日経ビジネスONLINE SPECIAL

トップに訊く 発電事業の統合を完了 世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する/株式会社JERA 代表取締役 小野田聡氏

東京電力フュエル&パワーと中部電力による共同出資会社であるJERA(ジェラ)が2019年4月、両社の国内既存火力発電事業等を統合し、燃料上流開発・調達、輸送・受入から発電、電力・ガスの卸販売に至るバリューチェーンの構築という2015年4月のJERA設立当初に計画した事業統合を完了した。“新生JERA”の取り組みや目標について、小野田聡代表取締役社長に訊いた。

LNGと再生可能エネルギーを通じて
グローバルリーダーを目指す

 JERAは2015年4月の設立以降、世界のエネルギー需要やトレンドが大きく変化する中で、「グローバルなエネルギー企業を創出すること」「新たなエネルギー事業モデルを構築すること」「バリューチェーン全体を強化すること」の3つを基本理念に、日本発のグローバル・エネルギー企業を目指して段階的に事業統合を進めてきました。

 そして2019年4月、東京電力フュエル&パワーと中部電力の国内における既存火力発電事業等を統合したことで、4年がかりの事業統合がようやく完了しました。これからが、“新生JERA”としての本格的なスタートです。

小野田氏

株式会社JERA
代表取締役社長
小野田 聡

愛知県出身。1980年4月中部電力入社。主に火力部門を歴任。火力発電で培った技術を活用しLNGを液体のままタンクローリーで販売する事業会社(現:株式会社シーエナジー)の立ち上げも率いる。2013年6月、取締役専務執行役員発電本部長、参与・電気事業連合会出向(専務理事)、代表取締役副社長・発電カンパニー社長を経て、2019年4月にJERAの代表取締役社長に就任

 既存火力発電事業等が統合されたことで、燃料上流開発・調達、輸送・受入から発電、電力・ガスの卸販売に至るバリューチェーンが確立され、バリューチェーン全体を俯瞰して上流から下流への流れを活かした業務運営で合理的かつ効率的にエネルギーをお届けすることが可能となりました。

 この統合完了に当たり、事業環境の変化を踏まえ、「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」というミッションと、2025年には「クリーン・エネルギー経済へと導くLNG(液化天然ガス)と再生可能エネルギーにおけるグローバルリーダー」を目指すというビジョンを新たに制定いたしました。

 具体的には、洋上風力発電事業を中心とした再生可能エネルギー事業を2025年には国内外で500万kW程度へ拡大するとともに、これまで培ってきた火力発電事業に関する技術を最大限に活用して、再生可能エネルギーによる発電の需給変動を吸収するLNG火力発電の運用やそれを可能にする弾力的な燃料調達を行うことで、「再生可能エネルギーとLNGを通じたグローバルリーダー」を目指していきたいと考えています。

 また、ビジネスのグローバル化やバリューチェーンの最適化など統合によって得られた効果を最大限に活かすことにより、安価に電気・ガスというエネルギーをお届けすることができれば、電気をお使いの皆様にもメリットを感じていただくこともできると考えています。

JERAのMissionと2025年に向けたVision
「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」をミッションとし、2025年に向けたビジョンとして「クリーン・エネルギー経済へと導くLNGと再生可能エネルギーにおけるグローバルリーダー」を掲げる。大規模再生可能エネルギーの開発と再生可能エネルギーによる需給変動を吸収するLNG火力発電の運用を大きな柱とし、安定的に安価でクリーンな電気を供給することを目指す

環境変化をチャンスと捉え
統合効果でさらなる飛躍へ

 現在、再生可能エネルギーの技術革新や導入拡大、石炭からLNGへのシフトの流れ、規制緩和や市場競争の拡大など、世界的な規模でエネルギーの移行、変遷が進展しています。また、国内では人口減少に伴い電力需要が鈍化する一方、アジアにおけるエネルギー需要の拡大が見込まれています。それぞれにリスクはありますが、当社にとって大きなチャンスであり、統合効果がうまく発揮できるタイミングだと捉えています。

 当社はLNGを年間約3500万t取り扱う世界最大のバイヤーであるとともに、船舶やLNG基地のオペレーションも保有し、これに加え、今年4月からJERA Global MarketsにおいてLNGトレーディング事業も開始しました。これにより世界各地のLNG基地にアクセスできる体制を構築したことで、LNG火力発電のコスト競争力が強いだけでなく、LNGを世界で最も柔軟に運用する力を持っている強みがあります。

 また、再生可能エネルギーだけでは世界のエネルギーの安定供給は達成できません。再生可能エネルギーが普及すればするほど、その需給変動を吸収するLNG火力発電の役割が高まっていきます。それは、単純にLNG火力発電設備を保有していれば良いというわけではなく、いかに柔軟に、弾力的にLNG火力発電設備を運用できるかということが最大のポイントです。その部分においても、JERAには強みがあると自負しています。