日経ビジネス50th Beyond Paradigm

次代のヒット商品/サービス

ザバスMILK PROTEIN 株式会社 明治 プロテイン市場の拡大と健康志向の高まりに寄与

2016年のリステージ後、倍々で売り上げを伸ばしている商品がある。明治『ザバスMILK PROTEIN』だ。

アスリートの補助食品からスポーツ愛好者の必需品となりつつあるプロテインだが、『ザバスMILK PROTEIN』はさらにその先を見据える。

プロテイン市場の裾野を広げるであろう次代のヒット商品の戦略に迫った。

ミルクプロテインのヒット商品。当初は売り上げが伸び悩む

「筋肉は裏切らない」というワードが流行語大賞にノミネートされるなど、まさに今、空前の筋トレブームが訪れている。そんな中で注目されているのが、効果的に筋肉をつけるために必要なたんぱく質だ。特にたんぱく質を主成分とした栄養補助食品「プロテイン」は、様々な関連商品が販売されている。アスリートが摂取するイメージがあったプロテイン。今やスポーツ愛好者にまで需要が拡大しているが、近年、注目されているのは乳由来のたんぱく質「ミルクプロテイン」だ。中でも着実に売り上げを伸ばしており、次のヒット商品と目されているのが、明治の『ザバスMILK PROTEIN』である。

一方で、最初から売り上げが好調なわけではなかったという。同社マーケティング担当の吉田良氏は「前身となる『(ザバス)ミルク グレープフルーツ風味』が発売されたのは、2015年7月。しかし、成功とは言えませんでした」と振り返る。売り上げが伸び悩んだ理由は、一般層をメインターゲットに設定してしまったこと。「そもそも、当時は今ほどたんぱく質の重要性が知られておらず、プロテインの認知も進んでいなかった」と吉田氏。その一方、スポーツ愛好者からは、高い支持を得たという。それは、プロテインの配合が15gと高く、また吸収速度が速いため、商品が本格派なものとして、ユーザーに捉えられたからだ。

そこで、ターゲットをスポーツ層に変更。プロモーションもWeb広告やサンプリングなど、スポーツ層にセグメントし直接ターゲットに届くものにして、パッケージもミルクプロテインを前面に打ち出しました」と吉田氏。17年度は約2倍、18年度には約4倍の売リ上げと予想以上のヒットとなった。

明治が培ってきた技術で
実現した3つのこだわり

カラダづくりに有効なミルクプロテイン15g/460ml配合、体内へのミルクプロテイン吸収スピードを速める速攻吸収製法、運動の後にもゴクゴク飲めるすっきりフルーティテイスト

乳由来のたんぱく質「ミルクプロテイン」を15g/430ml配合した高たんぱく質飲料。明治が培った乳の技術により独自の「速攻吸収製法」を実現して、効率的にたんぱく質を取れるようにした。また、運動後の止渇感を満たすために、ゴクゴク飲めるのどごしとスッキリとした味わいを追求。飲みやすさにこだわった。

ミルクプロテイン認知のため社内組織の枠を超える

ザバスMILK PROTEIN売上高:2016年度12億円、2017年度25億円、2018年度予想46億円 ※明治調べ

リニューアル直後の2016年と比較すると、17年度には約2倍、18年度には約4倍の売り上げを達成。『ザバス』ブランド全体の売上げ拡大に貢献している

もう一つ、ヒットした要因がある。それは『ザバス』のブランド力だ。『ザバス』はプロテイン市場で約50%のシェアを誇る粉末タイプのプロテイン。吉田氏も「スポーツ層には『ザバス』の名前が響いた面もあると思います」と語る。実は、『ザバス』と『ザバスMILK PROTEIN』は、担当する部署が異なる。前者はスポーツ栄養、後者は牛乳などを販売する市乳に属する。いわば、『ザバスMILK PROTEIN』は、部署の垣根を越えたタッグ商品なのだ。

このタッグには、明治が標榜する「食と健康のプロフェッショナル」が関係している。「牛乳や乳飲料に関しては、創業以来培ってきた、高い知見を持っています。そして『ザバス』ブランドは、40年以上の歴史があります」(吉田氏)。この両部署の知見により、特徴である飲みやすさや速攻吸収製法が実現しているのだ。

吉田氏は一般消費者にもなじみ深い商品を手掛ける部署とプロテインに強みを持つ部署が手を組んだことに関して、「健康という文脈からいえば、アスリートやスポーツ層だけでなく、運動習慣がない一般の人にもたんぱく質の重要性を認知してもらいたい。たんぱく質をしっかりと摂取してもらうのは、プロテイン市場で高いシェアを持つ私たちの使命でもあります」と語る。

また、『ザバスMILK PROTEIN』のヒットにより、たんぱく質の接点がスポーツ好きに向けた粉末タイプだけではないことが分かったという。「今後は、さまざまな接点でたんぱく質の訴求を進めていきたい」と話す吉田氏。明治全社としても、ミルクプロテインの力で日本の健康問題に取り組む「明治ミルクプロテインプロジェクト」を展開している。

※明治調べ

ミルクプロテイン商品で日本の健康問題解決に寄与

株式会社 明治 市乳営業本部 市乳マーケティング部 マーケティング2G 吉田 良 氏

株式会社 明治 市乳営業本部
市乳マーケティング部 マーケティング2G
吉田 良

米国などの海外ではすでに、プロテインの摂取は、ごく当たり前のこととして定着している。女性も健康的なスタイルを維持するために活用しており、日本でも、ボディメイク目的でプロテインを摂取する女性が増えている。そして、若年層だけでなく高齢者の健康維持にも効果が期待されている。

「プロテイン市場は、今後さらなる拡大が見込まれます。コンビニエンスストアやスーパーマーケットで手軽に買えるプロテイン飲料も増えてくるでしょう。その中で『ザバス MILK PROTEIN』でも、粉末タイプ『ザバス』と同じようにしっかりとしたポジションを築いていきます。また、これを足がかりに、様々なたんぱく質訴求商品へと拡大して、日本の健康問題の解決に寄与したいです」と吉田氏は最終的な目標を語った。

今後、次代のヒット商品として『ザバスMILK PROTEIN』がプロテイン市場だけでなく、社会全体に大きな影響を与えていくだろう。