日経ビジネス電子版 Special

日経ビジネス・中国事業実務セミナー

『中国拠点は内部から壊れる』現地経営の知られざる課題に先手を打つ 『中国拠点は内部から壊れる』現地経営の知られざる課題に先手を打つ

[主催] 日経ビジネス
[共催] 上海良図商務諮詢有限公司(エルティ株式会社)
[日時] 2019年7月16日(火) 13:30〜17:30
[会場] 東京コンファレンスセンター・品川406

2019年7月16日、日経ビジネスと上海良図商務諮詢有限公司(エルティ株式会社)は、「中国事業実務セミナー『中国拠点は内部から壊れる』現地経営の知られざる課題に先手を打つ」を開催。会場は中国に拠点を持つ企業担当者で満席となり、中国事業のコーポレートガバナンス強化に対する関心の高さが窺えた。

米中衝突と巨大市場の行方----難局をどう乗り切るか

中国が世界経済の基軸に

横浜市立大学 名誉教授

矢吹 晋

世界銀行によれば、2000~2016年のGDP成長率は米国が35%であるのに対し、中国は325%と10倍近い差をつけている。米中央情報局の推計では、購買力平価GDPでも中国が米国を上回る。また、中国のeコマースはGDPの35%を占め、日本全体のGDPに相当する規模にまで成長している。ビッグデータの活用により、経済は一層伸びていくだろう。量子技術の特許申請でも中国は優位に立っており、次世代通信システム「5G」の中心を担っていくことは間違いない。

習近平政権は米国の言いなりにならない姿勢を鮮明にしている。依然として問題は山積しているが、弱みを着実に克服し、強みを伸ばし続けている。今後、世界経済は中国を基軸として回っていくはずだ。

日中再接近をビッグチャンスにするために~ここまで踏み込む現地化とガバナンス

適正なコストをかけ、失っていた利益を取り戻す

スタンレー電気株式会社
コーポレートマネジメント担当 取締役

飯野 勝利

矢吹「改革開放」政策が始まってから40年がたち、民間企業のガバナンスは少しずつ整備されてきているが、同時に汚職も発展してきた。

飯野当社は統括会社を含め、中国に10拠点を有している。海外拠点では不正を防ぐための規定を当然定めているが、ルールを守る国と守らない国がある。私の印象では中国は後者だ。内部統制に懸念があり、4~5年前からエルティ社とともに強化を図っている。

ルールを守らない国では、そもそも不正を働くチャンスを与えないことが重要だ。そのためには、けん制機能を十分に利かせる必要がある。

飯野内部通報ではエルティ社に直接連絡できる仕組みを取り入れ、一定の効果を得ている。実地検査を依頼できることも外部機関と連携するメリットだ。以前は我々日本人がしていたが、身の危険を感じることもあった。中国ビジネスを成功させるための必要経費と考えるべきだろう。

健康診断と同じで、不正は早期発見が大事だ。適正なコストをかけることで、知らずに失っていた利益を取り戻せるケースは非常に多い。本社主導で体制づくりに取り組むことで、現地の総経理も動きやすくなる。

中国版・内部統制の肝~トラブル実例と社員不正の防止策

人材の現地化を防げる内部不正
外部監査機関との連携がカギ

上海良図商務諮詢有限公司
(エルティ株式会社)CEO

郁偉(いくい)

管理体制の強化が競争力向上に寄与

日本企業が中国に進出し始めた1980年代からの約40年間で、中国のマーケット環境は大きく変化した。一方、日本企業の中国現地法人における内部管理体制はほとんど変わっていない。管理体制が現地の環境に即していなければ、ビジネスを成功させるのは難しいだろう。

実際、近年の中国では企業の不祥事が後を絶たない。例えば商業賄賂裁判は件数・被告人数ともに年々増加しており、罰金が高額になるケースも少なくない。また当社の行った実態調査では、50%以上の割合で賄賂性リベートが発見された。リベートがあるということは、必要以上に高い価格でものを購入していることになる。これらの内部不正防止に向けた管理体制の強化はコスト削減につながり、ひいては競争力向上にも寄与するだろう。

また、コスト削減に加え市場開拓のために人材の現地化は不可欠だ。しかし、やはり内部不正によって現地化が進まないケースがほとんどだ。現地化の過程で内部不正が発生し、ひとまず中断するも、不正対策を講じないまま現地化を再開し、また不正が起こる――という「負のスパイラル」に陥ってしまうのが典型例だ。

日本企業の現地法人に多い問題点

そもそも、なぜ内部不正は起こるのか。理由の1つは、性善説や遠慮の姿勢だ。従業員を信用しきってしまうのは、中国においてはあまりにも無警戒といえる。「疑ってかかっては従業員との信頼関係が築けないのではないか」という遠慮も、健全な人材の現地化を妨げてしまう。

けん制機能の脆弱性も、内部不正を防止できない一因だ。会計の外部監査は行ってもガバナンスの外部監査はしない、出向者の給与規定はあっても管理規定は定めないなどのケースは多い。不十分なけん制機能の下では当然、不祥事が起こりやすくなるだろう。

中国で内部統制監査を行う当社では、日本企業の現地法人が抱える問題点には主に4つのパターンがあると見ている。

1つ目は管理マニュアル不足だ。外部助言会社の活用やコンプライアンスの遵守などは、本来であれば社内マニュアルや規定で定めておくべきことだ。しかしこれらが明文化されておらず、不正の原因となるケースが多い。

2つ目は出向者の問題だ。社内接待漬けでチェック体制が機能しなくなる場合や、現地幹部に依存するあまり不正行為をあえて見過ごした事例もあった。

相見積もりの機能不全が3つ目だ。購買担当者が特定業者と結託して他社の見積価格よりも安く見せて落札させ、ランニングコストの不正操作により高い費用をとるケースも多い。ランニングコストにも注意が必要だ。

最後に挙げたいのが、組織上の機能不全だ。一人の従業員が複数部門のトップを兼任しているなどの組織構造では、不正の温床になりがちだ。

これらの問題を解決するには、外部機関との連携による内部統制監査が欠かせない。当社は、本社の監査部と協働して監査を行うことで、監査の重複を排しつつ、問題解決力を向上させている。本社と現地法人が一体となって中国で勝てる内部体制をつくり上げる過程で、ぜひ当社をお役立ていただきたい。

上海良図商務諮詢有限公司【LTCC】

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