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テスト自動化ツールとオフショアの活用によりシステムテスト事業を急拡大【株式会社デジタルハーツ】

ゲームソフトのデバッグ(プログラムの不具合を見つけて報告する作業)事業で成長を続けてきたデジタルハーツは、近年エンタープライズ分野のシステムテスト事業に本格参入。その成長を加速させるため、米LOGIGEAR社をグループ化。その成長戦略について、代表取締役社長 玉塚元一氏に話を聞いた。

デジタル化の進展に伴い
高まるシステムテストニーズ

現在ゲームソフトは、極めて高度化、複雑化している。しかも、そのユーザーは子どもから高齢者まで非常に幅広いため、どのような使い方をされるか予想もつかない。もしもゲームに不具合や大きな問題が生じれば、瞬く間にユーザーが離反するという怖さもある。そのため、ゲーム業界では第三者検証が重要視されてきた。その中で技術力を高め、エンジニアを育成し、成長してきたのがデジタルハーツである。

2017年に社長に就任した玉塚氏は、「第二創業」を掲げ、エンタープライズ分野に本格的に参入。特にデバッグ事業と共通点の多いシステムテスト事業に力を入れ、テストエンジニアの確保・育成に取り組み売上を伸ばしてきた。そしてまさに今、「システムテストの時代が来た」と玉塚氏は次のように語る。「デジタル化の要求が高まる中、開発期間の短縮化も進んでいます。一方で、例えばリリースしたアプリに問題が発生すると、サービスの停止や企業の信用問題にもなりかねません。第三者による検証ニーズは高まっています」。

一方で、日本には業界の構造的な問題もある。ITリテラシーの高い人材が揃っているユーザー企業は少なく、ITベンダーに「丸投げ」というケースも多い。そして、現場は多重下請け構造により、テスト工程を含む開発プロセスが可視化されていない。デジタル化を進めるためには、このような状況から脱し、ユーザー企業自らが主体的に取り組む必要があり、その実現にはデジタル人材の確保が急務だ。しかし、それでなくてもデジタル人材が不足する中、必要な人材を自社で十分に揃えるのは至難の業だ。このような中でソフトウェアの品質を担保するためには、テスト工程を可視化し、必要なテストを明確にした上で、それに効率的に取り組むことがどうしても必要なのだ。

デジタルハーツは、LOGIGEAR社のグループ化を機にシステムテスト事業の急成長を狙う。その売上高を、2019年度には25億円、その2~3年後には100億円にまで拡大させることを目指す。 

技術と経験、人材を一挙に獲得し成長を目指す

今回、デジタルハーツのグループ会社となった米LOGIGEAR社は、1994年創業のテスト自動化のリーディングカンパニーである。同社は、独自のテスト自動化ツール「TestArchitect」を持ち、その活用に習熟した約500名のテストエンジニアを擁するベトナムの子会社を持つ。その技術力は高く、世界最大規模のエネルギー関連企業であるHalliburton社や米通信大手T-Mobile USA社などにも継続的にテストサービスを提供している。さらに、LOGIGEAR社の日本法人社長で、ソフトウェアのテスト分野で博士号を持つシステムテストの第一人者 高橋寿一氏が、デジタルハーツホールディングスのCTSO(Chief Testing Solution Officer)に就任した。「今回のグループ化により、独自のテスト自動化ツールという技術と25年にわたるLOGIGEAR社の経験、さらにツールに習熟した約500名のテストエンジニアを一挙に獲得できました」(玉塚氏)。

世の中にテスト自動化ツールは少なくない。しかし高度な知識を必要としたり、高機能な製品は高価であることなど課題も多かった。実際に日本でもこれまで多くの企業がテスト自動化に取り組んでいるが、成功事例は極めて少ない。ツールを使いこなせなかったり、自動化に向いていない案件を自動化しようとして多大なコストや工数をかけてしまったりするのが一因だ。玉塚氏は、「当社がツールを販売するのではなく、ソリューションとして提供する意味がここにあります。当社は従来、テスト設計から実行までをカバーしてきましたが、LOGIGEAR社はコンサルティングにも強みを持ちます。そこで、コンサルティングや提案から実行まで一気通貫に提供し、自動化ツールを活用したテストの効率化を実現しながら、お客様に最適なテストソリューションを提供します」と語る。

同社は今回の事業規模拡大を受け、システムテスト分野の成長を加速させる予定。同社が日本のソフトウェア品質向上に果たす役割はさらに大きくなるはずだ。

The voice of the person in charge

常にアンテナを立て
ソリューションレベルを向上

ソフトウェアの第三者検証のニーズは、間違いなく高まっています。今回のLOGIGEAR社のグループ化により、お客様にトータルテストソリューションを提供できる環境がある程度整ったと考えています。さらにそれを加速させるため、必要があればより一層の人材や技術の獲得などの手を打っていきます。そのために常にアンテナを立て、ソリューションレベルの向上に努めます。

株式会社デジタルハーツ
代表取締役社長

玉塚 元一 氏

株式会社デジタルハーツ
〒163-1441 東京都新宿区西新宿3丁目20番2号
東京オペラシティビル41階
https://www.digitalhearts.com/

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