日経ビジネス電子版 Special

「インバウンドビジネスの課題を解決」JAPAN Trip Navigatorが秘める可能性

JTBが日本マイクロソフトとナビタイムジャパンと協業し開発した、訪日外国人向け観光支援スマホアプリ「JAPAN Trip Navigator」。伸長し続けるインバウンド市場をさらに盛り上げるうえで、同アプリはどのような可能性を秘めるのか。インバウンドビジネスで重視すべきポイントを同社推進担当部長の吉永善顕氏に話を聞いた。

“旅マエ”から“旅ナカ”まで
ガイドが寄り添うような体験

吉永 氏
株式会社JTB
訪日インバウンドビジネス推進部
訪日インバウンドビジネス推進担当部長
(事業統括)
吉永善顕
グラフ/急伸する訪日外国人旅行者

 巫女をイメージしたAIチャットボット「MIKO」がアプリ画面に常駐し、土地勘のない訪日外国人旅行者をナビゲートしてくれる──そんな画期的なスマホアプリが注目を集めている。JTBの訪日外国人向け観光支援スマホアプリ「JAPAN Trip Navigator」だ。

 インバウンド市場の現状を見ると、2018年には訪日外国人旅行者数が史上初3000万人を突破し、30年にはその倍の6000万人達成を政府が目標として掲げるなど、息の長い伸長が期待されている。

 自治体、企業によるプロモーションなどの取り組みも加速化しているが、「すべての訪日客がストレスなく快適に観光を満喫できるようなインフラを整備し、次なる課題のリピーター増を実現していくうえでは、まだまだ課題があると感じていました」。同社訪日インバウンドビジネス推進担当部長の吉永善顕氏は、アプリ開発にあたっての思いをそう語り、インバウンドを取り巻く注視すべきポイントを三つ挙げる。

 一つがニーズの多様化だ。一口に訪日客といっても、国籍や文化も異なれば、旅に求めるものも大きく異なる。さらにツアーなどの団体旅行客から個人旅行者(FIT層)が主流となり、 「単純に誘客数を追求するような施策では、多様なニーズに応えることが困難な時代となっています」と吉永氏は語る。

 二つ目には個々ではいいサービス、コンテンツがあっても、タイムリーに訪日客にリーチできていないハードルを挙げる。そして三つ目のポイントとなるのが、スマホを主流とする情報源のツールの変遷だ。しかも訪日客向け情報サイトやアプリなどの“プレーヤー”が増えるほどに、必要とする情報、本当にいいサービスになかなかたどり着けないというジレンマも生まれている。

 「旅行とは出発から帰国まで続くストーリーのようなもの」と吉永氏。訪日客は移動手段から宿泊、食事、アクティビティなど、それぞれの情報を収集し、予約を手配していく必要がある。多様な意思決定が迫られるなか、従来、ツアーガイドが果たしていたような、旅全体を最適化し、最高の旅のストーリーをサポートするようなサービスを、テクノロジーで解決する方法を探っていた。

 そのうえで、従来の旅行会社の主業務であった旅行前、いわゆる“旅マエ”の情報収集、予約手配業務から、旅行中の“旅ナカ”のサービスを強化していく必要があるという思いから、サービスのあり方を追求。テクノロジーパートナーとの協業も模索し、わずか6カ月間の検討・開発期間を経て、18年2月に「JAPAN Trip Navigator」が誕生する。

吉永 氏
株式会社JTB
訪日インバウンドビジネス推進部
訪日インバウンドビジネス推進担当部長
(事業統括)
吉永善顕
グラフ/急伸する訪日外国人旅行者

“インバウンド観光型MaaS”を
積極的に推進していく

 開発にあたっては、日本マイクロソフト、ナビタイムジャパンと協業。創業以来、100年超にわたり、インバウンドに取り組んできたJTBが持つ訪日客の行動データや豊富な観光情報、日本マイクロソフトのクラウドサービスやAI技術、ナビタイムジャパンの移動経路情報、アプリ開発技術などを組み合わせた、今までにない観光支援アプリとなっている。

 具体的な機能は、下図に掲げたように大きく四つあるが、他のアプリにない特長は、観光情報、宿泊、ツアー、アクティビティなど、“旅ナカ”を充実するためのサービス、情報、商品をワンストップで提供していることだ。

 観光情報は同社が持つ『るるぶ』のコンテンツを生かし、47都道府県、約1万件をカバー。200通り以上のモデルプランをもとに、オリジナルプランの作成も簡単にできる。

 また、ナビタイムジャパンが運営する訪日外国人向けのナビゲーションアプリ「NAVITIME for Japan Travel」と連携し、スポットまでの詳細な移動経路の検索もシームレスに実現する。その他、宿泊予約機能を備え、スポットにひもづいたツアーやアクティビティの商品もアプリ内で購入できる。

 加えて、特筆すべきは冒頭に挙げたように、AIチャットボットの「MIKO」による英語および繁体字によるアシスタント機能が搭載されていることだ。観光スポットの検索や困りごとに対して、チャット形式で回答するほか、ユーザーの利用状況に合わせ、付近の観光スポットや歴史や地域の名産品などの情報も、自動で呼びかけてくれる。

 さらに、吉永氏は「AIチャットボットで得られたユーザーの行動、移動、嗜好データなどのログを元に、随時、UI/UXなどの改善、サービスの見直しも実践しています」と語り、サービス進化に向けても余念がない。

 今後の注力分野としては、地方での旅をストレスなくシームレスに実現する仕組みとして、駅や空港からのバス、タクシー、シェアカーなど、電車の移動経路にとどまらない“2次交通”を検索し、予約、決済できる2次交通統合型サービス、いわゆる“インバウンド観光型MaaS”の推進を挙げる。その実現のため、独自のサービスや技術力を持つ企業との協業も積極的に進めていく構えだ。

 次回のvol.2では、「JAPAN Trip Navigator」での協業体制や新たに搭載するサービスの概要、今後求めるパートナー企業像について、タッグを組んだ日本マイクロソフトの担当者を交え、解説していく。

訪日客の観光支援をワンストップで提供「JAPAN Trip Navigator」

開発にあたっては日本マイクロソフトとナビタイムジャパンと協業。
観光のプロとテクノロジーのプロがタッグを組んだ画期的なアプリとなっている。

「JAPAN Trip Navigator」と協業する企業を募集中

お問い合わせ先

株式会社JTB
訪日インバウンドビジネス推進部

ibsolution@jtb.com