岸 博幸さん
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科教授

好調に市場が拡大している「ストロングチューハイ(ストロングRTD)」。中でも、新しいアプローチで人気を得ているのが『キリン・ザ・ストロング』である。発売からの累計販売数量2億4000万本※1、リニューアル週の購入者数は前週比182%と急伸。その背景には「ストロングチューハイ」を新しい次元に引き上げる戦略がある。慶應義塾大学大学院教授の岸博幸さんに、『キリン・ザ・ストロング』が大好評の理由を分析してもらった。

時代が求める経済合理性と利便性。
追求すれば「ストロングチューハイ」
へと行き着く

 チューハイをはじめとする、「RTD」とはReady・To・Drinkの頭文字で、栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料を指す。酒類市場の中でも売れ筋で、2008年以降は11年連続で伸長。2018年の市場規模は2014年との比較で約1.5倍に拡大する※2など、近年はより注目が集まっている。その牽引役が、アルコール度数7%以上のストロングカテゴリー、俗にいう「ストロングRTD」だ。今やストロングRTDは、RTD全体の6割弱を占める※2までに成長している。なぜ、ストロングRTDが求められるのか。経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策を専門分野に持つ、慶應義塾大学大学院教授の岸博幸さんはその理由の一つとして、「経済性の追求」を指摘。

 「景気がいいと言いながら、多くの人は収入がそこまで増えていません。また、デフレが続いていることもあり、お金を使ってじっくりとお酒を楽しむよりは、少ない本数でも楽しめることを追求するのは当たり前のことです」と岸さん。しかし、岸さんは経済性に加えて、さらに大きな理由もあると考える。それは「消費者行動の変化」だ。

 岸さんは、「経済合理性だけを重視すれば、商品はできるだけ安い店で買った方がお得。しかし現実には、ディスカウントショップ、スーパーマーケット、コンビニエンスストアと価格が異なる販売店が複数存在して、共存しています。最近では、コンビニエンスストアで買い物をする中高年層も多い。これは、買い物をするときに、価格だけでなく利便性も考慮するからです。忙しい現代人は、この“利便性”を重視した行動を取る傾向にあります」と語る。

 買い物は、あくまで一例だ。岸さんは、利便性をキーワードにストロングチューハイを分析する。

 「忙しい1日をリセットするときに、低アルコール度数のお酒をダラダラ飲むよりも、高いアルコール度数のおいしいお酒を飲んで、リセットした方が利便性は高いわけです」

RTD市場全体は、2017年6月の酒税法改正後、ビール類や他酒類からの流入が増えたことなどにより拡大。アルコール度数3%以下の売り上げは2013年比約70%に減少しているが、アルコール度数4〜6%は約116%、アルコール度数7%以上に至っては約172%も伸長している

いろんな味のストロングチューハイ。
ついにストロングは
広く楽しめるお酒に

 岸さんいわく「経済合理性」と「利便性」を求める社会との相性の良さから、売り上げを伸ばしているストロングチューハイ。中でも、4月にリニューアルした『キリン・ザ・ストロング』は、発売からの累計販売数量が2億4000万本※1に達するなど、ひときわ高い支持を受けている。

 その理由として、まず岸さんが着目したのは、これまでのストロングチューハイにある高いアルコール特有の力強い飲みごたえはありながら、フレーバーごとの心地良い味わい、のど越しが両立しどんな人も「おいしさ」を感じられる点だ。

 『キリン・ザ・ストロング』のフレーバーは、「超爽快ドライ」「本格レモン」「ハードコーラ」「ホワイトサワー」の4種類。試飲した岸さんは、とくに「ハードコーラ」と「ホワイトサワー」が気に入ったという。

 「私はコーラが大好きなのですが、コーラ好きからしても『ハードコーラ』はスゴい。しっかりコーラらしさを残しながら、ストロングチューハイらしい飲みごたえもあります。『ホワイトサワー』はスッキリとした甘さでこちらも飲みやすさと飲みごたえを両立させていますね。これは、アルコール特有の味が苦手な人でもおいしく飲めるのではないでしょうか。『超爽快ドライ』はお酒好きも満足させるガツンとした飲みごたえだし、『本格レモン』は食事に合いそう。4つも味があると、自分の飲み方やシーンに合わせて選べるので良いですね。フレーバーが多くてもおいしくなければ消費者には受け入れられませんから、このおいしさがヒットした重要な要因だと思います」

 『キリン・ザ・ストロング』のおいしさには、キリンが今まで培ってきたチューハイや飲料の知見や技術が生かされている。その事実に岸さんは、「まさに、ストロングチューハイのイノベーションですね。高いアルコール度数とソフトドリンク的な味わいをしっかりと組み合わせている。ストロングチューハイを飲んできた人はもちろん、敬遠していた人にもぜひ飲んでみてもらいたいです。おいしさにきっと驚くはず」と話す。

 また岸さんは大好評の理由として「4種類の味をそろえた、マルチフレーバー戦略も大きいのではないか」と分析し、このように続けた。

 「先ほど、『忙しい現代人』と言いましたが、様々な職業、ライフスタイルにかかわらず現代人は忙しいと言えます。その理由として私が考えるのは、スマートフォンの普及です。もともと、人は普通に生活しているだけでも、100くらいの意思決定をしていると言われています。それが、スマートフォンによって激増しました。どのWebページを見るか、SNSでどういったリプライをするか、どのアプリを使うか、これらも全て意思決定であり、これが現代人を忙しくしています。また意思決定をすると、脳は大きなパワーを使います。スマートフォンがなかったころに比べると、1日の終わりにはかなり疲れた状態になっているのです」

 そのときに、ストロングチューハイで気持ち良く酔って脳をリラックスさせるのは、リセットに効果的な方法だという。それも、ストロングチューハイが支持される理由の一つだ。

 「ただし、これまでのストロングチューハイは、いわゆるお酒好きに向けたフレーバーが中心で、お酒を飲む習慣がない人は気軽に手に取れなかった。しかし、『キリン・ザ・ストロング』はストロングチューハイを敬遠していた消費者が手に取りやすい味もそろえたことで、結果として売り上げ増にもつながったのだと思います」と岸さんは語る。

今までのストロングチューハイにない味わいで
累計2億4000万本※1を突破した
『キリン・ザ・ストロング』

『キリン・ザ・ストロング』のフレーバーは「超爽快ドライ」「本格レモン」「ハードコーラ」「ホワイトサワー」の4種類。独自の「ハードエキス」で実現した“飲みごたえ”と“飲みやすさ”を両立させた「うまさ」をさらに強化し、飲みやすい後味に仕上げた。

※1 250ml換算
※2 キリンビール調べ