「電話の常識」を疑うことが働き方改革のポイントに 〜経営層が考えるべきテレワーク普及への道〜

働き方改革に対する掛け声は大きいものの、なかなか進展しないテレワークの導入。これは、優秀な人材の確保と生産性向上を推進したい経営者やマネージャーにとって、由々しき問題だといえる。ではなぜテレワークの導入が進まないのか。その要因の1つとして注目したいのが、日本独特の電話文化である。それを変革するためのアプローチをここでは紹介したい。テレワークを浸透させるための第一歩をどう踏み出せばいいのかを、理解できるはずだ。

テレワークの普及を阻害する日本ならではの電話文化

19.1%。この数字が何を示しているのか分かるだろうか。これは総務省が発表した「平成30年通信利用動向調査」に掲載されている、日本企業における2018年時点でのテレワークの普及率(図1)。既に多くの企業が働き方改革に取り組んでいるが、そのほとんどは長時間労働の是正などが中心になっており、テレワークの導入はそれほど進んでいないことが分かる。

図1 日本企業におけるテレワークの導入状況

図1 日本企業におけるテレワークの導入状況

「平成30年通信利用動向調査」(総務省)に掲載されているテレワークの導入状況。日本企業のテレワーク導入は、まだそれほど進んでいない

この事実に対し日本企業の経営者やマネジメントは、大きな危機感を持つべきだ。働き方改革実現のアプローチは数多く存在するが、テレワークはその中でも最重要な要素の1つとなるからだ。

シスコシステムズ合同会社 業務執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当石黒 圭祐氏

テレワークの普及は、従業員の生産性向上に大きな貢献を果たす。移動時間を短縮するとともに、社外活動におけるスキマ時間も活用しやすくなるからだ。もちろん従業員のワークライフバランスの改善も容易になる。会社のオフィスに縛られない働き方を可能にすることで、育児や介護が必要な従業員も休職することなく働けるようになるからだ。その結果、優秀な人材を引きつけることも可能になる。人材獲得競争が激化している海外企業では、既にテレワークの導入、そのような働き方の提供は当たり前のものになりつつある。

それではなぜ日本企業ではテレワークの導入が進まないのか。その理由の1つは「仕事というものは会社に出社して行うものだ」という従来の常識が、いまだに根強く残っているからだろう。まずはこの意識を変えていく必要があるが、そのためには「仕事で利用するツール」のあり方も変えていく必要がある。その中でも特に重要なのが電話の改革だ。

新たなコミュニケーション手段としては、既に多くの企業が社内ビジネスチャットなどの導入に踏み切っている。これらのツールは自社の社員がオフィスにいるか否かにかかわらず、従業員同士のやり取りを簡便なものにする。しかし社外の顧客や取引先、あるいは社外の社員とのやり取りは、依然として電話や電子メールが主要なツールになっているはずだ。その中でも電話は相手とリアルタイムにやり取りでき、細かいニュアンスも伝えやすい手段として、現在も重要な役割を果たしている。

ここで問題になるのが、従来型の会社の電話が社外では使えないということだ。その大きな理由は、多くの会社の電話システムが「PBX」と呼ばれる構内電話交換機によって実現されているから。このPBXがオフィスごとに設置されている以上、内線電話による通話や外線への発着信は、必然として社内でなければ行えない。

このようなコミュニケーション手段の存在が、「出社を前提にした働き方」を変えにくくする大きな要因の1つになっている。「外出時には電話番が伝言を残す」「新入社員が3秒以内に電話に出る」「電話内容の確認のために帰社しなければならない」などの電話文化を引きずっている日本企業は、現在でも数多く存在するはずだ。


会社の電話番号を社外でも使えるようにする「Cisco Webex Calling」

シスコシステムズ合同会社 業務執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当石黒 圭祐氏

テレワークを浸透させていくには、会社の電話を社外でも自由に使えるようにすることで、古い文化を解消していかなければならない。その手段として注目されているのが、「Cisco Webex Calling」というサービスである。シスコシステムズ(以下、シスコ)の石黒 圭祐氏は「このサービスのコンセプトは、内線電話や外線接続に必要なすべての機能をクラウドに移すこと。場所としてオフィスごとに存在するPBXの役割をクラウドへと移すことで、インターネットなどのネットワークがつながる場所であればどこででも、会社の電話を使えるようになるのです」と説明する。

もちろんこのような「クラウドPBX」は、Cisco Webex Callingが最初ではない。既に5〜6年前から複数のベンダーが提供している。それではなぜ今、このサービスが期待を集めているのか。それは導入時の電話番号の扱いが、ほかのクラウドPBXサービスとは大きく異なるからだ(図2)。

