日経ビジネスオンラインスペシャル

TOPインタビュー IFA株式会社 代表取締役CEO 水倉 仁志氏

自分の情報を自分で管理する環境が実現すればだれもが笑顔になれると信じています

水倉 仁志 氏

IFA株式会社 代表取締役CEO

中央大学法学部を卒業後、野村證券株式会社へ入社。東京海上日動あんしん生命保険株式会社を経て2010年に独立。デジタルとアナログを融合させたユーザー主導の金融サービスの必要性を感じIFA株式会社を設立。次世代型銀行の創造を目指している。

荒野にみんなが使える生態系を

 私どもは「AIre」(アイレ)というエコシステムを一から作っている会社です。エコシステムとは、もともとはある領域の植物や生物がお互いに依存しながら生態系を維持することを意味します。ビジネスにおいても、企業や業界が連携することで、さらに大きな収益構造を生み出すことにつながります。私たちは何もない荒野に、みんなが便利に利用できる“生態系”を作ろうとしているのです。

 とは言っても具体的なサービスが見えないと分かりづらいかもしれません。実際には3つのサービスからスタートします。1つは「AIre VOICE」というメディア、2つめは「AIre MINE」というファイナンシャル・プランニング、3つめは「AIre SHARE」というクラウド・ファウンディングです。

 この3つのサービスを動かすうえで「AIre BRIDGE」と呼ぶ暗号資産を保管しておくウォレット機能を持たせます。良く使われている言葉で説明するなら、ブロックチェーンの技術を使いプロダクトやサービスを開発することになります。

 ブロックチェーンの説明を簡単にしておいたほうがいいかもしれませんね。ブロックチェーンとは一言でまとめれば、みんなが見られる台帳なのです。

 たとえば「AとBの間でトランザクションが発生した」といった取引情報がブロックと呼ばれるものの中に入っていて、誰もが確認できます。ただし、トランザクションされたという情報はオープンになっていても、具体的な取引内容は暗号化されています。ブロックは鎖のように、いくつもつながっていき、銀行のような中央集権的な管理者が存在しません。すべての人が自分の情報に対して主権を持つ世界の実現を目指すものです。「AIre」はユーザー主導型プラットフォームと言えます。

第1弾はテクノロジーを体感するメディア

 この3月4日に第1弾として「AIre VOICE 1.0」を公開しました。ブロックチェーンの技術を使ったメディアです。ユーザーは記者、編集者、読者、評論家とさまざまな形で関われます。従来のメディアのように一方的ではなく、自分が情報発信者にもなれて、自由に楽しく表現ができて、努力しだいによっては対価が得られます。

 情報を発信するだけではなく、「AIre」のテストマーケティングも行います。複数の分散型管理台帳技術を用いたプロダクトやサービスを開発し、ユーザーの生活に寄り添った新しい体験を提供していく予定です。

 テクノロジーの進化で便利な世の中になったのは事実です。一方で窮屈になった面もあるのではないでしょうか。たとえばインターネットの利用におけるクッキーがあります。ユーザーにとっては入力の手間が省けて便利なものですが、個人情報が取られたり、検索履歴から自分に関連すると判断された広告が表示されることがあります。

 金融機関での入出金などの情報も自分の財産であるはずなのに、分かりにくく本人の同意をとり二次利用されてしまっているケースがあります。これを本来あるべき姿に戻そう、自身の情報、資産を、自分で管理しましょうというのが私どもの大きなコンセプトです。

AIre VOICE

AIre VOICEによって収集されたビッグデータは、プラットフォームを利用するユーザーの利便性向上に使われる。単にメディアではなくテストマーケティングを兼ねているわけだ

ユーザーが主体となって利用できる

 私は証券会社からキャリアをスタートさせ、その後、生命保険会社へと転職して、四半世紀にわたって金融の世界で生きてきました。いつも頭の中にあったのは、ユーザーがサービス提供者に合わせているという実情です。2000年頃から、ユーザー主体で情報を管理できるようにと考え、営業マンを教育して対応してきました。しかし、それでは均一なサービスが難しく、2015年以降、ブロックチェーンという技術が注目されて、初めて、理想的な世界が実現する一歩を踏み出せると考えたのです。

 私たちが作ろうとしているのは、ユーザーが主体となって利用できる環境です。同じような考えを持つ企業が参加することで、荒野は笑顔の絶えない生態系へと成長すると信じています。

IFA株式会社

〒163-0215 東京都新宿区西新宿2-6-1
新宿住友ビル15F

ページ上部へ