「新・一番搾り」リニューアル後歴代No.1(※)組織も“おいしさ”も大躍進いま売れている3つの理由を品田英雄が解説 ※歴代フルリニューアル後60日間の缶出荷実績

2017年のリニューアル以降快進撃を続けているキリンビールの「一番搾り」。
今年4月のフルリニューアルにより、5月缶売上が前年比118%、
過去フルリニューアル時の同期間の比較では歴代No.1(※)を達成した。
また、2019年上半期のビール類販売実績が前年比約99%と減少するなか、
キリンビールは唯一プラス2%と業界を上回る実績を記録。

※ 歴代フルリニューアル後60日間の缶出荷実績

この圧倒的な強さを支えているのが、“布施改革”と呼ばれる大胆な経営改革だ。
キリンビールはどう変わり、「新・一番搾り」はなぜこれほどまでに売れているのか。
『日経エンタテインメント!』創刊編集長として数多くのヒット商品を見てきた日経BP総研の品田英雄が、
独自の視点で絶好調の企業と看板商品の裏側を分析する。

「お客様」を判断基準とし
全社を挙げての組織改革へ

「お客様」を判断基準とし全社を挙げての組織改革へ

今年4月にフルリニューアルした「新・一番搾り」。翌5月の缶売上は前年比プラス18%と絶好調で、いまなおその勢いはとどまるところを知りません。すでに2017年9月のフルリニューアルで大きく数字を上げていた「一番搾り」において、この売上増は驚異的といえるでしょう。

そもそもビールのような成熟市場で、新しいもの、ましてやヒット商品を生み出すのはとても大変なこと。にもかかわらず、「一番搾り」という今年で発売30年目を迎えるロングセラー商品でこれだけのヒットを生み出しているキリンビールには、いままでとは違う強さを感じます。

品田英雄
日経BP総研 上席研究員

1980年学習院大学卒業。放送局を経て、1987年日経BP入社。記者としてエンタテインメント産業を担当する。1997年『日経エンタテインメント!』創刊編集長に就任し、ヒット雑誌に育てる。デジタルハリウッド大学大学院客員教授(ヒットコンテンツ事例研究)も務める。

一言でいうと、組織が変わった。2017年以来、布施社長が目指していた「ヒットの確率を高める組織づくり」が軌道に乗ってきたのだと思います。ヒットの確率を高めるためには、何が必要か。それは「お客様を判断基準にする」ことだと布施社長はおっしゃいます。会社都合や送り手都合ではなく、お客様が本当においしい、楽しいと感じてくださるものをつくるにはどうしたらいいか。その課題に組織全体で取り組んだのです。

もちろん、号令をかけるだけでは組織は変われません。そこでお客様に一番近い“現場”を最重視した組織構造とし、その現場から上がってきたお客様の声を基準にしたものづくりを目指したわけです。

一口にお客様といっても、ステークホルダーには消費者だけでなく、販売店や仕入れ先など様々な関係者が存在します。キリンビールのような歴史ある大企業であればあるほど、そのしがらみは多いでしょう。守らなくてはいけないものがたくさんある一方で、何かを断ち切って新しいものを生み出すのには相当な覚悟が要ります。現場が戸惑うシーンもあったはずですが、迷い悩んだときに「お客様はどう思われるか」という軸に立ち返ることで道を示した“布施改革”は、直近の数字や現場の笑顔を見るにつけ、やはり正しかったんだと思います。その成功体験が変革を加速させ、好循環を拡大させているのでしょう。

世相を先読みしたリニューアルで
新時代のビールを象徴する存在に

世相を先読みしたリニューアルで新時代のビールを象徴する存在に

今年の5月は10連休があったにもかかわらず、「新・一番搾り」は飛ぶように売れました。それはまさしく、「新・一番搾り」が“いまの時代を象徴するビール”であることの証なのかもしれません。

かつてビールといえば、働き盛りの男性たちが仕事終わりに居酒屋で飲むもの、といったイメージがありました。高度経済成長期から続く何十年もの間、ビールは闘う男たちの英気を養う労いの一杯だったわけです。ところが、SNSなどで連休中の様子を見ていくと、バーベキューやキャンプを楽しむ若い人たちの笑顔の隣に「新・一番搾り」が写っていたりする。学生たちの旅行や合宿、女子会などの写真にもちらほら登場しています。かくいう私も、この連休は大学時代の仲間たちとバーベキューを楽しみ、「新・一番搾り」を空けていました(笑)。

ビールはもはや年配の方や働き盛りの方だけのものではなく、仲間との時間をより豊かに過ごしたい、誰もが手軽に楽しく飲むものへと変わってきたんですね。お客様のビールの飲み方が変化してくる中で「新・一番搾り」はその潮流に合致していたのが、5月の数字を見ても明らかです。働き方改革が進んで休日や自分の時間が増えてくると、接待や“仕事終わりの一杯”以外にもビールを飲む機会は増えてきます。そんな少し先のライフスタイルを見越してリニューアルした「新・一番搾り」は、間違いなく新時代にふさわしいビールといえそうです。

