出生率向上に向けた5つの提言 妊活サポートを通じてファミリーフレンドリーな社会の実現を目指す

メルクバイオファーマ株式会社
不妊領域事業部 事業部長

池田 秀子

出生率を上げるためにはどうすればよいか――日本が抱える切実な問題に切り込んだ報告書が経済誌『The Economist』の調査部門から発表された。報告書づくりに協賛したメルクバイオファーマ株式会社の池田秀子氏に、報告書の概要と必要とされるアクションについて聞いた。

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人口豊かな国へ:
日本が出生率を上げるためにはどうすればよいか?

ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット報告書

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※報告書の内容については、ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが単独で責任を負うものとし、記載された調査結果および見解はスポンサーの見解とは異なる場合があります。

止まらない日本の少子化
出生率低下の要因

『The Economist』の調査部門であるザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(以下、EIU)は、ビジネスに影響を及ぼす世界各国の政治経済動向や、その時々のビジネスの諸問題に関する調査レポートなどを国際企業のトップマネジメントを対象として出版している。

そのEIUが先ごろ、日本の出生率向上とファミリーフレンドリーな社会の実現に向けた報告書『人口豊かな国へ:日本が出生率を上げるためにはどうすればよいか?』を発表した。協賛したサイエンスとテクノロジーの企業であるメルク(Merck)の日本法人、メルクバイオファーマ株式会社 不妊領域事業部 事業部長の池田秀子氏は、「報告書からは、妊娠・出産を願う人に対して、もっと社会の理解やしかるべき政策対応が必要であることが分かります」と話す。

報告書によると、日本の出生率は過去50年間で低下の一途を辿っており、2015年時点の合計特殊出生率は1.46。人口の維持に必要な人口置き換え水準2.1を大きく下回っている。その要因として池田氏は報告書をもとに次のように指摘する。

合計特殊出生率

図1:日本およびケーススタディ国に置ける1960年以降の合計特殊出生率(女性一人当たりの出産数)
								日本、東アジア&太平洋地域、欧州連合、フランス、韓国、OECD加盟国、シンガポール、全世界
								出典:国際連合「World Population Prospects」
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参考数値 フランスの出生率(2015年) 2.01 欧州連合加盟国の中で最も高い出生率を達成している。

「晩婚化に伴う晩産化のほか、女性の社会進出がすすむ一方で家庭内における役割は変わっていないこと、雇用不安、経済的制約など要因は様々です。さらに日本の場合、『40代になっても30代と同じように妊娠の可能性がある』といった誤った認識があるなど、妊孕性(にんようせい:妊娠するための力)に関する知識の低さも問題です。こうした社会的要因が複合的に作用して負のスパイラルを形成する『低出生率のトラップ構造』に陥っていることがうかがえます」(池田氏)

負の連鎖を断ち切るには政策対応が不可欠であり、日本政府はGDPの1.49%を費やし、希望出生率1.8の実現に向けて取り組んでいる。しかし池田氏は「OECD(経済開発協力機構)は加盟18カ国のうち日本のファミリーフレンドリー政策を最下位から2番目に位置付けています。保育サービスと育児休業については『特に弱い』とされていますが、加えて日本では不妊治療のART(生殖補助医療)が健康保険の適用外であり、治療費が高額になるという現状もあるのです」と指摘する。

メルクバイオファーマの妊活支援活動
YELLOW SPHERE PROJECT

そんな状況の中、政策対応とともに不可欠なのが、社会や企業の意識改革だ。「不妊治療を受けている人には、経済的負担や、仕事との両立困難による離職などがあり、企業が不妊治療を受ける社員をサポートする必要があります。子どもを持とうと思う人たちを、社会全体で応援するような環境づくりも大切です」と池田氏は話す。

メルクバイオファーマ株式会社(2019年4月1日にメルクセローノ株式会社から社名変更)は、がん、腫瘍免疫に加えて不妊治療を重点領域とする企業として、ビジネスを展開する一方で社内外における妊活支援活動にも取り組んでいる。

「妊娠を希望してもなかなか叶わないという“社会課題” に対して、私たちは確かな製品をお届けすることにとどまらず、 より多くの人に、正しい情報を『伝え』、サポートの輪を『広げ』、人々の充実した暮らしという 『未来をつくる』ことへの貢献を目指しています」と池田氏。

その具体的な取り組みが、妊活支援活動「YELLOW SPHERE PROJECT」だ。

新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会へ | YSP

この支援活動には、不妊治療の対象となる本人だけでなく、上司や同僚として理解を深めるための教育が含まれているのが特徴だ。社内向けには、啓発・教育セミナーの実施、不妊治療を受ける全社員を対象とした有給休暇の付与、そして高度不妊治療費の補助などを行っている。

また社外に向けては、妊活や不妊について知る機会を提供する目的で、講演などの普及活動に力を入れている。中でも、医師や看護師、薬剤師などの資格を持つ社員が講師となり、希望する企業を訪問して妊活に関するレクチャーを行う「YSPエンジョイライフ特別授業」が好評だ。

「日本では産前産後休業や育児休業など、子どもを授かってからのバックアップは広がりつつあるものの、妊娠を希望する人々を支援する企業体制や社会体制はまだ十分とは言えません。様々な啓発活動を通じて、妊活する人やその周囲の人もサポートするファミリーフレンドリーな社会の構築をお手伝いしたいと考えています」(池田氏)

YELLOW SPHERE PROJECT 
						私たちメルクは、少子化・人口減少などの社会的な課題へのソリューションを提示し、 妊活する人々をサポートするアクションとして、「YELLOW SPHERE PROJECT」を促進しています。 
						Yellow Support 社員の啓発・教育セミナー
						Yellow Leave 不妊治療を受ける全社員対象に有給休暇を付与
						Yellow Point 高度不妊治療費の補助
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YELLOW SPHERE PROJECT セミナーの様子

YSP エンジョイライフ特別授業

妊活をサポートする社会へ
  出生率向上に向けた5つの提言
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