一流の仕事は
細部に宿る

文=いなもあきこ 
写真=吉澤健太

安東弘樹 Hiroki Ando
フリーアナウンサー。1967年生まれ。成城大学法学部卒業後、TBSに入社。同社アナウンサー、アナウンス部次長などを経てフリーに。バラエティ番組の司会からドラマ出演まで、活動の幅を広げている。カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 フリーアナウンサーの安東弘樹さんは、左腕に巻いたレイモンド・ウェイルの「マエストロ」を眺め、感慨深げに言った。「ずっと探し求めていた時計に、“出合ってしまった”という感じですね」。

 手首の細さにコンプレックスを抱いているという安東さんにとって、時計選びの際、重視するのがケースサイズだ。
「直径40㎜未満で似合うものをずっと探していたのですが、なかなかなくて。これはサイズも上品なテイストも、僕の好みにぴったりです。しかも機械式なのに手の届く価格帯。本当に驚きました」

 安東さんは昨春、27年間勤めたTBSを退社し、フリーランスに転身した。仕事でももの選びでも、通底するのは「実質的な価値」へのこだわりだ。

「会社員の時に比べ、フリーランスになってから労働に対する公正な対価をいただいている実感があります。それが僕にとってはわかりやすくていいんです」

 フリーになって以降も仕事のオファーは引きも切らず、ますます活躍の場を広げる。情報感度を高め、事前準備を惜しまないのは、アナウンサーとしての職務を極めようとする真摯な姿勢の現れだ。

「スタッフの努力を絶対に無駄にしないようにしっかりと準備をして、視聴者にわかりやすく伝える。アナウンサーになった当初から、そのことに集中してきました。フリーになって以降は、その意識がよりいっそう高まっています。加えて、視聴者からの反響にまで、責任を持たなければいけない。一回、一回が本当に真剣勝負。チャレンジの連続ですね」

 他者の意見に左右されず、自身が価値を認める道だけを選択してきた安東さん。それゆえ、「ステータスシンボルとしての道具には一切興味がありません」と断言する。例えば大好きだと公言するクルマ選びでも、その価値観にブレはない。

「僕にとってクルマは運転の楽しさがすべて。特に大切なのはシフトチェンジの際のフィーリングです。今乗っている『ポルシェ 911』を選んだのもブランド力などではなくマニュアルトランスミッションの操作感、シフトフィールがこれ以上ないというくらいにいいから。その上剛性が高くて速いクルマといえば、世界中で他にはほぼ選択肢がないんです」

 そんな安東さんの感性が共鳴したのは、レイモンド・ウェイルのクラシックコレクション「マエストロ」だ。レイモンド・ウェイルの拠点は、腕時計の生産地としてスイスで最も権威のあるジュネーブ。その証として、文字盤には50%以上を市内で生産された時計にのみ許される、「GENEVE」の文字が燦然と輝く。また文字盤中央の波型のギョーシェ装飾やネイビーの美しい仕上げ、ムーブメントに施されたスイス伝統のコート・ド・ジュネーブ装飾やペラルージュ仕上げなどの高度な技術に、細かな部分まで手を抜かない仕事の確かさが表れている。

 文字盤の12時位置に設けられた小窓からは心臓部であるムーブメントがちらりと覗き、精緻に作られた機械式時計としての誇りをさりげなく表現。時間を確認するたび、自らの気持ちを引き締めてくれるような存在なのだ。

「ブランドとしてのものづくりの信念に敬意を表するとともに、僕自身、強く共感します。全ジャンルの中で今、この時計は僕の考えるベストプロダクトです」

レイモンド・ウェイル マエストロ
文字盤の12時位置に開けられた小窓から、スイス時計の伝統技法、ペルラージュ装飾を施したムーブメントを眺められる。新色として、ビジネスシーンに馴染むネイビーを追加。
自動巻き、SSケース、径39.5㎜、15万円

お問い合わせ:GMインターナショナル 
03-5828-9080