2019年7月11日、三井住友銀行 神戸本部ビルにて、同行が主催する「SDGsセミナー&マッチング(神戸)」が実施された。銀行によるセミナーやマッチングは少なくないが、SDGs(国連が掲げる持続可能な開発目標)がテーマというのはかなり珍しい。それほどSDGsがビジネスと結びついてきた証と言えるだろう。本稿では、2回にわたって当日のセミナーレビューとともに、主催した三井住友銀行のSDGsに対する姿勢や取り組み、日経BP 日経ESG経営フォーラム事務局長 斎藤正一によるSDGsの最新トレンドなどについても紹介する。

企業のSDGsへの取り組みを金融機関としてサポート

今回SDGsに関するセミナーとマッチングを企画した三井住友銀行 法人戦略部 営業支援グループ グループ長 金坂孝博氏に、日経BP 日経ESG経営フォーラム事務局長 斎藤正一が話を聞いた。

三井住友銀行
法人戦略部 営業支援グループ
グループ長
金坂孝博 氏

斎藤:三井住友銀行は、なぜ本セミナーを企画されたのでしょうか。

金坂:SDGsは連日メディアでも取り上げられ、知名度は上がってきていますが、まだまだ認識は浅いと感じています。しかし、これからの企業活動を考えると、企業規模の大小を問わずSDGsの視点がないと、長期的な成長は望めないと感じています。そこで、金融機関として、まずはSDGsの概要から企業や自治体による実践をお伝えし、取り組みの具体的なイメージを持っていただきたいと考えました。

三井住友銀行
法人戦略部 営業支援グループ
グループ長
金坂孝博 氏

斎藤:関西でのSDGsへの取り組みはどのような状況ですか。

金坂:イベントや勉強会が数多く開催されている東京に比べると、関西はSDGsに向き合う機会が少ないと感じています。しかし、2025年の大阪・関西万博は、「SDGsが達成される社会」を目指しており、「SDGs万博」とも言われています。2017年12月には「関西SDGsプラットフォーム」も立ち上がりました。自治体のまちづくりにもSDGsの視点が取り入れられ始めており、自治体と連携する企業にもSDGsの考え方は徐々にですが波及していくでしょう。

斎藤:貴行のSDGsへの取り組みとしてはどのようなものがありますか。

金坂:SDGsの取り組みは多岐にわたるため、グループ会社とも連携しながら、お客さまの取り組みを多角的にご支援していきたいと考えております。現在行っている取り組みとして、お客さまのESG/SDGsの取り組みや情報開示状況を評価し、今後の取り組み推進を支援する資金調達商品「ESG/SDGs評価融資/私募債」を提供しています。また、今回のセミナーのような情報提供も取り組みの一つです。

斎藤:今回登壇される三浦工業について、どのような点を評価されていますか。

金坂:三浦工業は、全社ベースで積極的にSDGsに取り組まれている企業です。自社で使用した紙を、オフィス製紙機「PaperLab」で自ら再生し、その紙で決算発表時のCSRレポートを作成したり、プラネタリウムのペーパークラフトを作って小学校で配るなど、実践的に取り組んでおられます。また、三浦工業は本社が愛媛県の企業ですので、西日本のお客さまにより身近に感じていただけるのではないかとも思いました。

斎藤:エプソンのPaperLabについてはどう評価されていますか。

金坂:オフィスでほとんど水を使わず、今まで廃棄処分となっていた使用済みの紙から新たな紙を作るという斬新な発想で作られた、画期的な製品です。それだけでなく、PaperLabを利用することで新たな雇用創出の機会が生まれるなど、SDGsの目標にマッチする部分がかなり多い。SDGsを理解する上で、極めて具体的なイメージを与えてくれる製品だと思います。

斎藤:今後、日本企業がSDGsに取り組むにあたって、貴行はどのように支援していかれますか。

金坂:いろいろな層のお客さまに対して、このような情報提供を行うとともに、実際にアクションを起こそうというお客さまには、SMBCグループの多様なサービス、ソリューションでお応えしていきたいと考えております。

斎藤:ありがとうございました。

Internationalな活動はすべてSDGs準拠が求められる

セミナーでは、まずCSR/SDGsコンサルタント・社会情報大学院大学客員教授 笹谷秀光氏が、「SDGsの基本と、自治体・金融機関における取組について」と題し講演を行った。

CSR/SDGsコンサルタント
社会情報大学院大学客員教授
笹谷秀光 氏

CSR/SDGsコンサルタント
社会情報大学院大学客員教授
笹谷秀光 氏

SDGsについてはいろいろなところで多くが語られていますが、今回プラットフォーマーであるメガバンクの三井住友銀行がSDGsのセミナーを開催したことは、大きな広がりが期待でき、歓迎しています。

関西では、大阪・関西万博の開催が決定しました。今回の万博は、「SDGsが達成された社会」と「国家戦略であるSociety 5.0の実現」を目指しています。その中でも「一丁目一番地」はSDGsの達成であり、政府も公式に「SDGs万博」と言っています。これからの国際関係はすべてSDGs、Internationalと名の付くものは、すべてSDGsに準拠することが求められます。

SDGsの前にいくつか整理をしておきます。SDGsと一緒に語られることが多い「E(環境)S(社会)G(統治)」は、元々企業を財務面だけでなく環境面、社会面、経済面の3つの側面から評価するトリプルボトムライン「ESE」でした。2000年前後にエンロン事件をはじめとする企業会計の不正が相次いで起き、ガバナンスの重要性が言われ始めてESGが提唱されました。現在ではESGがしっかりしていない企業は投資価値がないと、当然のように言われています。

もう一つ重要な概念としてCSV(共通価値の創造)があります。これは、経済と社会課題の解決を同時に実現するという考え方で、これを理解しないと企業にとってのSDGsは理解できません。なぜなら、企業が取り組むSDGsはビジネスの力で経済価値を実現しながら、社会課題を解決しようというもので、まさにCSVの考え方だからです。そういう意味で「共通価値の創造」という訳は少しわかりにくい。「Win-Win関係の構築」とするとしっくりきます。

日本には、CSVのすばらしい例があります。農作業などを共同で行う「結」です。岐阜県の白川郷では、現在でも合掌造りの茅葺屋根の葺き替えに結の制度が残っています。また、関西には三方良しの近江商人の伝統があり、京都には「先も立ち、我も立つ」と唱えた石田梅岩がいます。いずれも自分だけでなくみんなのためにという考え方です。しかし同質社会の日本では、あまりこういう考えを自ら発信しませんでした。今は発信しないと伝わらない時代です。そこで、私は「発信型三方良し」を提唱し、私の公式サイトのタイトルとしています。これなら、ほぼCSVと同義と言えるでしょう。

※サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

※サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

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