デジタル変革講座

新しいデジタル技術の台頭や労働者不足をはじめとした外部環境の変化によって、中堅・中小企業にはさまざまな逆風が差し迫ってきている。こうした状況を踏まえて、日経BP社は2019年6月4日に中堅・中小企業に向けた「人手不足対策・生産性向上に効くデジタル変革講座」を開催した(主催は日経ビジネス電子版)。

日経BP総研 フェロー 桔梗原 富夫
基調講演

中堅・中小企業こそ
デジタル変革を

講師

日経BP総研

フェロー

桔梗原 富夫

アイデア次第で大企業と戦うことが可能に

 基調講演には、日経BP総研でフェローを務める桔梗原富夫が登壇。約30年もの間、IT業界を取材してきた桔梗原は「IT活用の形態が、ここ数年で大きく変わりました」と指摘する。

 大きな初期投資を必要とせずに、利用した分だけの使用量を支払えばいいクラウドサービスが、企業のシステム基盤として根付いたからだ。しかも、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)をはじめとする最新のデジタル技術も従量課金のサービスとして提供され始めている。最新のテクノロジーを駆使した高度なシステムでも、初期投資がほぼゼロで構築することが可能になったのだ。

 具体的な成功事例として、愛知県碧南市に本社を置く旭鉄工の取り組みを紹介した。同社は2018年度の年商が150億円の中堅企業。社長自らが主導してクラウドサービスを活用した工場のIoT化に取り組んでいる。これによって、工場の生産性は最大で30%向上したという。

 桔梗原は聴講者に向けて「財務的な体力が小さな中堅・中小企業でも、アイデア次第で大企業と十分に戦えるような環境が整備されつつあるのです」と助言する。そのうえで、国の生産性向上策の一環である「IT導入補助金」の活用を推奨する。これは、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエアやサービス等)を導入する経費の一部を政府が補助する制度である。

テレワークマネジメント 代表取締役 田澤 由利 氏
特別講演

テレワーク導入の
「壁」を乗り越える

講師

テレワークマネジメント

代表取締役

田澤 由利

今から改革に着手しないと経済・社会が破綻する恐れも

 現在、テレワークを導入している企業でも、切り分けやすい仕事や集中してはかどる仕事、重要データを扱っていない仕事などに限定しているのが実情だ。しかし、約20年間、テレワークの導入を支援してきた田澤由利氏は「いつもの仕事を、誰でもどこでもできるように変えなければいけません」と強調する。今、改革に着手しないと社会のサステナビリティー(持続可能性)が担保できないからだ。

 少子高齢化が進んでいる日本では、これから生産年齢人口(15〜64歳)の割合が急速に減っていく。現在は、介護や出産・育児などのために仕事を辞めざるをえないような人が働けるような環境を整備しないと、経済・社会が破綻してしまう恐れがある。

 実際に、そうした環境を実現しているのが、田澤氏がトップを務めるテレワークマネジメントだ。同社は北海道、東京都、奈良県の3カ所にオフィスが分散しているが、遠隔地の社員がネット上の仮想オフィスでコミュニケーションをとりながら仕事を進めている。しかも、社員の8割が在宅勤務をしているという。

 講演では、仮想オフィスで実際に働いている様子が披露された。遠隔地にいる社員が仮想オフィス内の会議室に集まり、ミーティングを行った。田澤氏は「一気に変えるのは難しいかもしれませんが、将来へ向けて今から検討を始めることが大切です」と力説した。

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