時代とともにライフスタイルが変化するように、おいしさの評価もまた変わってきます。だからこそリニューアルが必要なのですが、「新・一番搾り」はいままでのファンを満足させつつ新しいフォロワーをも取り込んでいく、絶妙な落とし所を捉えていますね。「一番搾り」ならではの麦本来のうまみと雑味のない味わいはそのままに、味の奥行きとさわやかさが増して、より多くの人に飲みやすく飲み飽きないビールに仕上がっている。つまり、誰が飲んでもおいしいんです。これも、たくさんのお客様の声に耳を傾け続けた成果なのでしょう。

手間暇かけて生まれた「新・一番搾り」
今後のさらなる進化を見逃すな!

手間暇かけて生まれた「新・一番搾り」今後のさらなる進化を見逃すな!

新商品が次々と登場しては消えていく様を、私たちは毎日のように目にしています。これはビール業界に限った話ではありませんが、何が売れるかわからないからとにかく店頭に並べてみて、市場の反応はPOSデータで探っていきましょう、というのがいまの流れです。そこで後れをとらないためにも、メーカーはとにかく早く、多くの商品を開発し続けなければならない。その繰り返しの中で、ゴールが見えにくくなってしまっている現場も少なくないでしょう。

そんなスピード優先の市場において、時代のトレンドはしっかりキャッチアップしつつ、じっくり時間と手間をかけてつくり込まれている「新・一番搾り」は、ある意味とても贅沢なビールだと感じます。単に効率とかコストパフォーマンスだけを考えていたのでは決してたどり着けないおいしさがそこにある。現場での試行錯誤はもちろん、足を使った市場調査や消費者ヒアリングにもかなりの労力を割いていることがわかります。

ビールづくりも組織改革も、一朝一夕でできるものではありません。現在のキリンビールや「新・一番搾り」の好調は、2017年からコツコツと努力を積み上げてきた結果。ヒットの確率を高める組織づくりに成功したキリンビールは、いままさに好スパイラル期を迎えています。夏の商戦や秋の消費税増税を控え、これからが勝負どころでもありますが、“お客様”という揺るぎない判断基準を持ち続ける限り、その未来は明るいでしょう。「日本のビールの本流を目指す」という布施社長の力強いメッセージにもおおいに共感できます。何より私自身、「一番搾り」が今後どう進化していくのかは興味の尽きないところ。夏に向けて、さらなる躍進を期待しています。

キリンビールを勝ち戦で、常勝に導きたい!
見つめるべきはお客様のこと、そのための組織改革。
だからこその“おいしさ”への注力

2019年上半期のビール類販売実績が前年比約99%と減少するなか、キリンビールは約102%と業界を上回る数字を記録しました。この好調の波は昨年から続いていて、もはや一時的なものではなく、土台となる組織が強くなったことの証であると確信しています。

キリンビール代表取締役社長
布施 孝之 氏

私が社長に就任した2015年、キリンビールは長期的な負け戦の中にありました。それを招いたのは、目先の利益や会社都合の判断で物事を進めてきた企業体質に他なりません。そこで、2017年10月から全社を挙げての組織改革を行いました。

変革の押しボタンは「組織風土」と「戦略」。組織風土においては、「お客様のことを一番考える」企業を目指し、さらにお客様に最も近い「現場が主役」となる構造としました。戦略については、投資するブランドを絞り込み、5年後10年後も生き残る主力ブランドをより強化する方向にシフト。判断基準の軸をお客様に置くことで、マーケティング部門も上の意見に左右されず商品開発に没頭できるようになり、また部門間のコミュニケーションやスピードも飛躍的に向上して、いまでは全社一丸となって戦略的にブランドを育てる体制が整いつつあります。その結果が、昨年、今年と新商品・リニューアルの成功確率を高めることにつながったのだと実感しています。

なかでも、今年4月にフルリニューアルした「新・一番搾り」では、歴代フルリニューアル後60日間の販売数量が2059万ケースと過去最高を記録。トライアル購入により間口(購入者数)も拡大し、主購入層である40~50代に加え、20代も約140%と大きな伸長率を見せています。

お客様がビールに求めるのは、「おいしさ」です。「新・一番搾り」のリニューアルでは、“麦の本来のうまみ”を追求し、お客様にとって「飲みやすくて飲み飽きない」「ビール本来のおいしさを体感できる」ように進化しています。この「おいしさ」が支持されたおかげで、7月は前年比約1割増の製造計画を組むことができました。

いまの上向きの流れをつかんで加速させ、7・8月の最盛期にさらなる大きな山をつくることにより、「新・一番搾り」を「日本のビールの本流」にまた一歩近づけたいと考えています。この夏の、そしてこれからのキリンビールにぜひご期待ください。

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