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vol.05
緊急事態下の事業継続─日本─

SDGsの目標

vol.05 緊急事態下の事業継続─日本─

(写真左)従業員のマスク着用や店内の消毒といった感染症防止対策を徹底して実施。
(写真右、イオンスタイル幕張新都心の店頭)トイレットペーパーの大量陳列で、お客様の不安を解消した。

コロナ禍の生活を守る、
それがイオンの使命

新型コロナウイルス感染症の世界的流行という未曽有の事態の中、
小売業の先駆企業であるイオンはまさに消費者の生活を支え続けた。
withコロナ時代の企業のあり方を示したのだ。

柴田 英二氏

柴田 英二
執行役 物流担当

グループの物流を統括する立場としてコロナ下の事業継続および消費者の不安払拭を推進。6月に組成したコロナ対策タスクフォースの責任者を担う。

 2020年2月より、イオンは日本国内でも、グループを挙げて新型コロナウイルス感染症対策の徹底に取り組んだ。店頭の消毒液設置、従業員の体調管理を皮切りに、感染拡大を防ぐためイベント等の中止、さらに政府からの休業要請に応じて、映画館やショッピングモールも閉鎖した。

 「イオンは武漢に5施設の総合スーパーを運営しており、1月中旬には日本と中国の合同対策本部を立ち上げ、対処にあたっていました。取るべき対策はある程度分かっていましたが、国内での感染拡大を早く想定できず、マスクや消毒液の不足には対応しきれなかった」。柴田英二執行役が悔しさをにじませる。

 とはいえ、トイレットペーパーなどの紙製品の買い占め騒動では、迅速な施策が事態の収束を牽引した。トラック300台超を手配し、トイレットペーパーを店頭に並べ、「在庫はある」と消費者に示したのだ。

 「買い占めは、家庭内在庫を持っていたいというお客様の不安の表れ。実際に品物を見ていただくことが安心感につながると考えたのです。店頭での品不足からの不安を払拭するのも、小売業の務めだと思っています」

 事業領域の広さと柔軟な対応力が、コロナ禍の社会問題を解決した事例はほかにもある。外食需要の低下等で行き場を失ったいわゆる高級食材を、『生産者応援セール』として傘下の総合スーパーで販売したのもその1つだ。

 「外出自粛期間中、家庭内での食事が続く中で、少し良いものを食べてみたいというニーズがあると感じました。高級食材の販売は、そのニーズに応えるものでした」

 その思いは消費者に届き、生産者にも消費者にも益する企画となった。

すべては地域のため
事業継続に迷いはなかった

 ではコロナ禍への対応で最も注力した点は? そう尋ねると、柴田執行役は「従業員が安心して勤務できる環境づくりであり、事業継続のために不可欠と考えた」と話す。 

 言葉通り、職場環境を整えるため感染防止策を徹底したのは先述の通りだ。さらに休業中のサービス・専門店事業の従業員などを、希望に応じスーパーマーケットに短期出向させるという取り組みも行った。

 「従業員の雇用を確保することが目的です。休業補償もありますが、働いて給与を得たいと希望する人もいますから」

 結果、この制度はスーパーの人員を増やし、子育て中のパート従業員が休みを取りやすい環境をも生み出した。

 もう1つ、特筆すべき取り組みがある。吉田昭夫社長から、緊急事態宣言下で勤務する従業員にメッセージが届けられた。困難な状況下にもかかわらず勤務を続けることへの感謝と、事業を続けることの意義を伝えるものであり、グループ各社の経営層からも同様に届けられた。

 「私たちには、商業を通じて地域社会に奉仕するという理念があります。難しい状況だからこそ、お客様が必要とする商品やサービスをお届けする使命がある。そうグループで共有し、一丸となって営業を続けました」と強く語る。

 イオンのこうした理念は、緊急事態下における店舗での積極的な防疫と日常を支える商品供給の継続につながっている。withコロナ時代のESG─衛生環境の維持(E)、社会不安の払拭(S)、働きやすさの確保(G)の3面から社会的役割を果たしているといえるだろう。

自社のノウハウを公開
お客様とともに防疫を

 「防疫と事業活動を並走するにあたり、防疫を一時的な取り組みでなく継続的に実行していくことで、生活の一部となる社会を実現しなくてはいけない」と、柴田執行役は話す。

 イオンは、これまでに取り組んだ防疫対策に、専門家の監修を加えた「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」を制定し自社サイトで公開した。

 「生活インフラ企業として、コロナ禍におけるお客様の変化をいち早く察知し、新たな商品やサービスの需要に応えたい」

 コロナ禍を学びに変えるイオンの姿勢が、SDGsの実現にも寄与するのは確実だ。

  • サッカー台(買い物商品を袋に詰めるための台)に飛沫防止のアクリル板を設置するなど、店内では様々な感染防止策が施されている。

    サッカー台(買い物商品を袋に詰めるための台)に飛沫防止のアクリル板を設置するなど、店内では様々な感染防止策が施されている。

  • QRコード

    イオンの感染症拡大防止の取組み
    『イオン防疫プロトコル』

  • AEON

    イオン株式会社 〒261-8515 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目5番地1
    https://www.aeon.info