女性が活きる、地域が活きる地方創生の鍵を握る女性のリーダーシップ

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地方創生のカギを握る
女性が活躍できる街づくり

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日本総合研究所 主席研究員
藻谷 浩介

東京大学法学部卒業。コロンビア大学経営大学院でMBAを取得。平成合併前3200市町村のすべて、海外106カ国を自費で訪問し、地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し、精力的に研究・著作・講演を行う。2012年より現職。『デフレの正体』、『里山資本主義』(KADOKAWA)など著書多数。近著に、『世界まちかど地政学』(毎日新聞出版)。

藻谷 私は現在、日本中の行政、企業、NPOなどに出向いて、地域の活性化のお手伝いをしていますが、そこで気がつくのは、女性が活躍している地域ほど、取り組みも前に進んでいるということです。それからもう1つ、行政だけではなく地域の企業が、地域の未来に対し責任感を持って実践をしているかどうかも、たいへん重要ですね。

ジャン まさにそうですね。地域社会の問題は、政治やNPOが取り組む課題だと思っている人も多いのですが、企業が労働の場を提供するだけでなく、地域に貢献していくことがとても重要だと私も思います。

藻谷 現在の日本の最大の課題は人口減少で、その原因は出生率の低下です。ところが多くの企業は、働きながら子育てする社員を支援しようという意識が低い。そんな中でも山陰の島根県は、若い女性が日本で1番働いてる県であり、出生率も沖縄についで全国2位です。これには行政の頑張りもあるのですが、主要な企業が自ら保育所を設けるなど、経営者側の意識も高い。残念ながら東京では、これとは真逆の傾向が続いています。

女性の労働力率(15〜64歳)

総務省「国勢調査」(2015年)により、都道府県別の女性の生産年齢(15歳~64歳)の労働力率をみると、島根県が74.6%と最も高く、女性の子育て世代(25歳~44歳)の労働力率も生産年齢と同様の傾向となっており、島根県が最も高い。
資料出所:総務省「国勢調査」(2015年)より、厚生労働省雇用均等・児童家庭局作成。

ジャン 家庭を持っても安心して働ける場所を企業がつくっていくことで労働力が増え、出生率も上昇していくことを、その県が証明しているわけですね。日本の地方は優秀な女性の人材をもっと活用していくべきです。それが結局は税収入の増加にもつながり、経済全体が良くなりますから。

藻谷 その通りです。島根県には海士町という、日本の地域活性化のお手本のような離島があるのですが、先日そこで、住んでいるシンガポールと島を行き来しながら、外国からの観光客を呼び込もうとしている若い女性に会いました。地域の持つ潜在的な魅力を活かしたこうした試みに、地方創生の大きな可能性があると思っています。そしてそうした実現のカギは、顧客マインドを持つ女性が握っているのです。

経済発展に求められるのは
企業の意識変革

ジャン 私は市長のころから日本に呼ばれて各地域を回り、シーザーズ・エンターテインメントの副社長に就任してからもたびたび日本を訪れています。日本は特に地方が素晴らしい。どんな地域にも魅力的な資源があり、特に海外からの観光客をターゲットとした交流事業を行うのにとても適しています。ラスベガスなんてもともと砂漠しかありませんでしたからね(笑)。それに比べて日本は人を魅了する多くの文化があります。観光だけでなく、企業の会議やコンベンション、展示会が行われたりと、交流産業の可能性も開けています。

藻谷 ご評価ありがとうございます。でも日本の地方で実権を握っている中高年男性に、そうした顧客目線はありません。ラスベガスがそうしたように、消費マインドの高い女性の視点を導入しなければならないのです。ジャンさんが実践されてきたプロセスを我々もきちんと学び、同じように工夫して自ら変わっていかなくてはなりません。

ジャン 経営側には意識変革が必要です。例えば私たちシーザーズでは、2025年までに経営層のあらゆる男女比率を50:50にすることを目指しています。その目標達成のために、男女ともに4週間の産休・育休の取得や、フレキシブルに働ける労働環境を整えるなどの働き方改革を行っています。また、事業展開する地域に対し、ポジティブな社会的影響を長期的にもたらす取り組みに注力しており、社員だけでなく地域の人々の生活も大切にできる取り組みも積極的に行っています。*1

藻谷 日本の企業でもそういう目標をきちんと持って進んで行けば、もっといろいろなイノベーションが起こせそうですね。さらにそういう企業が増えていけば、人口減少にも歯止めがかかります。でも旧来の男性幹部からは「女性だからというだけで優遇するのか」というような、妬み半分、妨害半分の声が出そうです。

ジャン ただ女性の数を増やせばいいのではなく、結果を出すためには優秀な人材が必要で、パフォーマンスが高い人材であれば性別は関係なく採用する、そうすれば女性の数は必然的に増えます。社員の男女比率が均等な企業はそうではない企業に比べてEBITマージン(EBIT: 税金控除前利益と売上高の比率)が15%高く、経営陣の女性比率が高い企業は22%高いということが弊社の調査で明らかになっています。

藻谷 なるほど、企業として業績の数字にきちんと向き合えということですね。全く同感です。日本神話では、イザナミとイザナギという夫婦の神様が力を合わせて国を作ったことになっています。つまり日本は最初から男女共同参画の国だったんです。文献に残る最初の権力者の卑弥呼も女性だし、紫式部など優秀な女性が常にいた。日本本来の平等性を取り戻すことが、地方創生のカギとなり、それが日本経済にもつながるのだと思っています。

*1 ポインツ・オブ・ライトが主催する 「Civic 50」(米国の優れた企業市民の基準を示し、企業が事業展開する地域において、時間やスキル、その他のリソースを投じて、どのようにコミュニティに貢献しているかについて評価する調査・ランキング制度)において、全体では4年目となる最もコミュニティ志向の高い企業の1社に、一般消費財・サービス業界では3度目となる1位に認定されている。

「WOMAN EXPO TOKYO 2019」プレイベント
「女性発 地方創生フォーラム」開催

2019年5月17日(金) 13:00 〜 15:00(12:30開場)
会場 東京ミッドタウン ホール&カンファレンス ホール B-2

日経グループが、「日経ウーマノミクス・プロジェクト」の一環として開催してきた「WOMAN EXPO TOKYO」。
第6回目を迎える今回は、前段イベントとして「女性発 地方創生フォーラム」を開催する。 日本総合研究所 藻谷浩介氏をはじめとした、第一線で活躍される様々なゲストを迎え、「女性を取り巻く就労環境」と「地方創生」をテーマに、講演・パネルディスカッションなどが行われる予定だ。

イベントは終了しました

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