図2 PBXをクラウドに移すことで変わる電話システムの形

図2 PBXをクラウドに移すことで変わる電話システムの形

PBXのクラウド化によって、会社の電話を社外でも使えるようになる。しかし従来のクラウドPBXは導入時に電話番号が変わってしまい、これが導入のハードルになっていた

一般的なクラウドPBXは、導入時に電話番号の変更が必要となる。これが大きなハードルになり、導入を断念しているケースも少なくない。これに対してCisco Webex Callingでは、シスコとKDDIが協業することで、既に契約している既存の電話番号をそのまま使うことが可能になっている。「これによって導入のハードルは大幅に下がりました。これはCisco Webex Callingの大きな特徴の1つだと言えます」(石黒氏)

Cisco Webex Callingを使う場合には、利用者のスマートフォンあるいはPCに専用アプリを導入し、ここで着信や発信を行うことになる。つまり会社の電話番号を、自分のスマートフォンで利用できるようになるのだ。これに加えて固定席でも使いやすいよう、固定電話型の端末やPC用のソフトウエアもラインアップされている。

Cisco Webex Callingのライセンスとしては、会議室のような固定された場所で発着信のみが行える「Placeライセンス」、ビジネスフォンと同等の機能を備え電話番号ではなく相手の名前を指定した発呼が可能な「Basicライセンス」、そしてビジネスに必要なすべての機能が利用できる「Enterpriseライセンス」が用意されている。これらのうちEnterpriseライセンスを契約することで、電話機能以外も利用可能になる。それは社内外とのビジネスチャットやオンライン会議、ファイル共有、資料作成・編集などであり、しかもアプリ画面から、それらの機能をシームレスに利用できる。

図3 Cisco Webex Callingの通話画面例

図3 Cisco Webex Callingの通話画面例

Cisco Webex Callingから電話をかけている画面の例。電話番号ではなく相手の名前で電話をかけている


テレワークを容易にするだけではなくコスト削減にも貢献

会社の電話をCisco Webex Callingへと移行すれば、従来の電話番号を変更することなく、そのまま社外でも使えるようになる。これによってテレワークへの心理的なハードルは、一気に下がることになるはずだ。また契約内容によっては電話だけではなく、ビジネスチャットやオンライン会議も利用可能だ。電話の変革を起点に社内外のコミュニケーションのあり方を、一気に前進させることが可能になるのだ。

コストダウンにも貢献する。例えば営業担当者のように社外での活動が多い従業員の場合、顧客や取引先との連絡をスピーディーに行うため、会社が携帯電話やスマートフォンを支給するケースが多いが、そのためのコストは決して小さくない。しかしCisco Webex Callingを利用すれば、従業員個人のスマートフォンでも会社の電話番号が使えるようになる。会社にとってはオフィス内の固定端末を減らし、最適化することができる上、従業員が個人スマートフォンとの2台持ちを解消し、持ち物を減らせるというメリットもある。また企業のガバナンスを効かせることで、シャドーITを防ぎ、セキュリティの強化にもつながるだろう。

既にスマートフォンで内線利用を可能にする「FMCサービス」を利用している企業も、コストダウンを図ることが可能だ。一般的にPBXにプラスして携帯内線機能を付加するFMCサービスに比べ、Cisco Webex Callingを利用した場合は、PBXそのものを撤廃することができるため、PBXの機器購入、敷設、維持、毎度のオフィスレイアウト変更に伴う番号変更依頼コストそのものも削減することができるからだ(図4)。今までは、内線番号変更や付替えをする際、PBX業者に依頼、現地作業のスケジューリングなど、変更完了までに多くの時間とコストを要していたが、Cisco Webex CallingではWebブラウザ内で管理ポータルにアクセスし、管理者自身で簡易に瞬時に変更することが可能になる。

図4 クラウド移行によるコストの比較

図4 クラウド移行によるコストの比較

「シスコが最終的に目指しているのは、ユーザーだけでなく、管理者にとってもこのように使い勝手の良いツールを、より多くの会社に使いこなしてもらうこと。また、従来の電話番号を使えるようにしているのも、導入のハードルを下げるためです」と石黒氏は語る。

さらに同社では期間限定でオンライン会議サービスCisco Webex Meetingsを軸とした「働き方改革支援 特別プラン」の提供も実施している。3カ月の無償トライアルに加え、初年度契約人数は全従業員数に対し15%分のライセンスで全従業員が利用可能になるという。Cisco Webex Callingの提供する電話だけでなく、Cisco Webex Meetingsを利用することで、資料共有や共同編集など会議のコミュニケーションまでも円滑に進められるため、テレワークの幅がさらに広がることは言うまでもない。

「まずは実際に利用して小さな成功体験を通じたメリットを実感していただくことが重要です。そこを起点に『これまでの当たり前』を疑うことで、テレワークの浸透に向けた意識改革が進むと考えているからです」(石黒氏)

近い将来には日本でも、テレワーク浸透具合が企業競争力や企業の魅力度を大きく左右する時代が到来するはずだ。長期的にはこれが、人材獲得競争や事業継続性に直結する要因になるからである。電話の変革は、そのために欠かせない第一歩だといえるだろう。


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