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vol.06
コロナ対策を経たイオンの挑戦

SDGsの目標

vol.06 コロナ対策を経たイオンの挑戦

左「いずれは、商品の読み込みや決済をアプリで完結できるシステムを開発し、普及させたい」と井出社長。 右「イオンスタイル津南」のドライブスルーのピックアップ場所は、イオンモールの駐車場を利用。グループでモールを全国に有していることも、ドライブスルー方式の素早い拡大の後押しになった。

地域での“新しい生活様式”確立をリード

コロナ禍でも、全国のスーパーで営業を継続したイオンは、
“新しい生活様式”への転換を牽引する構えだ。
一貫して地域の生活を支える姿勢は、小売業が地域の
ライフラインとして重要な役割を果たしていることを示している。

井出 武美氏

井出 武美
イオンリテール株式会社 代表取締役社長

今後は実店舗での買い物とネットショッピング、両方の良さを融合させた新ビジネスの創出にも取り組んでいきます

 「パート従業員も含め、イオンピープル全員が一丸となって支えてくれました」

 本州・四国の総合スーパー「イオン」「イオンスタイル」を運営するイオンリテールの井出武美代表取締役社長が、コロナ禍において営業継続が可能となった要因を、こう話す。

 「例えば『イオンスタイル板橋』には、地域内外から全国トップクラスの集客があります。感染を心配して辞める従業員が出るかもしれないと思っていました。ありがたいことに誰も辞めなかった」

 感動したと、目を細める。なぜこのようなモチベーションを維持できたのだろう。

 「イオンには商品の安定供給を通して地域の生活を守る使命がある。その理念と従業員への感謝を、経営陣がくり返し伝えたことが届いたのだと思います」

 人手の足りない店舗には、本社・支社の社員が手分けをして応援に駆け付けた。従業員に特別手当を支給したことは、報道され多くの人の知るところだ。

 また、専門家の協力のもと防疫体制を徹底したことも、安心感につながり就労意欲を支えた要因だ。もう1つ従業員の背中を押したのが、「消費者の変化」だと井出社長が話す。

 「スーパーがないと困ると、お客様が改めて感じてくださったように思います。感謝の言葉が届くようになりました『大変な時期に毎日の営業をありがとう。こまめな消毒で安心して買い物ができる』励みになる言葉です」

 地域と共生していることを実感できたという。

“健康”“非接触”需要に
新しい技術で応える

 コロナ禍を経てニーズにも変化が見られるようだ。顕著な変化が、デジタル技術を使った買い物の“非接触”へのシフトだ。

 「母の日や父の日のギフトで、今年初めてECでの受注が店舗での受注を上回りました。店頭でもイオンのクレジットカードや電子マネーWAONのお支払いが増えている。近年のキャッシュレス化、デジタル化の流れが加速したといえます」

 この動きに即応すべく、イオンリテールはいくつかの取組みを始めた。例えばネットスーパーで注文した商品をドライブスルー方式で渡すシステムがそうだ。

 「2018年から一部店舗で実験的に始めていましたが、約70店舗に拡大しました。感染を心配し入店をためらうお客様もいらっしゃいます。宅配では配送料がかかるが、ドライブスルー方式なら配送料不要です。私たちにとっても配送に人員を割かずに済む。Win - Winな仕組みだと思います」

 レジに並ばずに決済できるシステム『レジゴー』の展開も急いでいる。店頭で貸し出す専用スマホで、購入する商品のバーコードをスキャンし、最後に専用レジで決済するというシステムだ。開発時の主な目的はレジ待ちの時間の解消だったが、今年3月より、店舗拡大を図り、非接触で精算できることから利用率が急上昇したという。現在は6店舗で導入している。

潜在ニーズを具現化し
新しいライフスタイルを示す

 「6月にネットスーパー担当部署を本部へ格上げしました。これからは商品の受け渡し拠点を拡充していきます」と展望を話す。ドライブスルーをはじめサービスカウンターやロッカーで受け渡しを可能にするなど、ネットスーパーの利便性を高めていくという。

 現在、ウィズコロナ時代の“新しい生活様式”の実践が求められている。身近なスーパーの店頭で行われている防疫、そしてスーパーが提案するこうした新しい買い物スタイルが、“新しい生活様式”とはどのようなものかを消費者に示し、実践の機会を提供している。

 「当社は、地域のインフラでありライフスタイル提案者であることを自任しています。だからこそ、お客様の潜在ニーズや地域に必要なものをしっかりと捉え、新しい価値観や新しいライフスタイルとして、見える形で提供したい」

 スピード感をもって変化に対応していくと、井出社長は力強く語る。

  • キャッシュレス化が急速に進んでいる

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