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vol.04
新型コロナ渦中の事業継続─中国─

SDGsの目標

vol.04 新型コロナ渦中の事業継続─中国─

都市封鎖下、イオンは、実店舗営業、オンラインスーパー、宅配という方法で、生活必需品を市民へ提供し続けた。写真は、店頭まで来られない顧客へ、宅配で生活必需品を届けるために出発する従業員の姿。この取組みは、店舗従業員の発案で始まった。

封鎖下の武漢を支え続けた イオンの信念

中国湖北省武漢市。
新型コロナウィルス感染症拡大のため、2020年1月下旬から2カ月半にわたって
「都市封鎖」となったこの街で、イオンは総合スーパーの営業を継続し、人々の生活を支え続けた。
その行動は日頃から理念を共有する“ONE AEON”の力を示すものだった。

羽生 有希氏

羽生 有希
イオン株式会社 執行役副社長 デジタル・中国担当
永旺(中国)投資有限公司 董事長兼総裁

中国全土のイオン各企業と、イオンのデジタル事業を統括。「武漢での経験を元に、行動マニュアルを作成しています。アジア全域でシェアする予定です」

 武漢市での新型肺炎の感染拡大を受け、1月中旬には、北京を中心に中国全土の事業拠点を結んだオンライン合同対策本部が立ち上がった。

 「武漢のイオンモール3施設と総合スーパー(GMS)5施設の従業員、計1200人の安全を、いかに守るかが喫緊の課題でした」

 中国のイオングループを統括する羽生有希副社長は、こう話す。

 武漢からは、このまま営業を続けていいのか、戸惑う声も出たという。

 「“商業を通じて地域社会に奉仕しよう”というイオンの前身企業ジャスコの社是を真っ先に思い起こしました。お客様の生活を支えるには、営業を継続しなくてはなりません。とにかくマスクと消毒薬を確保して従業員の安全を担保し、営業を続けようと話しました」

 翌日には、北京から備蓄品のマスク6万枚が武漢に送られ、翌週には日本のグループ企業がかき集めた80万枚が届けられたという。

市内で商品を調達
原価高でも通常価格で販売

 1月23日、武漢はロックダウンされた。イオンモールの店舗は営業休止、GMSは日本人総経理(社長)の指揮のもと、時間短縮営業となった。従業員の負担減のために5店舗が交替で4日ごとに1日休業とし、全員に毎日新しいマスクを用意。店頭に消毒液と体温測定器を設置し入店制限も行った。

 課題の1つが品揃えだった。封鎖下の武漢には、日用品や食品が入ってこない。そこで従業員が市内の食品工場や農家に直接出向いて調達した。当然、仕入れ値は上がる。しかし販売価格は一切上げなかった。

 「当然のことです。創業家の家訓に、“上げに儲けるな、下げに儲けよ”という言葉がある。便乗値上げして一時の利益を得るのではなく、適正な価格で、お客様に安心してお買い求めいただかなくてはならない」

 店頭で買い占めによる混乱は起こらなかった。

店舗従業員のアイデアと奮闘が、
営業継続を牽引

 対策会議は連日もたれたが、細かい判断は現地に任された。「店舗従業員は、本当に臨機応変に対処してくれた」と、羽生副社長が振り返る。

 例えば、公共交通機関が停止して通勤の足がなくなったとき、各自が本来の勤務先ではなく、徒歩で行ける店舗に出勤しようと、シフトを柔軟にしたのも職場発のアイデアだ。野菜と日用品のセットを消費者の元へ届けるというサービスも同様である。

 「小売店従業員は、外出制限下でも自由に移動できるパスを持っていたので、買い物に来られないお客様に代わり、自分たちが生活必需品を届けようと発案してくれました」

 社用車を総動員し、手分けをして配達したところ大好評だったという。 

 ところで従業員も武漢の市民だ。欠勤や退職はなかったのだろうか。その質問に、羽生副社長は首を横に振る。いったいどんなコミュニケーションがあれば、そこまで従業員のエンゲージメントが高まるのだろう。

 「いろいろな場面で理念を伝え続けています。また地域貢献活動を通し、地域の方々が寄せてくださる信頼を実感している。そんな中で、“お客様のため”という考えが一人一人に根づいているのだと思います」

 羽生副社長は、一連のコロナ禍で思いを新たにしたことが3つあったという。1つは、常に有事に備えることの大切さ。1つはマスク支援のような“ONE AEON”つまりグループが一丸となることの強さ。1つは柔軟な対応力を養う必要性だ。

 「今回、総経理をはじめ武漢の従業員が見せた迅速な対応力を、多くの従業員に身につけてほしい。それにはやはり理念の共有が基本です。軸が定まっていれば、とるべき行動は、自ずと見えてきますから」

 災禍の中で地域の健康を守り都市生活を支える──。イオンの武漢での奮闘は、事業を通したSDGsへの貢献の好例となるものだ。

  • 感染拡大を受け、イオン独自の「新型インフルエンザ規定」を参考にしてスピーディーに対策を講じ、営業継続した3店舗の1つ、イオン武漢小竹店。

    感染拡大を受け、イオン独自の「新型インフルエンザ規定」を参考にしてスピーディーに対策を講じ、営業継続した3店舗の1つ、イオン武漢小竹店。

  • イオン1%クラブを通し、武漢市の医療機関等にドリンク剤、マットレスなどの支援物資を寄付。武漢市から感謝状が贈呈された。

    イオン1%クラブを通し、武漢市の医療機関等にドリンク剤、マットレスなどの支援物資を寄付。武漢市から感謝状が贈呈された。

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    イオンの感染症拡大防止の取組み
    『イオン防疫プロトコル』

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    イオン株式会社 〒261-8515 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目5番地1
    https://www.aeon.info