DX空白地帯を攻略 購買、経費精算業務の課題と可能性とは Vol.1 Mastercard×コンカー

多くの企業がデジタル技術を活用した業務プロセスの見直しに取り組んでいる。中でもデジタル化によって大幅な効率化とリスクの低減、そして付加価値の向上が見込める業務が購買や経費精算などの間接業務だ。海外では、クレジットカードの国際ブランドであるMastercardのソリューションと、出張・経費精算を自動化する「SAP Concur」を連携させる活用方法が大いに注目を集めているという。ここでは、両社のキーパーソン、そして企業内の不正対策に詳しい公認会計士に市場の動向とソリューションの具体的な評価を聞いた。

Vol.1 Mastercard×コンカー 全社一括精算で効率と管理性を向上 集約したデータを分析して交渉材料にVol.2 エスプラス×コンカー カード決済は本当にリスキーか 「不正」からひも解く適正な決済手段

全社一括精算で効率と管理性を向上 集約したデータを分析して交渉材料に

生涯に100日以上を費やしている経費精算業務

Mastercardとコンカーの両社は、日本企業は間接業務のデジタル化が後れている、という指摘をしていますね。具体的にお聞かせください。

ケルとりわけ後れているのが購買や経費精算です。背景には欧米と日本の商習慣の違いがあると考えています。欧米では古くから小切手による決済が定着しており、ペーパーレス化、システム化しやすい土壌がありました。一方、日本は優れた銀行サービスがあったこともあり、紙の請求書をもらい、銀行振り込みや社員の立て替えで対応する形態が定着。それが今でも主流になっています。

阪尾この紙と現金をベースとする商習慣は、経理や総務、購買など担当部署、そして現場にとって大きな負担、ムダとなっています。例えば、交通費や交際費などの精算に費やす作業量は、一般のビジネスパーソンの場合は生涯に52日、営業職だと100日にのぼるという調査もあります。デジタル技術が進展した今となっては、これらの業務プロセスが持つ効率化の余地は非常に大きいはずです。


安全に法人決済用のクレジットカードを利用するには

では、間接業務はどのようにデジタル化できるのでしょうか。

Mastercard コアプロダクト 副社長 ディビット ケル 氏

ケルまず私たちの法人決済ソリューションが1つの解決策となります。三菱UFJニコス様、三井住友カード様、クレディセゾン様をはじめとする法人カードを発行しているパートナー様のコーポレートカードやパーチェシングカードを利用すれば、現金支払い、請求書、銀行振り込みといったプロセスを省略し、購買や経費精算業務を効率化できます。

さらに近年、欧米ではMastercardが提供する「インコントロール」という一回使い切りバーチャルカードを発行できるソリューションの活用が広がっています。

コーポレートカードやパーチェシングカードは、クレジットカード会社から与えられる「与信枠」内でカードを利用することができますが、企業には、与信枠単位だけでなく、「個別の購買単位」で支払いをコントロールしたいというニーズがありました。場合によっては数十億円といった与信枠を持つパーチェシングカードの番号を全社や部門全体で共有するのはリスクがあるからです。

それに対して、インコントロールは、カードに対して利用金額や利用回数、利用期間、利用方法、利用国、通貨などの制限をかけられる上、パーチェシングカードと親子関係を持ち、一度だけ利用できるワンタイムの番号を付与した「バーチャルカード」を発行することが可能。これらの機能を駆使して、適切な購買ポリシーを設定することで安心してカードで支払いできるようになります。

株式会社コンカー 事業開発本部 本部長 阪尾 素行 氏

阪尾次のステップは経費精算システムとの連携です。

コンカーが提供する「SAP Concur」は、出張や交際費の事前申請や承認、航空券やホテルの手配、そしてそれらの精算までを一気通貫で行えるシステムおよびサービスです。請求書管理にも対応しており、事前申請された経費、立て替え経費、請求書ベースで支払っている経費など、統合的な支払い管理を行えます。

加えて、経費精算システムの中では、唯一Mastercardの法人決済ソリューションのデータを完全な形で受け取ることができます。これにより、単に請求書払いをクレジットカード払いに置き換えて効率化を図るだけでなく、支払い情報を統合し、誰が、いつ、どこで、どう経費を利用したかを可視化してガバナンスを効かせたり、自社の支払い状況を分析したりして、サプライヤーとの交渉材料にするなど、高度なデータ活用が実現します。


ケル法人向け決済ソリューションの主な利用シーンの1つに出張時のホテル手配があります。一回使い切りのバーチャルカードを発行して、そこにミニバーなどの利用は不可にするといった制御を加えることで適切な利用を促しつつ、社員が出張で利用するホテルの宿泊費を全社で一括精算することができるからです。社員が個別にホテルを手配して、そのつど経費を精算するより、はるかに効率的です。

また管理面でも、宿泊費の明細はコンカー上に集約、可視化することが可能。その情報を分析して、契約している旅行会社や航空会社、ホテルなどとのコーポレートレートの交渉に役立てています。

つまり、決済情報をソーシングプロセスにも生かし、購買プロセスの効率化とコスト削減を同時に実現しているのです。


※プラスチック製の板状のカードを持たず、カード番号だけで運用するカードのことをバーチャルカードと呼ぶこともあるが、Mastercardでは、元となるカードの子番号として適宜発行することができる、一回使い切りのカード番号のことをバーチャルカードと呼ぶ。

日本での新ソリューション提供について

それぞれ、非常にメリットの大きいソリューションですが、両社を組み合わせることで、そのメリットがさらに大きくなるのですね。

ケルはい。Mastercardはコンカーを、相互に補完し合い、互いのソリューションの価値を高め合うことができる重要なパートナーと考えています。

阪尾既に海外では、2つのソリューションを組み合わせて、これまでに述べたようなメリットを享受している企業が多数あります。


日本では、利用できないのでしょうか。

ケルMastercardとしては日本の各カード会社様と協力し、2020年以降のサービス開始を目指しています。

Mastercardが目指すのは、法人決済プロセスのデジタル化です。1日も早く、日本のお客様にも新しいソリューションの価値を体感していただきたい。そのために必要なインフラ整備や、カード発行会社様との調整を急ピッチで進めております。


最後に・・・

阪尾9月に開催する「SAP Concur Fusion Exchange 2019」で、三菱UFJニコス様、三井住友カード様、クレディセゾン様が企業のグローバル化や購買管理プロセスの高度化ニーズに応えるソリューションを紹介する予定です。

Mastercard、コンカー、そしてカード発行会社が一丸となって法人決済に関するエコシステムを育成し、日本企業における間接業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献していきたいと考えています。


お問い合わせ

株式会社コンカー
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