伊藤忠商事 代表取締役社長COO

鈴木善久

Top Message伊藤忠を支える
スペシャリストたち

時代の変化を迅速につかんで、新事業を立ち上げていく。
そうしたチャレンジを支えるのが、伊藤忠グループのスペシャリストたち――。

成果をあげれば公平に
評価される風土がある

2017年度の当社の史上最高益更新は、事業会社の多大な利益貢献が含まれた当社の連結経営の成果であり、まさに伊藤忠グループが一体となったシナジーの成果に他なりません。そして、当グループの強みこそが、「商品や顧客に対し高度な専門知識を有したスペシャリストたち」なのです。

私自身も大学で航空工学を学んだこともあって、航空・宇宙分野のスペシャリストを志し、伊藤忠商事に入社しました。折しも1980年代のヨーロッパでは、通信衛星打ち上げの民営化が進んでいましたが、日本でのビジネス化を予想する人は、まだほとんどいない状況でした。

しかし、当社はその可能性を信じ、宇宙関連ビジネスにも乗り出していました。数年後、国内でも民営化され、当社は通信衛星打ち上げサービスの代理店契約を獲得することになります。このプロジェクトに携わったことで、日本の経済成長の先兵役となり、国内外で常に新領域に挑戦し続けるのが総合商社であることを、当時私は身をもって痛切に感じました。

その後、私は11年3月に当社の常務執行役員を退任し、航空機内装メーカーであるグループ会社のジャムコに移ります。東日本大震災による工場の被災等の難題に直面する中、全社一丸となって、お客様との信頼関係を追求した結果、収益力は大きく改善しました。15年3月には東京証券取引所第一部への指定を実現し、翌年の4月に情報・金融カンパニープレジデントとして、伊藤忠商事本体に復帰することになります。

出向や転籍した傘下企業から親会社への復帰は、世の中ではあまり一般的ではないかもしれません。しかし、成果をあげれば伊藤忠本体であろうと事業会社であろうと公平に評価される企業文化があり、このような復帰も特別なことではありません。伊藤忠グループには、努力が報われる風土があるのです。

次世代の伊藤忠グループを
創り上げていく担い手とは?

18年から20年にかけての新中期経営計画では、「商いの次世代化」と「次世代商人」への進化を目標としています。「商いの次世代化」とは、全く異なる「飛び地」のような事業分野で大規模な投資を行うこと、ではありません。当社が長い時間をかけて磨いてきた幅広いリアルビジネスにこれまでとは異なる視点を取り入れ、グループ間におけるシナジーをさらに最大化させ、また、そのバリューチェーンを進化させていくというコンセプトです。

グループ会社間のシナジーの例として、伊藤忠ロジスティクスは伊藤忠商事、並びにグループ各社の海外を含む総合物流を担い、中設エンジは、グループ会社が保有する工場や物流センターやオフィスビルなどのエンジニアリングを担っています。これらはほんの一例にしか過ぎませんが、各社が各々の分野でスペシャリティを磨きその強みをグループ会社に提供することで、全体での大きなシナジーを生み出しています。

また、グループ間のバリューチェーンの好例がファミリーマートです。全国に約17000店舗を展開するファミリーマートとの連携において、日本アクセス(食品類・低温度物流)、伊藤忠プラスチックス(食品包材)、伊藤忠リーテイルリンク(日用品)、伊藤忠テクノソリューションズ(ITインフラ)、伊藤忠プランテック(電力管理)、ポケットカード(金融サービス)などグループ各社が有機的に結合し、ファミリーマートを起点とするバリューチェーンの進化と「商いの次世代化」を進めています。

今後、商社が勝ち残るためには、刻一刻と変化する経営環境にいかに順応していくかが重要になります。そのような柔軟かつスピーディーな環境適応能力が、伊藤忠グループにはあると私は確信しています。それは、「失敗しないこと」より、「失敗しても起き上がることを良しとする」という企業風土が礎になっているのです。

事実、近江商人の初代伊藤忠兵衛が、麻布の持ち下り商いを始めた創業期、冒頭でお話しした民間初の通信衛星を打ち上げた1980年代、ファミリーマートへの投資を通じてコンビニエンスストア(CVS)事業に進出した1990年代、そして近年のDole事業やCITIC・CPグループへの大型投資などは、すべて総合商社として初めての挑戦でした。

そうした「挑み続けるDNA」の潜在力を解き放ち、次世代の伊藤忠を創り上げていく担い手になりえるのは、伊藤忠グループのスペシャリストだと考えています。

みなさん、伊藤忠グループのスペシャリストとして、次世代を一緒に創りあげていきませんか。

挑み続けるDNAの潜在力を
解き放ち、次世代の
伊藤忠を創り上げていく

■ Profile

Yoshihisa Suzuki

1979年東京大学工学部卒業後、伊藤忠商事に入社。2000年4月航空宇宙部長、03年6月執行役員。07年4月伊藤忠インターナショナル会社社長。12年6月ジャムコ社長。16年4月伊藤忠商事専務執行役員、情報・金融カンパニー プレジデントを経て、18年4月より現職。