Next Working Style Day
経営・マネジメント層が抑えておくべき新しいワークスタイル変革の攻略法
─ Review

4月に「働き方改革関連法案」が施行されるなど、今まで以上に働き方改革の機運が高まっている。もはや、新しい働き方をいかに定着させるかは多くの企業に共通した課題だといえるだろう。そうした成功のポイントを探るべく開催されたのが「Next Working Style Day」(日経ビジネス電子版が主催)だ。本セミナーでは具体的な事例やマネジメント層へ向けた働き方改革のアプローチ、さらには改革を実現するための最新ソリューションなどが解説された。
日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部 ワークスタイル変革推進グループ長 神谷 昌克氏
基調講演
日本航空
社員がイキイキと働ける環境を目指し
日本航空が実践した
働き方改革とは
日本航空株式会社
人財本部 人財戦略部
ワークスタイル変革推進グループ長
神谷 昌克
 2010年に経営破綻した日本航空(JAL)。同社では過去と決別し、新しいJALを創造していく取り組みの一環として、働き方改革を推進してきた。

 「時間制約のある社員や文化背景の異なる社員がフェアに活躍できる環境」「持続可能な生産性の高い働き方」「より価値を生み出す働き方」という3つのゴールを達成するため、「①大義の明確化とリーダーのコミットメント、②素早く着手する進め方と外部知見との連携、③専任組織による推進、④社員の意識改革、⑤制度づくりと見える化のしくみ、という5つのポイントで改革を推進してきました」とJALの神谷 昌克氏は語る。

 より確実に全社への浸透を図るため、様々な工夫を凝らしている。例えば、②の素早く着手する進め方と外部知見との連携では、先行トライアルで手を挙げた調達部門が、外部知見となるテクニカルアドバイザーへのサポートを依頼。ノートPCや内線機能付きスマートフォンなどのITインフラの用意から始め、徐々にフリーアドレス化や打ち合わせスペースの増設などを進めることで、コミュニケーションの活性化やテレワーク環境をスモールスタートで無理なく実現することに成功した。

 また、⑤の制度づくりと見える化のしくみでは、「会議は17:30まで、電話やメールは18:30までで休日はNGといった働き方の全社ルールを導入したところ、予想以上にスムーズに浸透しました」と神谷氏は言う。テレワークでは2015年に在宅勤務を制度化した後、自宅縛りを撤廃し、現在はカフェなどでもテレワークを可能とすることで実績が急速に伸びているという。そしてテレワークの発展形として、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を合わせた「ワーケーション」も新たに設定。社外にも「休暇を楽しみながら、隙間時間でテレワークをする新たな働き方」の提案を始めている。

 こうした取り組みの結果、年次有給休暇の取得率向上と時間外労働時間の大幅な減少を実現したJAL。神谷氏は最後に「今後も働き方改革をさらに推進しながら、意思決定が早く、新たな価値を創造できる企業へとJALを成長させていきたい」と語った。
株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表 元東レ経営研究所社長 佐々木 常夫氏
特別講演
佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表
社員の業務負担を軽減しながら
組織全体の成果を高める
働き方改革とは
株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表
元東レ経営研究所社長
佐々木 常夫
 働き方改革推進の難しさは、労働時間や業務負荷を圧縮しながら、それまでと同等以上の成果を出さなければならない点にある。個々の社員に能力差のある組織全体のワークライフバランスを図るため、管理層はどのような取り組みをすべきなのだろうか。東レの取締役や東レ経営研究所社長を歴任してきた、佐々木 常夫氏は次のように指摘する。

 「同じ仕事を1週間で遂行する社員と2週間費やす社員がいるのは、能力ではなく段取りの仕方に差があるからです。デッドラインを設けて最短コースを取るよう意識させるだけで、飛躍的な業務効率化が期待できるはずです」

 それを促す有用な手段が、部下に仕事を任せる際に合理的な業務計画書を作成させることだ。実際、佐々木氏は、東レの課長に就任したときにこの手法を実践。月平均60数時間あった課員の残業時間を10時間以下に減らしたという。「マネージャーの職務は組織の管理であり、部下と一緒にプレーする暇などないはずです」と佐々木氏は語る。

 佐々木氏が徹底的な業務効率化を突き進めたのは、自閉症の長男と病気に起因する鬱病の妻をケアするため定時に帰社する必要に迫られてのことだった。しかし、後に東レ経営研究所の社長となってからも社員のタイムマネジメントを重視した結果、全社に長時間労働をしない風土が根付いたという。

 前例のない業務はあまりなく、新たな仕事といえども社内には過去の類似した事例に関する資料が蓄積されている。それを活用して細部を最新のデータに置き換えつつ、自身のアイデアを加えれば、どのような業務にも素早く柔軟に対応できる。「“優れたイノベーション”は、“優れたイミテーション(模倣)”から生み出されるものです」と佐々木氏は言う。

 短時間でしっかり成果を出せる組織を育成するには、効率化を極限まで追求する一方で、管理層が常に部下の内面に気を配って信頼関係の醸成にも努めなければならない。「『業務効率化』と『コミュニケーション』の両輪がうまくかみ合ったところにこそ、組織も社員も成長する働き方改革が実現するのです」と佐々木氏は語った。
富士通
全社の実践を通して見えてきた
働き方改革の成功のカギと最新ツールの活用法
ヤプリ
自社アプリによる効果的な情報伝達が
より働きやすい職場環境をもたらす
リコージャパン
リコージャパン流、働き方改革で生まれた
「紙」「デジタル」の融合ツールとは