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セランゴール州に広がる投資機会

セランゴール州に広がる投資機会

ASEAN(東南アジア諸国連合)はもとより、
インドから中東までカバーできる地域拠点としての
機能を備えるマレーシア・セランゴール州。
日本企業による直接投資の歴史が深い
同エリアの発展状況とともに、
今後有望視される投資機会を伝える。

ASEAN(東南アジア諸国連合)はもとより、インドから中東までカバーできる地域拠点としての機能を備えるマレーシア・セランゴール州。日本企業による直接投資の歴史が深い同エリアの発展状況とともに、今後有望視される投資機会を伝える。

マレーシア経済の成長をけん引する中心地

セランゴール州は、マレーシアの行政区画の一つ。首都クアラルンプールを取り囲む立地に優れ、同国経済の成長をけん引する中心地だ。2017年には、域内のGDP(国内総生産)は国全体の23%に達した。最先端の設備を備えたクアラルンプール国際空港、世界でも上位のコンテナ取扱量を誇るクラン港に加え、発達した高速道路網や数多くの工業団地が整備されている。

日本からマレーシアへの直接投資の歴史は長く、日本人が同国を訪れるようになったのは1800年代から。当初は交易のため、その後はプランテーションの経営者または労働者として渡航していた。1970年代にはエレクトロニクスや化学、木材製品などのセクターを中心に相次いで現地法人が設立された。日本企業の間ではセランゴール州での事業展開に関するノウハウが蓄積されており、日本の文化・伝統もしっかりと現地に根付いている。

現在、セランゴール州政府系外資誘致機関「Invest Selangor Berhad(インベスト・セランゴール)」は特定の重点クラスターの投資誘致に力を入れている。その中心は「食品・飲料」「製造」「電気・エレクトロニクス」「ライフサイエンス」「輸送用機器・機械設備」の5つだ。ほかにも、「ハラル産業」「航空宇宙」「バイオテクノロジー」「eコマース」の各セクターへの誘致にもさらに力を入れている。ここでは「食品・飲料」と「航空宇宙」に焦点を絞り、ビジネス環境の現状と展望を紹介しよう。

首都クアラルンプールを取り囲むセランゴール州

ハラル産業を通じて18億人規模のイスラム市場へ

食品分野で特筆すべきは、ハラルフードの将来性だ。ハラルフードとは、イスラム教の戒律によって食べることが許された食べ物のこと。世界人口の約4分の1を占める18億人規模のイスラム市場への進出が可能になることから、その商機に世界の企業が注目している。

ハラル産業への投資を促進するため、セランゴール州はマレーシアで最初のハラル工業団地「セランゴール・ハラル・ハブ」を2003年に開発した。当初は食品分野が中心であったが、ハラル産業の潜在的なすそ野は幅広い。インベスト・セランゴールは食品・飲料セクターに限らず、ハラルeコマースのプラットフォーム作りやハラル製品流通チェーンの発展などにも寄与していく。ハラル産業の持続的な発展を確実なものにすると同時に、セランゴール州がハラル産業を取り巻く環境の変化と新しい産業動向に適応していくための施策が強化された。それは「セランゴール州ハラル行動計画」で、インフラおよびエコシステムの一層の整備拡充が期待される。

日本企業にとっては、訪日外国人旅行客(インバウンド)の増加を見据えたアプローチも有望な戦略の一つだ。株式会社キュアテックスはマレーシアの5つ星ホテル「バンギ・ゴルフ・リゾート」と業務提携し、ハラル認証を受けたセントラル・キッチン「ハラールキッチン楽」の運営を行っている。2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京五輪と大規模なスポーツイベント開催を控える今、ムスリムの人々が安心して食事をとれる環境を整える意義は大きい。日本の観光事業の発展にもつながるビジネスといえそうだ。

航空機産業の62%はセランゴール州に集中

主要輸出産業を商品セクターから付加価値の高いテクノロジー・セクターへと多様化することを目指し、マレーシア政府は「2030 年マレーシア航空宇宙産業青写真」を発表。それを受けて、「セランゴール州行動計画」が導入され、州がこれまで導入したさまざまな航空宇宙産業発展戦略も世界の最新動向により即したものへと強化が進んでいる。マレーシアは、2030年までにアジア太平洋の航空宇宙産業セクターの主要プレーヤーになることを世界に宣言している。数値目標としては、売上高を2017年の135億リンギット(約3700億円、1リンギット=27.4円で算出。以下同じ)から2030年には552億リンギット(約1兆5100億円)に増やし、航空宇宙セクター従事者を2017年の2万1000人から2030年には3万2000人へ増やすとしている。

マレーシア航空宇宙産業の売上高の推移(計画) 135億→552億

マレーシアの航空機産業の62%はセランゴール州に集中している。同州に製造拠点を構える航空機産業関連メーカーを列挙すると、アグスタ・ウエストランド、エアフォイル・サービシズ、GEアビエーション、ロールス・ロイス、RUAGアビエーション、サフラン、スピリット・エアロシステムズとすべてが外資系で、ボーイング社とエアバス社の主要サプライーである。インベスト・セランゴールは現在、セランゴール州への進出について日本のある水陸両用機メーカーと話を進めているところだ。


インベスト・セランゴールおよび州政府は、2019年を通して複数の投資誘致ミッションを日本で実施する予定だ。「Selangor, Your Gateway to ASEAN」のスローガンを掲げるセランゴール州への投資は、グローバルビジネスに新たな機会をもたらす一手になるだろう。

〈お問い合わせ〉

セランゴール州政府系外資誘致機関

Invest Selangor Berhad
No.F1-2-G, Jalan Multimedia 7/AG, CityPark, 40000
Shah Alam, Selangor Darul Ehsan, Malaysia
Tel: +603-5510 2005
Fax: +603-5519 6403
email: enquiry@investselangor.my
http://www.investselangor.my