でありたい

従来と同じやり方では、瞬く間に取り残されてしまう。その危機感は、人材育成にも表れています。これまでは30~40代になってようやく経験できたことでも「これは俺の仕事」「君にはまだ早い」ではなく、若い人にどんどん任せる。もちろん、初めは失敗することもあります。でも、豊富な経験を積んだ20代を数多く輩出することができれば、投資銀行として非常に大きな強みになります。

一人ひとりに相応しいキャリアを検討する「タレントレビュー」には特に力を入れており、どんな職責や環境の下で個々の社員の能力を最大限に生かせるかを真剣に話し合っています。成果が出れば上司も評価され、部下は任せてもらえることでさらに前向きに仕事に取り組む。そのサイクルを繰り返すことで、より強いチームを作っていきたいと考えています。

強いチーム作りが必要なのは、もはや一人のスタープレーヤーが活躍できる時代ではないから。株式や債券、為替といったプロダクトごとにバラバラの提案をしていては、複雑かつ多様に広がる顧客ニーズに応えることはできません。部門間の垣根を取り払い、ビジネスの課題解決に資する総合的な提案こそが求められているのです。

私はめったなことでは怒りませんが、情報を独り占めする行為は認めません。個人プレーに走る人は評価せず、我々が目指すチーム作りに貢献する人を評価することを徹底して社員に伝えています。

日本オフィス開設50周年を祝して作られたロゴ

2019年で開設50周年を迎える日本オフィスでは、バークレイズ証券株式会社、バークレイズ銀行東京支店、バークレイズ投信投資顧問株式会社の3社がグループとして協力し、顧客に金融サービスを提供しています。約25カ国500名の社員たちが世代や肩書に関わりなく自由闊達な雰囲気の中で働き、社長の私も間違ったことをすれば遠慮なく批判されます。

私が今20代だったら、きっと楽しいだろうなと思いますね。新しいことに挑戦するチャンスに溢れ、優秀な人を惹きつける魅力的な会社であり続けることが、企業としてより良いサービスを届ける原動力になると考えています。

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